KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

『スペインの酷暑はこう乗り切る』


8月のマドリード、非常に暑い。
路傍の温度計に、ついにこんな数字も表れた。



セビージャなど南でやや内陸の地方では、
ふつうに50度台の気温が表示されているという。
もちろん日向なので実際の最高気温より高いけど、
でも自分が街を歩けば直射日光を浴びるわけで、
そりゃもうまったく本当にたまらんです。
汗をかくのも、もう飽いたばい。

本日の最高気温は41度。
湿度は10%台。
日没はだいたい9時半。
室内の温度計によると夜中1時の気温は34度。

カレーも炊き込みご飯も一晩で腐る暑さであり、
ようやく寝付いたと思っても
苦しくてガバと目が覚めるほど喉が渇く状況。


なんでこんなに暑いかというと、
アフリカのサハラ砂漠から
シロッコという熱風が吹いてくるからだそうだ。
おかげで、風が吹いてもちっとも涼しくならない。
ぶおーっと熱風が吹きつけてくるかんじは、
ちょうどエアコンの室外機の前に立ったかのようだ。

そしてスペイン中央部は、
「9ヶ月の冬と3ヶ月の地獄」という諺があるように、
冬の厳寒と、夏の酷暑で知られている。
周囲を山脈で囲まれた中に
メセタと呼ばれる標高600メートル前後の
台地が広がっているから、だそうだ。
マドリードは標高約650メートルになる。

手元の外来語辞典で、「メセタ」を引いてみた。
「気温差が大きく、乾燥していて農産物も少ない。
人が住むには適さない。」
……まぁねー。


こんな、ひとが住むには適さないところで、
みんなどうやって暑さを凌いでいるか。

まず、働かない。
8月は、1ヶ月まるまる休みのひとが多い。
そうすれば、ちょっと山の上だとか、
ちょっと海岸だとかに行って、
わりあい涼しく過ごすことができる。

休みにならなくても、わりと多くの会社で、
9時から午後3時までという
夏だけの特別勤務時間になる。
たとえば、小包などを受け取る地域の郵便局も
8月の午後は閉まってしまうのだ。


そして暑さによる食欲の減退には、
ガスパチョで対抗する。
飲むサラダ、みたいなものだ。
4人前として、用意するのはだいたい以下。

・真っ赤な完熟トマト 1kg
・キュウリ 1本
・ピーマン 1本
・ニンニク 1片
・タマネギ 1/2個
・ワインビネガー 大さじ2
・バージンオリーブオイル 大さじ3
・固くなった前日のパン
・塩
・水
(分量は好みに合わせて変えてね)

作り方は、
まず、パンを水に浸して柔らかくする。
その他の材料とともにミキサーにかける。
(ニンニクの皮を剥いたり
ピーマンの種を取ったりは
ふつうにやってください)
塩と水とで味加減を調節する。
で、おしまい。
あとは冷蔵庫で充分に冷やして、
味をなじませる。
最後に、細かく刻んだゆで卵や
野菜やハムやクルトンなんかを
たっぷりのせて食べる。

トマトジュースが苦手な私でも、
夏のガスパチョは本当にうまいと思う。
これと素麺(自家製のシソを入れる)で
40度の酷暑も凌げてしまう。
まぁ、私はもともと暑さで食欲が減退しない
たちなので、なんでも食べちゃうのだけど。


あぁ、あと、寝るときのアイスノン!
アイスノンは、すごい。
(って、誰でも知ってるか。
でもあの威力はスペインで再確認)
あれがあれば冷房なしでもなんとか眠れるもの。
日本人で、良かったぁ。アイスノンがあるもの。
今度日本行ったら、
スペインへのお土産には
アイスノンを買ってこようと思っている。

うーん、PCに向かっていて
また汗まみれになってしもうた。
本日3度目の水シャワーを浴びるとするか。


カナ


  カナ






『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



ほぼ日ブックスでも
お楽しみいただけます。

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2003-06-26-FRI

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