OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.6
- network -

こんにちは。
前回のklic(クリック)の「教授」から
メールが来ました。

呼び名を「スルドビッチ・アナドレンコフ」に
変えてくれとか、わけのわかんないことを言ってる・・・。

「それとさー、klic の原稿遅れてるけど、怒ってる?」

ううん。怒ってないよ。

大丈夫大丈夫。
フクシマも十分イソガシイのです。
NEWS MAIL の英訳と「司令塔」部屋の移動(この週末)
それからそれからなんだかんだと
宴会要員で毎晩飲む食べる。
そんな折りにウチのジョウムからの
「ねぇ、浅草でしゃぶしゃぶ食べない?」の
お誘い。
こんなときにジョウムー。
でも断わるわけないし。
昨日は浅草。
今日はメキシコ料理を友達と食べに行く。
今週は飽食だなぁ。
ジム行く時間ないし、ウエスト心配になってきちゃった。

そんなわけで「アナドレンコフ先生」には
ゆっくりあとでklicの続きをやってもらうことにして
今日はネットワークに関するローカルな話をしようかな。

vol.3の時だったか、イトイさんに
「この人は上司や組織に恵まれているんだろうなぁ
と、思いました。
大きな問題を、みんなが考えているって印象があるもの」
と書いていただいたことがありました。

これを「司令塔」(お、ひさびさ登場)に見せると
まんざらでもない様子。
司:「上司に恵まれてるのかなぁ、ま、勉強はさせてるからな。」

私:「そ、そーですねー。(べ、べんきょう?・・・あせる。)
     確かに恵まれてるとは思います。
     でも、さらにはネットワークをフル活用してることが
     問題をみんなで考えることに
     役だっていると思うんですけど。」

司:「ふーん。」

私:「だって、グループにミーティング結果とか
     議案とかを流すことによって
     今、何が話し合われているのかが刻々と見えるし
     議論に参加することもできますからね。」

司:「ま、そうだな。」
    (あれ、せっかく上司がいいってほめてくれてるのに・・。)
こんな感じの漫才トークをかわしたあとに
少し「ネットワークの活用」のことについて考えてみました。

組織としてネットワークをどう活用するかは
トップの意識によって大きく違ってくるんじゃないかな。

まず組織のネットワークインフラを整備する時
いろいろと決めなくちゃいけないことがあります。

ネットワークをどの程度活用するのか。
その頻度やデータ量などを考える。
外への情報公開という点に絞って活用するのか。
情報共有に重点をおいて内部で情報を流し合うのか。
決定事項だけを流すのか、過程も見せ合うのか。

それから
PCは1人1台なのか、共有なのか。
サーバーは自前なのか借りるのか。
どのくらいのスペックをそろえるのか。

さらに
ネットワーク上で意思決定はどんなパターンで行くか。
トップダウンかボトムアップか。

などなど、ネットワークを使って
さまざまなパターンの組織を形成することが可能です。

みなさんのオフィスではどんなふうにネットワークを
使っていますか?

使うことでひとの意識とか組織形態に
変化がありますか?

「先端」のネットワークは
「先端」といいながら結構シンプルな使い方だけれど
わりに活躍してると思います。

たとえば
基本的な「告知」ものでは
会議の日程とか場所を
内外の参加者あるいは関係者に一斉に流しします。
CCをつけたり、アドレスをメーリンググループ
(複数のアドレスを1個のアドレスにまとめてある)
にして、できるだけ周辺の人たちも何があるのかが
わかるようにしています。

会議室の使用状況や予定も
イントラネット上の手作りの
「会議室予約表」で分かります。

予約は各自が端末から
予約者の名前、会議名などを入れます。
バッティングしたらメールで各自交渉します。
係りの人も居ないけど、一度プログラムを作ると
十分に毎日働いてくれます。



ついでに「夏休み表」も作って、自分の夏休みを
それぞれの端末から書き入れていました。

それから
たとえば、ひとつの議題が持ち上がって
「司令塔」が全体(あるいは関係者のグループ)に向かって
議論をメールで持ちかけます。

「みなさんの意見をお聞きしたい」と書いたメールが
ピーッとデスクトップに届きます。
(このパターンは司令塔のよく使う巻き込み戦術)

