カナ式ラテン生活。 スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。 |
【2001年、日本の旅。(4)】 日本滞在中、ひしひしと感じたこと。 日本って、サービスの質がすごいぞ。 今回利用したのは日系の航空会社だったんだけど、 おしぼり(! 日本が誇るサービスっ)を出すときも 食事を配るときも すみませんがお水くらはいと頼んだときも、 いつでも満面の笑顔をそえてくれた。 すごいすごい。 コンビニで女性だけが必要な種類のものを買ったら、 ちゃんと紙袋に入れてからビニール袋に入れてくれた。 弁当を買ったら「あたためますか?」 カップラーメンを買ったら「いまお湯入れますか?」 先回りして訊いてくれた。 すごいすごい。 駅では2つ先までの電車の時間が書いてあって、 それが3分間隔でもちゃんと時間通りにホームに着く。 (註:スペインの地下鉄は「あと何分以内に到着」式) 電車の待ち合わせなんてあろうもんなら 「この電車、待ち合わせのため2分少々停車します。 出発までいましばらくお待ちください」 と、ちゃんとアナウンスが入る。 すごいすごい。 そして、ホームをうろうろして見つけて仰天したのが、 車両別乗り換え案内図(?)。 つまり、○○線から△△線に乗り換えるなら □□駅で下車することになるんだけど (うん、ここまでの案内はまぁふつうよね)、 その乗り換え口はホームのどこらへんにあるから 前から何両目に乗るといいですよ、という完全図解。 無駄にホームを歩くのをなくすんだよね、きっと。 すごいすごいすごい。 これって 「さぁ今日のブツは木綿か化繊か厚手か あるいは布団丸洗いだったりするのかい? 水の量はどうする、節水コースもあるぜ。 洗剤は? 自動投入でいいのか? 柔軟剤はどうするよ。 洗濯時間、脱水時間、その強弱、 さぁさぁどうするさぁさぁさぁさぁ」 ってな洗濯機とかと、とても似ていると思った。 どちらもマニア向けじゃなくて 一般向けだっていうところが、 なによりもすごいすごいすごいすごい。 最低限のサービスや機能しかないことに慣れた スペインかぶれの私(ヤな"かぶれ"だなぁ)には、 もうクラクラするようなまぶしいサービスだった。 でも一方で、 それだけの質の高いサービスを提供するから 反動もあるんだと思うけど、 お客になったときは態度でかいひともいるなぁ。 それに仕事場を離れてひとりでいるときって とても無愛想。 っていうか、こころを閉じてるみたい。 ぐるりと周囲を見まわすと、 「サービスを提供する側の自分」 「サービスを受ける側の自分」 「友人や家族といるときの自分」 「移動中の自分」 って、きっぱり分けてるひとが多いような気がした。 だから、"人間まるごとスペイン"かぶれの私が デパートのエレベータなんかに乗り込むときに 「こんちはーっ」と軽くあいさつしたり、 コンビニでお金を払うときや バスに乗るときにもやっぱり 「こんちはーっ」って一言かけたりしちゃうと、 一瞬ギョッとした顔で見られたんじゃないのかな。 そのたびに私は 「あ、いま、私はただエレベータに乗り合わせたひと (あるいはバスやコンビニの客)としては 出すぎたことをしちゃったのね」 と、袖で目頭をおさえたりは、しなかったんだけどね。 ただ、そう考えはじめてから、ついつい 自分を殺してる風の笑顔の店員さんを見て「オフ」 地下鉄で眠ってるひとを見て「オフ」 ちびっこをつれたお母さんを見て「オン」 (お母さんはいつも「オン」で、たいへんだ!) 居酒屋で隣り合わせたあんちゃんたちを見て「オン」 その反対側でやってる合コンを見て「オン? オフ?」 と、なんとなく思うようになってしまった。 じゃあ私はいつでもラテン式にオンだったかというと そんなことはなくて。 台風も近づいてすごい湿度のなかで電車乗ってたとき、 窓ガラスに映った顔がとても仏頂面で 「あ、私、オフになってる」 って、びっくりしたのでした。 |
2001-09-09-SUN
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