カナ式ラテン生活。 スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。 |
【君、強盗に遭うことなかれ】 オラ! ありがとう、ありがとう、ありがとう。 メールで感想を寄せてくれて、ありがとう。 絵はがき(ほぼ日ブックス#009のオマケ)が 着いたばい!って知らせてくれて、ありがとう。 いつも読んでくれて、 本当に、ありがとう! 願わくは こうして袖すりあった愛しいあなたに幸多かれ、 愛しいあなたと愛するスペインに良き出会いあれ、 と東の空に向かって手をあわせるのだけど、 実際には 「スペイン、去年旅行しました。 食べ物もフラメンコも最高だったけど、 帰国前日、強盗に襲われて デジカメや財布を全部盗られちゃいました」 という、とても残念な報告もけっこう多い。 一方的に、悪いのは泥棒や強盗犯だ。 たとえ100万円の束とパスポートを 頭の上に乗せてフラフラ歩いていたって、 「盗られた方に3年以下の懲役」 なんてことはありっこない。 さらに被害者は、法の定める方法で、 自分の受けた被害を回復させることができる。 すなわち警察に届け出れば 警察が代わりに犯人を捕まえてくれ、 盗られたものを取り返してくれ、 さらには相当の罰を与えてくれるのだ。 なぜなら、悪いのは泥棒や強盗犯の方だからね。 でも、いったん犯罪の被害者となってしまうと そういう表面的な方法だけでは回復できない マイナスを抱え込んでしまうことがほとんどだ。 たとえば今回のような 「海外旅行先で盗難に遭った」ケースでは、 ・届け出先の警察で、状況をうまく説明できない。 ・現金を盗られた場合、その夜寝るところがなくなる。 ・カードなら、利用停止や再発行などの手続きが煩雑。 ・パスポートなら、再発給までその国に足止めくう。 ・航空券も再発行、でもどうやって自分を証明しよう? ・怪我をして、外国の病院に入院。不安だし心細い! ・日程が狂うし、嫌な思い出しか残らないし、最悪。 などが考えられる。 だったら、 ちょっと納得いかないような気もするけど、 できるだけ犯罪の被害に遭わないように 注意を払っておく方がいいのかもしれない。 まず、盗られて困るものは持ち歩かない。 私はスペインに慣れるまで、最初の1年くらい、 バッグ類はもちろん、財布さえ持ち歩かなかった。 お金はここにまとめてありますよー、と まわりに知られることすら怖かったのだ。 日本では 財布にカード類や免許や保険証なんかも入れていて、 さらに住所録なんかも挟んでたりしたけど、 そんな財布って、紛失したら一気に困り果ててしまう。 だから、カード類は特製内ポケット。 財布は、あらかじめ諦めてしまえる額の現金。 身分証は、紛失したら再発行がたいへんなので コピーのみを携帯している。 (註:日本人のパスポートは1冊100万円が相場と 大人気なので、めちゃめちゃに狙われてます。 マドリッドやバルセロナでは、現地警察が 日本人はコピーの携帯でOKと認めているので、 本物はホテルの貴重品入れに保管しておいてね) デジカメはまだまだ珍しく、 撮影しているとけっこう注目を浴びるので、 街頭などでは取り出さない方がいいかも。 盗られても諦められる使い捨てカメラなら、 旅にはいちばん。 もちろん、こだわりの高級カメラでもいいけれど、 「これと命と、どっちが大切?」 という質問への答えは、 事前に用意しておいた方がいい。 じゃないと、ついつい抵抗して、怪我するから。 スペインの大都市(マドリッドとバルセロナ)の場合、 治安が悪いというよりも 「主に外国人グループによる手荒な犯罪が増えてきた」 というところに問題がある。 スリなら 「おっ、やられちったぜ。しかし、やるなぁ」 と苦笑する余裕もあろうというものだが、 気がつくと6人くらいに取り囲まれていて ナイフをちらつかされたり、 さらには何人に囲まれたかも気づかないうちに 背後から首を締められて失神させられたりという 強盗相手となると、 下手に抵抗すると命が危険にさらされることになる。 下手にもなにも、 たいていの抵抗は、まさに命取りだ。 向こうはそれで生活するプロの複数の強盗団 (しかも使い慣れた凶器を所持)で、 こちらは旅先で不意打ちに強盗に遭うのだから。 だから、盗られて困るものは持ち歩かない。 それゆえ、盗られたら、諦める。 命がいちばんだいじ、でしょ? たぶん。 そこは見失ったらいかんとよ。 次の注意点は、 あまりひとのいないところは歩かないこと。 場所でいうと、大通りを外れたところ。 時間でいうと次のみっつ。 ・早朝(スペインでは朝7時ってすごく早い。 土日の朝8時もまだまだ早い) ・深夜(夜の12時以降とか) ・昼食とお昼寝の時間(2時〜5時) お昼寝の時間っていうのがかなり特殊だけど、 スペインではほとんどのお店は閉まっちゃうし、 夏なんてたしかに暑くてとても出歩けないから ホテルでお昼寝するのがいちばん。 これらのふたつのポイントに注意しておけば、 強盗に遭う確率はかなり低くなると思う。 パックツアーなら確率はゼロに近づくだろう。 実際、フリーの旅行でも、ほとんどのひとが なにごともなく観光を終えて帰国するのだから。 だからといって、 強盗に遭ったひとが悪いわけじゃない。 もし不注意だったかも、という点があったとしても、 それは自分が責めることはあっても、 ひとから責められるべきものでは決してない。 そりゃあもう強盗する方が、全面的に絶対に悪い。 そういう強盗がいてしまうスペインが、悪い。 そんなスペインの魅力を伝えようとする私の方が、 どっちかというと悪いかもしれないくらいだ。 でも、やっぱり言う。 スペインは、いいよ。 回教建築の最高傑作、アルハンブラ宮殿、最高。 ピカソの『ゲルニカ』、最高。 ガウディのサグラダファミリアも最高らしいし、 闘牛も最高らしい(ともに未見)。 サッカーも、最高。 生ハム、ワイン、チーズ、仔豚の丸焼き、最高。 空と太陽、最高。 人間、最高。 もし機会があったら、訪れてみてほしい。 そして心から願う。 君、強盗に遭うことなかれ、と。 |
2002-01-25-FRI
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