KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

【友だちがすごい本を出しました】


この連載をのっけてもらうずっと前から、
私は熱烈なほぼ日読者だった、たぶん。
たくさんの連載を夢中で読んで、
「ウッワー、スッゲー!」と興奮しては、
postman@1101.com宛にメールを送っていた。

いろんなひとの話、
darlingの言葉、
どれもが私にはとっても新鮮で、
しかも、「それを知ったおかげで
なんか明日がだいぶ幸せな気分になりそう!」
というものだったので、
うれしくてうれしくて、
長いメールを、何通も送った。

そうして現にいまはだいぶ幸せ、
というか、かなり呑気な毎日なのだけど、
その大きな「おかげさま」のひとつは
ほぼ日で知ったことたちだ、間違いなく。

こういう言葉や考え方やなんかを
「幸せに生きる基礎体力」
と、いま、名づけてみた。
なんとなく、伝わります?


(ちなみに小学校から大学くらいまで、
 私はわりとゆううつな/不幸せなような
 気分に支配されていたことも多くて、
 そういうちっちゃくて陰気な世界に
 周囲を引きずり込むことに
 暗い情熱を燃やしていたりしていた、
 ような気がするのだけれど、
 生き延びているうち、
 気づくとなんだかどんどん呑気に、
 幸せになってしまってます。

 なので今日がつまらないひとには
 とりあえず生き延びてみることを勧めます。
 思いがけないサプライズっちゅうもんが
 どうも世の中にはいろいろあるみたいから)


んで、そういう「幸せに生きる基礎体力」、
つまり
「わー、なんか励まされるわー。
生きていくのが楽しい気分になりそう!」と
思った本をいま読み終わったところで、
それが、友だちが書いたのなので、
ぜひ紹介させてください。



『心脳問題――「脳の世紀」を生き抜く』
(山本貴光+吉川浩満)

吉川さん、が、私の友だちで、
彼はヤフーでの同僚になる。

同じサーファーという仕事をしていたのだけど、
穏やかで、博学で、常識的な判断ができて
仲間から「長老」と呼ばれたりもしていた反面、
ラディカルなことをぼそっと言ったり
思いがけないところから言葉を持ってきて
腹筋が痛くなるくらい笑わせられたりと、
ものすごくおもしろくて魅力的なひとだった。

いちばん特徴的なのは、
「私(やその場にいるみんな)が知るはずもない、
彼の小学校や中学校時代の
同級生の話がやたらとおもしろいひと」
というところ、だ。
彼の同級生の山田くん(仮名)の話など、
何度も聞いた話なのにもかかわらず、
みんなが繰り返してリクエストしたものだった。

そんな吉川さんに私は当時、
マルクスやドストエフスキーやブルーハーツを
教えてもらった。
会社を辞めてからも、スペインに来てからも、
たくさんのことを教えてもらって、
そのたびに楽しい思いをしている。

その、最新が、この本だ。


> ――脳がわかれば心がわかるか?
> 脳科学の急速な発展のなかで
> 正気を保つための常識と作法を示す
> 誰も教えてくれなかった
> 「脳情報とのつきあいかた」


というのが、オビの言葉。

私は読み終わって、
「んー、また『幸せに生きる基礎体力』
ついちゃったかもー!」
と、かなり楽しい気分になった。

どうせこの先歩く明日とか未来という世界は
前人未到の森の中に決まっているのだけど、
それを歩く自分だけの地図を作るための
あるいはまさにどう歩くかということのための
とても重要で基本的ななにかを
得ることができるのではないか、と、
そんなかんじ。
明日の森がどんなかはわからないけど
そこを歩く私自身を支えるもの、
励ましてくれるもの。
私にとっては、そういう素敵な本だった。


ちなみに、本の編集者さんは
朝日出版社の赤井さん。
ほぼ日ブックスを手掛けたひとであり、
私はその縁で知り合ったのだけど
(ブックス#009が『ラテン生活』なのだ!)、
こちらもまた本当にとても魅力的なひとで、
私は幸運にもいろいろと教えてもらったりして、
ほんと、今日がますます幸せになっている。

というわけで、
私自身が「このひとたちのおかげで
なんか今日もけっこう幸せだし
明日からもわりと幸せにいけそうです」
と実感を持って言える友人と知人、
吉川さんと赤井さんが作った本で、
しかも本自体もとても衝撃的におもしろかったので、
ぜひ読んでいただけたらな、と思ってます。

定価2100円+税、
コンビニでなにか買ったお釣りで、
とはいかないけれど、
なにか日常的なものになんとなく使う分を
意識的にまわしてもらってもいいのでは、と、
それくらい、すすめさせてください。


カナ

※ サイトkanasol.jp内「多事早論」で
  スペインの社会ニュース、
  もう少し詳しく扱ってます。






『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



ほぼ日ブックスでも
お楽しみいただけます。

もれなく絵はがきが届きますよ。

カナさんへの、激励や感想などは、
メールの表題に「カナさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2004-06-27-SUN

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