KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【来た来た、バカな夏がやってきた!】


夏だ!スペインだ!
「あぁ人間って、バッカだなー」
と、しみじみ思う。


まず、街行くおねえちゃんたちの格好が
バカバカしいほど開放的になる。

私のイメージする平均的な日本人女性から考えると
約3倍のボリュームがあるバストを、
1/3しか面積のないトップでくるんで、
消化系器官の収まっているあたりは露出させ放題。
背中には数本の紐が頼りなく風に揺れていたりする。
「ここ、ビーチだっけ?」
最寄りの海から400km弱のマドリードで目を疑う。


海から400kmでビーチみたいな格好なのだから、
ビーチに着くともう水着なんて着ていられない。
かどうかわからないけど、
トップレスのおねえちゃんもふつうに見かける。
あぁ、良いなぁ、夏!

しかもトップレス姿は、おねえちゃんだけではない。
というか、おねえちゃんたちより多いのが、
おばちゃんやおばあちゃんたち。
「人生いろいろありました。」
雄弁に語るでっかい身体を惜しみなく陽光に晒し、
海に向かって立つ。
ときにはトップレスならぬボトムレス、
あるいは、オールレス?だったりもする。

そうそう、
水着なんて、自分のために着るものだ。
隣に寝そべっているおじいちゃんも、
「おい、恥ずかしいからやめんか」
なんて言わないしね。
どんな格好してたって、愛するカミさんなのだろう。


マドリードのおねえちゃんは
「見て見て、私、良い女でしょ!」と肌を露出し、
ビーチのおばちゃんは
「あー、裸でいるのがいちばん気持ち良かね」
と、幸せそうに寝そべる。

スペインの夏は、単純で大好き!


音楽も、夏になると一気にバカバカしくなる。
今年いちばん流行っているのは、
アンダルシアの3人姉妹「ケチャップ」が
手をぶらぶらさせながら踊る『アセレヘ』。
間寛平に発音してもらえたら
さぞかし気が抜けそうなこの曲、
歌詞は韻をふんで遊んでいる部分が多くて
タイトルやサビはほとんど造語。

↓ここで、ビデオクリップ見られます。
http://multimedia.terra.es/
ficha/ficha.cfm?i=7486&a=11622


ちなみにサビの部分は
「さぁ踊って、楽しんで、唄ってぇ〜」のあとに

アセレヘ・ハ・デヘ・デヘベ・トゥ・デヘベ・
デセリ・イオワ・ア・マビ・アン・デ・
ブグイ・アン・デ・ギディビディ

と繰り返す。延々と。
サビまでの導入が短くて、
サビに入るとここぞと5回も6回も繰り返すのが、
スペインバカサマーミュージックの基本なのだ。


最近、この「ケチャップ」に迫る勢いの曲がある。
その名も「フィエスタ」(パーティ)が歌う
『トマ・ビタミナ』(ビタミンを摂りなさい)。

サビの部分の訳:
ビタミンを摂るのよ、
誰かに恋したときには。
そして決して決して決して決して
泣かないことね。
ビタミンを摂りなさい、朝食に。
ビタミンを摂りなさい、昼食に。
ビタミンを摂りなさい、間食に。
ビタミンを摂りなさい、夕食に。

……これを、百万遍繰り返す。


この夏、ラジオでもテレビでも
これらの曲を聴かない日はない。
人生がどんどん単純になっていく、スペインの夏。


カナ http://www.kanasol.jp






『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



ほぼ日ブックスでも
お楽しみいただけます。

もれなく絵はがきが届きますよ。

2002-08-11-SUN

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