カナ式ラテン生活。 スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。 |
【夏休みの自由<ラテン>研究】 オラ、アミーゴ! 夏休んでる? 日本の姪っ子ちゃんたちも、いま夏休んでるのかな。 江東区のMちゃん、去年買ったサングラス、してる? 和歌山市のMちゃん、モーニング娘。にはなれそう? 聞いたところによると さいきんの小学生はむかしとちがっていそがしくて 夏休みどころじゃない、っていうらしいけど、どう? 私は、そんなこと言ってたって、 じつはスイカもお父さんもそうめんもお母さんも よく見たらみんなちょっとずつそーっと 夏休みスペシャル版になってるんじゃないかと思うの。 だって、いつもとおなじことでも、ワキワキするもん! で、今日は、 一年中いつでもワキワキ夏休み気分 (こういうのをラテンっていうんだよ)のスペインから カナおばさんが、夏休みの宿題のお手伝いをするぞ! っていうても、おばさんがしってるのは このスペインっていう国のひとの歴史くらい。 しかも、かっこつけのデタラメばっかり (こういうのもラテンっていうんだ)なんだけどね。 うーん、役には立たないかもね。 ま、いつかおばさんちにくるときにでも読んでよ! <スペインのひとの、だいたいの歴史> ・紀元前2万年 (すんごーく前。みんな石の道具を使っていたころ) アルタミラの洞窟に、赤色で牛の絵を描いてみる。 なんとこの絵、何百年もかけてつくったんだって。 こういうのひとのことを、 きっと"情熱的ィ!"とか、 "ノンキ"とか、"アホウ"とかっていうんだよね。 スペインのひとって、むかしもいまもおなじなのかも。 ・4世紀くらいまで (キリスト、ってひとが馬小屋で生まれたころ) いまのアイルランドのひととおなじケルト人とか ギリシャ人とかいろいろなひとがやってきたけど、 ローマっていうどでかい国ができてからは、 その西のはしっこの方でブラブラしてたみたいよ。 なんせむかしのことだからさ、よくわかんないんだ。 ・5世紀〜7世紀 (聖徳太子が、がんばってたころ) 北の方から、西ゴート族ってひとたちがやってきた。 そんで、わぁここいいね、って王国をつくったんだ。 でもって300年くらいうまくやってたのに、 ある王様が川で水浴びするカバにクラクラしたせいで カバのパパが怒って王国をほろぼしたんだって。 そんなバカな!? という、伝説、ね。 あ、フロリンダ・ラ・カバっていう名前の美女だよ。 ・8世紀〜15世紀 (奈良とか京都とか鎌倉が、東京みたいだったころ) 南の方からやってきた、イスラム教のひとの国になる。 このひとたちは、豚肉を食べないし酒も飲まないんだ。 だから、もともといたキリスト教のひとたちが 「やっぱり豚肉食べたいし、ぶどう酒も飲みたいよ! 土地返せ!」って運動(レコンキスタ)をはじめた。 半分、ウソでした。 ただ信じている神様が違うってことなんだけど、 それだけでケンカになっちゃうらしい。ほんと、残念! でも、スペインのひとは、素敵にいいかげんなの。 たとえばトレドっていう西ゴート王国の都だった町では 7世紀に西ゴート族がつくった教会の柱の上に 10世紀にイスラム教のお寺をヨイショって乗っけて、 16世紀にはその中にキリスト教の教会を建てたんだよ。 まるで、マーガリンとあんことジャムを入れたパンだ。 そういうとこ、スペインのひとのいいところかも。 マーガあんジャムパンは食べたくないけどね! けっきょくは、キリスト教の方がじわじわ勝って、 イスラム教はグラナダってとこだけに残ったの。 そしてさいごには、ここからも追い出されちゃった。 でもね、そんなグラナダのアルハンブラ宮殿の地下には 魔法にかけられたひみつの素晴らしい宮殿があって、 いまでも金や宝石や美女がそっと眠ってるんだよ。 という、伝説、ね。 でも地上の宮殿を見たら、ほんとうかもって思ったな。 いつか、見においで! ・15世紀〜18世紀 (金閣寺や銀閣寺ができて、江戸時代のころ) このころはスペイン、お金持ちだったー! 