カナ式ラテン生活。 スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。 |
ラテン・スタンダード、おそるべし オラ、アミーゴ! 前回の話、覚えてるかい? 「スペイン人にとっちゃ "グローバル・スタンダード"なんて 河童の屁みたいなもんなのさ。プップー」 って話。 今回はこの続きだよ。 内容は、 「だからって "ラテン・スタンダード"思想はないぜ、 カリーニョ(ハニー)!」 そんなあっしの絶叫、 聞いておくんなまし。 まずはスペイン人、 外国人の名前を目にしようもんなら、 躊躇なくスペイン語に訳してしまう。 世界的ロックバンド"U2"は"ウー・ドス"に、 "TheBeatles"は"ロス・ベアトレス"に。 そして彼らを生んだ大英帝国の、 女王は"イサベル"で、皇太子は"カルロス"だい! そしてスペイン人、 人物名だけでは飽き足らず、 国名すらも好き勝手にアレンジしてしまう。 そもそも彼らには、 コロンブスが意欲に(1492年)燃えて 大西洋に船出したころから、 見たまんまを国名にしちゃうというクセがある。 コロンブスの船が港に着いた。 「わーお、すばらしい港"puertorico"だなぁ」 これすなわち、プエルトリコ。 ある日、海岸を歩いていた。 金の装身具をつけている住民をみかけた。 「わーお、すばらしい海岸"costarica"だなぁ」 これすなわち、コスタリカ。 だいたい、コロンブスが着いたところを アジアだと信じていたというだけで、 いまだに大西洋に"西インド諸島"があるってな けったいことになってしもうとるのである。 それでもまぁ、 現在マドリーにあるコロンブス像と バルセロナにあるコロンブス像が、 ぜんぜん違う方向を指差して 建てられちゃってるくらいだから、 大航海時代にわやくちゃな名前をつけたのは しかたがないとしよう。 だけどオランダの場合はどうだい? 正称は"ネーデルランド王国"だけど、 この国じゃ誰も、そんなこと言わない。 スペインでも日本と同じく、 "Holanda(オランダ)"と言うハズなんだけど、 そう呼ぶひともいない。 実はスペイン人、オランダのことを、 "PaisBajo"=「下の国」呼ばわり。 テレビのニュースでだって、そう。 そりゃ確かにオランダ、 国土の1/4は海面下だけどさぁ。 なにも、見たままの名前で呼ばなくても……。 やがて天下御免のスペイン人、 ついにラテン・スタンダードの魔の手を、 世界政治の中心舞台であらせられるところの 米国大統領官邸すなわちホワイトハウスにも 伸ばしてしまうのであった。 さぁごいっしょに、 レッツ・ラテンスタンダード! "ホワイト"→"白い"→"ブランカ"、 "ハウス"→"家"→"カサ"。 できあがってみれば、 その名も麗しき"カサブランカ"。 イエーイ! 昨日のことぉ? そげん昔のこと、覚えとらんばい。 明日のことぉ? ぎゃーん先のこと、わかるわけなかたい。 今くさ、今。今ば生きんば。 オーレッ! 自信なさげなブッシュ新大統領の前で、 ボギーがバラを口にくわえて踊るぜ。 おそるべし、ラテン・スタンダード。 って悠長に感心してる場合じゃなくて、 あっしも被害に遭ってるんで。 ま、聞いておくんなせえ。 マドリーの下町に、 カタツムリをデザインした ステンドグラスをはめこんだ、 小さなバル(BAR)があると思いねぇ。 えっ、そこの有名なタパス(ツマミ)? もちろん、カタツムリでさぁ。 いやもうこれが美味いのなんのって、 フランス料理のエスカルゴみたいに 気取ってちょっぴり並んでやがるんじゃなくて、 素焼きの器にどんとこう山盛りで出てきやがる。 アチチチなんて大騒ぎしながら、 殻をつまんで中身を出しちゃ食べ、出しちゃ食べ、 殻に残った汁がもったいねぇってんで チューチュチューチュしゃぶりやしてね。 エヘヘヘ。 そんでもってそこの店主が、 「どうだ美味いかい?」って訊きにくる。 いや、それはけっこうなんですがね、 いつもこう続けますんで。 「そうか美味いか。ありがとう、マリア!」 わしゃいつからマリアになったんじゃい。 ……こうして世界は少しずつ、 ラテンになるのでありました。 |
2001-02-08-THU
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