KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【2001年、日本の旅。(1)】


思えば、日本を出たのは1999年の夏だった。
総理大臣は小渕恵三で、
野村阪神誕生で猛虎復活だなんて言われてて、
モーニング娘。に後藤真希が加入するところで、
ヒロミ・ゴーがアチチと歌っていた、
そんなこんなの20世紀のおわりの方だった。

でも、たった700日ほど外国にいる間に、
日本はだいぶ変わったらしい。
新聞やインターネットで見るかぎり、
美白ブームでガングロ絶滅! とか
小泉内閣驚異の支持率! とか
牛丼戦争、吉野家ついに280円! とか
いやもうたいへんなことになっているようなのだ。

あぁ行きたい見てみたいと思っていたら、
ちょうど日本へ行くことになった。
まだ見ぬ21世紀の日本へ、
小さなタイムマシンへ乗りこむ気分。
こりゃもうレッツラ・ゴー。


旅行鞄に荷物をつめながら、
私とおなじく海外に住む日本人から教えてもらった
「ひさしぶりの日本旅行における諸注意」を復唱。

* * *

・ひとつ、ノーメイクで出歩くべからず。

・ひとつ、蒸し暑いので覚悟のこと。
あぶらとり紙は必携。

・ひとつ、治安は良いから安心すべし。

・ひとつ、100円ショップに行って買いこむべし。

・ひとつ、若い女性はみんな痩せているので
ラテン系パツパツ体型は浮くことを覚悟すべし。

・ひとつ、ノーブラ厳禁。

* * *


えーっ、ノーブラ厳禁かぁ。

たしかに、
スペインのマネキンはだいたいどれも
ちくびがピンと立ってるけど、
日本のってツルツルだったかもしれない。

誰かが言っていた
"スペインでニップレスをしていて
「なにそれっ!」と大笑いされた"って話の反対で、
日本でノーブラだと
「ギョギョッ!」とされるんだろうなぁ。

あぁノーブラノーメイクでのおでかけに慣れた私、
だいじょうぶかしら、日本で。ドキドキ。


それにしても
そんな不安を吹き飛ばすほど楽しみなのが、食事。
牛丼、とんこつラーメン、うなぎの蒲焼き、
焼き肉、焼き鳥、カステラ、バッテラ、
ししゃもを片手にサワーなんか飲んだりして!

日本食の食材店もレストランもあるスペインだから
日常生活にはとくに不自由しないけれど、
たとえば学生時代に食べてたストライクのあの味は
やっぱり日本にしかないもんね。

「ええなぁ、おまえヨシギュウ行くやろ、ええなぁ」
ダンナさんのうらやましそうな声を背中に、
彼にないしょで作った"日本で食べるリスト"を懐に、
いざ行かん!
2001年、日本の旅。

2001-09-04-TUE

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