『太陽がしずまない国』なんて言われてたんだよ。 コロンブスって聞いたことある? 彼のおかげなんだ。 みんながあるかもね、ないかもな、って思ってた 海のとおくとおく向こうの土地を見つけたひとなの。 インドと思ってたらアメリカらへんだったんだけどさ。 だからいまでも南アメリカはほぼスペイン語を話すし、 それに陽気でのんきでステキ、じゃない? それが、ラテン、なのさ! ところで彼、ポルトガル王に手伝いを頼んだときは 「この大ボラ吹きめ!」と怒られちゃったんだって。 若いときはホラを吹いてみるもんだ、ってことかな? そうだ、日本で織田信長が死んだころにね、 長崎から4人の男の子たちがやってきたんだよ。 もちろん、船で。遠かっただろうねぇ! で、それから30年後、江戸時代のさいしょのころには 仙台から支倉常長っておっさんたち20数人もきたんだ。 で、どうも誰かが、スペインの女性と恋をしたみたい。 っていうのは、 いまでもスペインにはちゃあんと "japo'n"(ハポン=日本)という名字をもつひとたちが いるんだもんね! 何年かまえには、ミス・スペインにもなったんだよ。 "日本さん"たちは、日本人としんせきでうれしいって。 こっちの方こそ、なんかワクワクしちゃうよねっ! ・19世紀 (黒船が来たりして、明治時代になったころ) たいへーん! お隣フランス国のナポレオンって強いひとに負けて、 スペインもフランス国だってことになっちゃった。 でもそのとき、そのナポレオンに反乱を起こしたんだ。 だって、こちとら誇りだけは高いスペイン人だもんね。 ただ、戦う方法はぜんぜんじょうずじゃなくて、 "俺っちと仲間でやれるくらい"の、小さな小さな戦い。 この熱いきもちのへたな戦いを、ゲリラっていうんだ。 ゴヤってひとが、この絵を描いてるよ。 『1808年5月2日』と『5月3日』っていうの。 ・20世紀 (お父さんやお母さんや、 おじいちゃんやおばあちゃんに聞いてね!) たーいへーん!! スペインのひとたちどうしで、戦争になったの。 どういう政治がいいか、ってかんがえが違うせいで。 おとなりさんとも、今日からは敵! ……なんて、たいへんなことになっちゃったんだ。 どんな戦争だったかってことは、 ピカソの『ゲルニカ』っていう絵を見るといいかも。 けっきょく、フランコっていうひとたちが勝って、 独裁(ジャイアンが総理大臣になるみたいなの)が 1975年まで40年つづいたんだ。 ね、このころ大きな戦争が2回あったこと、知ってる? 日本はこの両方に加わってるよ。 (おじいちゃんおばあちゃんなら、2回めの方のこと、 知ってるかもしれないね) でもスペインは、どちらも参加してないの。 なんでだと思う? ほんとうは2回めのとき、 フランコとドイツ国のヒトラーがしりあいだったから 手伝ってくれってお願いされたの。 それである日、ふたりで朝からいっぱい相談したのね。 そしたらお昼になったから、 「じゃ、お昼ごはんのあとにつづきを」ということで きゅうけいすることにしたんだ。 まじめなヒトラーはすぐにごはんを食べて戻ってきて フランコを待ったの。30分、1時間、2時間……。 ようやく3時間たってから お昼ごはんとおひるねをすましたフランコが戻ったら、 もうヒトラーはいなかったんだ。 「なまけもののスペイン人とは、いっしょにやれん!」 って、プリプリ怒って帰っちゃったんだって。 という、伝説、ね。 ほんとうかな? ほんとうかもね。 そして2001年のいま、 カナおばさんが見ているスペインのひとは 赤い牛を描いたときのように情熱的で、 ナポレオンに立ち向かったときのように誇り高くて、 ヒトラーを怒らせたときのようにお昼寝が大好きで、 支倉常長の一行が愛したままの、素敵なひとたちです。 いつか、あそびにおいで! |
2001-07-25-WED
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