KANA
カナ式ラテン生活。
スペインは江戸時代の長屋みたいさ、きっと。

【むりやり! 空耳スペイン語】


 もう何年か前に見たテレビ番組で、
 木村祐一さんが
 居酒屋で焼酎を頼んだら
「幼虫?」と訊き返されたことについて、
「居酒屋でっせ。
 たとえ客が『幼虫』って言うても
 焼酎のことやと思いますやん、ふつう?」
 というような話をしていた。

 言語学とか?の詳しいことは知らないけれど、
 たぶんだいたいそういうことなんだろう。
 というのが、RとLの発音を区別できないまま
 外国でなんとか暮らしている私の実感。
 こちらに伝えたい意思があり、
 相手にわかろうとする想像力があれば、
 なんとかなるもんす。

 というわけで、今日は
「日本語でこう言えば、
 スペイン語でだいたいこう聞こえるだろう!」
 という、むりやり空耳スペイン語を紹介。
 旅行前の一夜漬けなどに、ご利用ください。



 ※太字のところを強めに発音

○観光で

・〜は、どこにありますか?
 →「こでっすか、〜」

<解説>
 donde esta=where is
 正確には「ドンデ・エスタ」。
 うまいぐあいに、日本語そのままでだいたいOK。
 難点は「どこで」の「こ」が余計な点なので、
 いかにも道を尋ねたそうな気配を
 もりもり出しつつ使ってみてください。

<発展>
 現地でいちばん必要になる単語、
「トイレ」はservicio(セルビシオ)。
 かなり強引だが、
 切羽詰った場面では悩んでいる暇はない。
 思い切って、あのひとを探してみよう。

・トイレはどこですか?
 →こでっすか、セルジオ(越後)?



○ショッピングで

・これ、いくらですか?
 →「えっと、くんとです?」

<解説>
 esto=this/cuanto es=how much is
 正確には「エスト・クアント・エス」。
「これ」を意味する「エスト」は
「えっとぉ」、と言えばだいたい通じる。
 というわけで、全体としては、
 九州の体育会系の後輩が
 先輩がテーブルに残している料理を見て
 やや躊躇しながら
「食べないんですか?」と訊く場面を
 思い描きつつ発音してください。
「えっと……、食んとです?」

<発展>
 数を尋ねるとき=how manyにも
 このcuantoは使える。
 ただし動詞が複数形sonになるため、
 ちょうど九州出身のあの社長に
 食べ物を勧めることにしよう。
 ただしスペインあるいは中南米でとはいえ
 社長にタメ口をきくことになるため、
 関係諸氏はご自身の判断でお使いください。

・いくつですか?
 →食んと、孫(ソフトバンク社長)?



○レストランで

・お勘定!
 →「楽園(らくん)たぃ!」

<解説>
 la cuenta=check
 正確には「ラ・クエンタ」。
「楽園だ!」でもいいのだが、
 これまたなぜか九州風でやる方が
 より現地発音に近くなるのだった。
 なお、スペインはご飯は美味しく物価は安いので、
 会計時には本当に楽園気分だろう。

<発展>
 できればていねいにplease、
「お願いします」も、つけたいもの。
 スペイン語ではpor favor、
 正確には「ポル・ファボール」。
 こんなん空耳でけるかい!
 というところをむりやり作ってみた。
 食事のあと、あの高級車のアクセルを踏んで
 小粋に立ち去るシーンを想像してください。

・お勘定をお願いします。
 →楽園たぃ! ルシェ・ボー。



○ちょっと一言1

・ありがとう!
 →「暮らしやすっ!」

<解説>
 gracias=thanks
 正確には「グラシアス」だが、
 より現地発音に近いのはガラシアス。
 ということで、戦国時代ファンのあなたは
 あの明智光秀の三女の名前を
 ぜひここで呼んでみてください。
「(細川)ガラシャ(夫人)!」

<発展>
 より多くの感謝の気持ちを伝えるなら
 muchas gracias「ムーチャス・グラシアス」。
 スペインに惚れ込んで住みはじめた
 関西人の気分になれば、
 簡単にマスターできます。

・本当にありがとう!
 →っちゃ、暮らしやすっ!



○ちょっと一言2

・どうもー。
 →ラーァ。

<解説>
 hola=hi
 こんちくわ、とか、わんばんこ、とかの
 前に出てくる気軽な挨拶の言葉。
 ハァイ!って明るく言いたいときは別だが、
 ふだんはわりとダラーっと言ってOK。
 ちょうど、スペインでも大人気の
 クレヨンしんちゃんが名乗りをあげるかんじで。

<発展>
 あとはしんのすけのように自己紹介できれば
 初対面のひととの挨拶は完璧。
「私は〜です」=I amは、正確にはsoy「ソイ」。
 釣りの好きなひとはメバルに似た春が旬の魚、
 上品なお味のソイを思い出していただくとして
 そうでない方は強引に九州弁風でいきましょう。
 思い描いていただくのは、
 松本零士の名作マンガ『男おいどん』たい。

・どうも、私が△△(自分の名前を入れる)です。
 →ラーァ、イ(俺)、△△。



 これでだいたいいける、
 かも、しれません。

 以上、空耳スペイン語講座でした。
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『カナ式ラテン生活』
湯川カナ著
朝日出版社刊
定価 \700
ISBN:4-255-00126-X



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2004-09-27-MON

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