KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

 
【レアル・マドリーが好きなもので。】


オラ!
来たよ来たよ来たよ来たよ、
ロナウドが、リーガ(スペイン・リーグ)に。
しかも、ご近所のマドリーに!

これ、サッカーの話です。
ロナウドとは、ブラジル代表のFW。
ワールドカップで大活躍したすんごい選手(らしい)。
ちなみに元大五郎カットは、いまはマルコメ坊や風。

他の優秀なラテンアメリカの選手と同じく、
母国を離れてヨーロッパの強豪チームに所属。
スペインでは、F.C.バルセロナにいたことがあった。
(このチームは、マドリーの宿敵という存在)
それからイタリアのチームに移ってたんだけど、
8月も終わりの日曜日に、
わりと突然なかんじで、マドリーに来たのだ。

ニュースを見てたら、
なんとマドリー郊外にある軍の基地から出てきた。
サッカーのためなら、軍も動くスペイン。
ラテン諸国ってば、まったく。


で、そんな彼の移籍先は、Real Madrid。
我が家から最寄りのプロサッカークラブ。
発音は「レアル・マドリー」で、
通称は「マドリー」になる。

日本のメディアでは
ほとんど「レアル」と略されているけれど、
スペインで「レアル」というと
実はReal Sociedad(レアル・ソシエダ)という
フランスとの国境に近い町のチームのことになる。

つまりReal Madridのことを「レアル」と呼ぶのは
高田馬場のことを「タカダ」と略したり
マクドナルドを「ナルド」と略したり、
浜崎あゆみに「ハマー!」と声を掛けるかんじだから、
どうにもなんだかむず痒いのだ。

それに、たとえば日本に来た外国人が
「タカダのナルドでハマー見ちゃったよ!」と
興奮して教えてくれたとしても、
意味がわからないせいで通じなかったら、
とても残念だろうなと想像したりする。

なので、「レアル・マドリー」を略するなら
今度からぜひ「マドリー」の方を残してみてください。
字数的には「ー」がひとつ多いだけだし。


さてさて、そんなマドリーは、
今年ちょうど創立100周年を迎えるクラブ。
リーガ71年間のうち28回優勝していて、
欧州最強を決めるチャンピオンズ・リーグでも
去年、断トツの最多9回目の優勝を果たして、
まぁどうにも本当に強い。
冠せられることばは、
「世界最強」とか「スター軍団」とか。

こいつは勇ましくて結構、なのだけど。
マドリーなんて、でぇ嫌いだぜ!
と怒れるひとも、少なくない。
なんせ思いつく選手を移籍金ともに並べると、

- ジネディーヌ・ジダン(80億円)
フランス代表
1998年の欧州最優秀選手

- ルイス・フィーゴ(66億円)
ポルトガル代表
2000年の欧州最優秀選手

- ロナウド(52億円)
ブラジル代表
1997年の欧州最優秀選手

ってなかんじなのである。
たとえばスペインの本家「レアル」、
レアル・ソシエダと比べてみるとよくわかるのだけど、
この名門地方チームの年間予算をぜんぶ注ぎこんでも
いちばん安い(!)ロナウドだって買えない。
ジダンなら、右足か左足かのどちらかだけになる。
両チームの年間予算には、16倍もの差があるのだ。

「お金をわんさか積み上げて、
全球団の4番を並べて打線を組んだら
優勝しないほうがおかしいやね」

阪神ファンが巨人ファンによく投げかける言葉は、
マドリーにもそのまま当てはまるのだ。


あっ!私、阪神ファンじゃんか……。
しかも、物心ついたときからアンチ巨人だったのに。
それがいまや、
「世界規模の巨人」なマドリーのファンだなんて。
お父ちゃん、ごめん。


この矛盾が、目下の悩みである。
世界的にはまったくどうでもいいのだけど。

マドリーファンをやめて、しぶいところ
(それこそ「レアル」とか)の応援をしようと
思ったこともなくはない。

でも、知ってしまったのだよなー。

ジダンの柔らかくてセンス抜群のボールさばき。
フィーゴのもったりと重いけど正確なプレー。
ナイーブなラウルが指輪にキスする瞬間。
キャプテン兼ボス猿イエロの弾ける笑顔。
そして、ロベルト・カルロスの
全身でサッカー大好きなきもちを表現しながら
8人分くらいプリプリクリクリ走り回る姿。
ロナウドも、すごいんだろうなー。


今年のマドリー、たぶん抜群に魅力的です。
テレビとかで機会あったら、見てみてください。
顔の特徴など、
知っておくと観戦が楽しくなりそうなことを
私のサイトにちょっとまとめてみたので、
試合前などにヒマだったら見てみてね。

世界的にはまったくどうでもいいけど、
ごめん、私やっぱり、マドリーが好きっす。



カナ http://www.kanasol.jp






『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



ほぼ日ブックスでも
お楽しみいただけます。

もれなく絵はがきが届きますよ。

2002-09-10-TUE

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