KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
一日五食昼寝付き、ラテンな楽園は実在するのだ!


オラ、アミーゴッ!
今日もノンキにラテンでいこうぜ!

ひとつ、俺が正しい。
ひとつ、俺ってすごい。
ひとつ、お前もやるねぇ。
ひとつ、呑もうぜアミーゴ!


そんなスペイン人でも、
まさか毎日へべれけになっているわけではない。
神様から与えられた罰だから、
労働だって、イヤイヤながら最低限はする。

たとえば正統ラテンの一日を紹介すると……。


* * *


・朝9時:起床、朝食。
・油ギトギトのチューロスを、
ホットチョコレートにどっぷりつける。

バルの朝食セットは、
200ペセタ(約140円)もしないくらいなのだ。


・朝10時:しゃあないから仕事をはじめる。


・朝11時:おやつ。
・手のひらふたつ分くらいの"源氏パイ"全面に
チョコレートがコーティングされたものと
ミルクたっぷりのエスプレッソコーヒー。
砂糖は1袋(10g)全部使用。

お好みで、ビールやワインを飲んでもOK。
エリサおばちゃんは、買い物の途中、市場の中のバルで
ビールを飲むのであった。もちろん、私も!


・昼2時:仕事終了!
家に帰って昼食。もちろんフルコース。
(飲み物) 赤ワイン
(主食) フランスパン
(前菜) ・パエジャ(サフラン入り釜飯)
(メイン) ・ウサギの骨付きぶつ切りを油で煮たもの
(デザート)・砂糖より甘くてしつこいプリン
・エスプレッソコーヒー、砂糖は10g。

バルで食べるならどこでも"本日のメニュー"があって、
前菜とメインから一皿ずつ選ぶようになっている。
値段は100ペセタ(約700円)前後。

おしゃべりの合間に飲んで食べて、
食事の時間は1時間半から2時間。
そりゃ、これだけ食ったら眠くなるわなぁ……。


・昼4時(食後):シエスタ(おひるね)。ねむにゃむ。


・昼5時:また仕事しなきゃ。
あと3時間、ガマン、ガマン。

なお、お好みでおめざめの一杯を。
おじちゃんたちに人気なのは、ウィスキーのコーラ割り。
もちろん比率はウィスキーが9で、コーラが1。


・昼8時:時間きっかりに、仕事終了!
労働のあとは、ちょいと一杯やる限る。
いつものバルに立ち寄り、
生ビールなどを片手に、小腹を充たす。
・ツマミの小皿
(ジャガイモ入りオープンオムレツ、
小エビやイカやタラなどのフライ、
オリーブや野菜の酢漬け、
豚の脂と毛付きの皮を揚げたものなどなど)
・ボカディージョ(フランスパンサンド)。
(生ハム、スパイシーソーセージ、
豚の血入りソーセージなど)

しゃべって飲んで、ツマんでしゃべって。
有料放送だけのサッカー中継があろうもんなら、
試合が終わるまでバルから動かない。
そうじゃなくても、動かないんだけどさ。おかわりっ!

ちなみに8時というのは、
まだどこのレストランも開いていない時間。
スペインの夜は遅くて長くて、楽しいのだ!


・夜10時:夕食。
赤ワインと山羊のチーズと生ハムとフランスパン、
それにほんのちょっとしたもの。

バルでお腹いっぱいの日にゃ、夕食は抜いてもいいな。
でもよ、かーちゃんが待ってるからな。
そうだ、かーちゃんよ、息子よ、みんなで行こかい。


・夜11時:夜食。
バルに行って"ちょいと一杯・リターンズ"などなど。
赤ちゃんもワンちゃんも、みんないっしょに行くぞ!


・夜1時:就寝。あくびをひとつ。
ふぁ、今日も楽しい一日だった。


* * *


ほらね、まさか毎日へべれけに……
なってるよ!


スペインで
「三食昼寝付きでいいね」
なんて言ったら
「ちょっと!
あと二食、まだ足りないんだけど!」
って怒られちゃうんだろうなぁ。

だってこちとら、
お父ちゃんもお母ちゃんもみんな胸張って
"五〜六食昼寝付き"なんだから。

これがスペイン式正統ラテン生活、ゲハゲハ人生。
日本から時差8時間。
一日の1/3だけ移動したところにゃ、
こんなウソのようなホントの国があるのでござんすよ!

2001-03-20-TUE

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