カナ式ラテン生活。 スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。 |
【"ハイ、おじゃが"でチーズっ!】 オラ! 今日は、写真の話です。 "日本人といえばカメラ"、らしい。 ノウキョウ・ツアーの時代じゃなくなっても このイメージはいまだに根強い。 実際に観光地に行ってみるとわかるけど、 カメラをさげているのは日本人だけじゃない。 たとえばマドリーの中心、"ソル"にあるクマの像 (渋谷のハチ公みたいなやつ)の前では 世界各国からの旅行者が記念写真を撮っているけど、 意外にも日本人観光客の姿はあまり見かけない。 「あまりにもベタで、恥ずかしい」 というのが、友人の弁。 これほど日本人がつつましく振舞っているというのに、 やっぱり"日本人といえばカメラ"なんだそうだ。 しかも相手は、思い込んだら命がけ、 三つ子の魂百までわしゃ九十九まで、 とにかく簡単には考えを変えないスペイン人である。 タクシーに乗れば赤ら顔のおっちゃんに 「日本人はほんとうにカメラ好きだよなぁ。 俺、このあいだ久しぶりに ソルのクマのところで待ち合わせしたんだけどよ、 記念写真を撮る日本人がぐるぐる取り囲んでるから どこにクマがいんだかさっぱりわかんなかっただよ。 これからは"ソルの日本人の集まってるところ"を 目印にしたほうがいいな、ありゃ」 なんて言われてしまう。 こんなテレビCMもあった。 なにかのモニュメントの前。日本人観光客の団体が、 男の子に、シャッターを押してくれるように頼む。 男の子はカメラを覗きながら、 「もうちょっと右、あっ、左」 なんちて団体さんの位置を細かく指示する。 「はいOK、そのままねっ!」 そう言うと、笑顔でポーズをしている彼らに向かって おもむろにサッカーボールを蹴りこむのだ。 ボールはびっくりしている団体さんの間を抜け、 いつの間にかその後ろにまわっていた友人がキャッチ。 つまり、フリー・キックのカベにされちゃってたのね。 その団体は日本人観光客じゃないと絵にならん、と セーターを小粋にひっかけた製作者が思ったのだろう。 ちっ、てぇしたことねぇなっ! でもスペイン人だって、写真は大好きだ。 魚屋のあんちゃんも、地方のバルのおばあちゃんも、 写真のモデルとなるのを快諾してくれるばかりか 「それ、あとできっと送ってよね!」と 住所のメモまで渡してくれたりする。 しかーし、こちらが最近持ち歩いているのは デジカメだったりする。 プリントすればモデルさんに手渡せるんだけど、 あいにく我が家のプリンタは故障中。 だから「ごめんね、これデジカメだから無理なんだ」 って説明するのだけれど、 デジタルカメラ自体があまり普及してないから なんのこっちゃらさっぱりわかってくれない。 ハム屋さんをさりげなく映そうとしたんだけど、 デジカメを見つけた男の子が興味津々でカメラ目線 「えーっとね、これ、デジタルカメラなの。 写真は現像するんじゃないんだ。 えっとホラ、見てこれ、いま撮った写真ね。 ホームページで見るためのものなんだ」 「へぇそうかいそうかい、なるほどねぇ。 どうだい俺、やっぱり男前だなぁ? それにしてもさすがに日本は進んでるな、 いま撮った写真がすぐに見れるんだもんな。 うん、こりゃいいや。なぁ? じゃ、早く送ってくれよ! 待ってるからな」 やっぱり、こうなっちゃう。 新しいプリンタ、買うしかないかな。 ところでスペイン人も、旅行先では記念写真を撮る。 訪れた観光地で「シャッター押してください!」と スペイン人から頼まれることって、かなり多い。 なんせ「日本人=写真好き=撮影も上手」なのだ。 ハイハイとにこやかにカメラを受け取り、 おのおのポーズを決めるファミリーを前にして、 さて、なんて言えばいいんだっけ? 「ハイ、チーズ!」みたいな掛け声さ。 日本だったら、「ハイ、チーズ!」。 みんなが「ズ」を言ってるときにシャッターを押せば 世界に誇るおちょぼ口の大和撫子スタイル完成。 アメリカ人の義姉は"Say wisky"(セイ・ウィスキー) って言ってた記憶があるけど、 これだと口のかたちは「イ」だから ニッコリ笑って白い歯キラ!のハリウッドスマイル。 日本の、2度は使っちゃならない 「いちたすいちは、ニィー!」っていうオヤジ系のも、 狙いはこのアメリカン・スマイルにあるとみた。 さて、スペインでは。 カメラを構えたまま「なんて言うのーっ」と叫ぶと、 ファミリーの中心にいた若ハゲパパが叫び返した。 「パ・タ・ターッ!」 PATATAとは英語のポテト、つまりじゃがいものこと。 「じゃ、いくよ! ハイ、パ・タ・ターッ!」 赤ちゃんを真ん中に、パパもママも男の子も 口を「タ」のかたちに大きく全開のバカな笑顔。 こりゃ、幸せそうだわ。 あなたも明日からぜひ、 写真にうつる時はこの掛け声でどうぞ。 ラテン溢れる、幸せな写真になること間違いなし! 「ハイ、おじゃがーっ!」 ※ スペインをテーマにした写真展が開催されます。 作品は「スペインが好き」というだけで集まった 日本各地の愛好家やスペイン在住者によるもの。 入場無料なうえ、スペインワインのサービスあり。 とにかくスペインってやつを感じてほしい、と。 よかったら、ぜひ立ち寄ってみてくださいっ! 日時 12月6日(木)〜12月12日(月) 11時〜19時 (最終日は17時) 場所 原宿、 ギャラリーハセガワ 企画 サラピパス実行委員会 |
2001-11-11-SUN
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