すると
全然別の仕事をしている人も、自分の仕事の合間に
それについての意見をメールで流します。

また別の人からは異論、反論などが流れてきて
ディスカッションがメール上で展開されます。
私なんかは高見の見物で
(実はレベルが高くて入り込めない)
「ふむ、ふむ。」「ふむ、ふむ。」と
それぞれの意見を読んでいるわけです。
議論が沸騰して「これ、収集つくのかな。」
と心配していると、議論発起人がメール上で
「では、そろそろ出揃ったみたいだから」と
まとめたり、あるいは次のレベルへと
話をさらに展開させます。

そんなバーチャルディスカッションを重ねて
レポートの内容をより濃くすることが可能です。
これは時と場所を選ばないから便利です。
もちろん現実に集まって話し合いもしますので
バーチャルな方はその補強的役割になっています。

意見を述べないまでも、自分の端末に問題が届くと
それについて各自考えてみたりします。
分からないときには質問したり、
資料を読んだり、インターネットで調べたりする
ということが起こります。
なんとなく学習環境っぽいでしょ?

ここで大事なのは「フラットな環境」かな。
議論するときは「対等」に話せないと
実りが少ないですから
ここのバーチャルディスカッションは
基本的に「フラット」をめざしてるみたいです。

このような「みんなで考える環境」は
イトイさんのご指摘のように
それを理解し誘導する「恵まれた上司」と
それを実現する「恵まれた組織」によって
育てられた環境だった、ていうことなんですね。
(「そーだったのか。」
私自身、ここであらためてなっとく。)

まあ、ひとくちに「ネットワーク」と言っても
「つながる」ことの意味は、
環境や使う人によって
全然違う用途になるのでしょうけど。

技術として日進月歩の「ネットワーク」 も
高級な飾りものにしてしまうか
人間の営みをさらに豊かなものにするツールとして
活用するかは「使う意識」次第だと思います。

「使う意識」には、『リードする側』と
『参加する側』の両サイドがありますね。

でもこのサイドはあっという間に逆転する
サイドなんです。
つまりリードする人は次の話題では参加者に
参加者は次の瞬間リード側に
という具合。

参加する側は、
考えてみるだけに留まらず
考えたことを発信することによって
既存の意見に価値が付加されて新しい意見に変化させ
それを元にディスカッションを
リードするわけです。

「情報革命」とか「デジタル・エコノミー」(後述)
の中で言われている「革命」というのは
もちろん技術革命と、それによって起こる
経済的、社会的変化を指すわけですが
もっと根源的には人間の「意識」の変革を
指すのではないでしょうか。

ネットワークのポジティブな有用性を理解して
使いこなす意識がないと
いくら素晴らしい技術が発明されても
また技量があっても絵に描いたもちになっちゃいます。

『デジタル・エコノミー』という
アメリカのドン・タプスコットという人の書いた
技術から意識革命までカバーした未来予測書のような
おもしろい本があるのですが、

ドンおじさんは
「デジタル革命」によって
社会にどんな変化が起こるのか
または、起こっているのかを
経済、技術、組織という側面からライトを当てて
産業、医療、教育分野についての変化を
ひとつひとつクリアにしていきます。
(ここでひとうひとつ挙げていると
データが大きくなるので割愛します。
ぜひ読んでみて下さい。)
私は、つきつめると「個人の意識を変えろ」
と言っているのではないかと思います。

自分が「情報発信源」になるという自覚と
その影響力や責任の重さを理解する力。
それを養って次世代を生き抜いて行けと
ドン・タコスみたいな名前の
ドンおじさんは言っています。

「デジタルエコノミー」と位置付けた社会では
ネットワークに参加しないと
存在しないと見なされるだろう
みたいな厳しいコトも言っています。

ほんとにそんな時代になるのかな。
・・・・・。
でも、これまでの時代よりもっともっと
個人の力がさらに要求される社会というのは
従来の日本の「みんないっしょに」みたいな
社会システムからすると異質なわけで
受け入れは状況はどうなんでしょうか。
日本としては技術力でどんな社会をめざすの?
ここんところを今「先端」の人たちは考えています。

どんな社会をめざしてどんなアプリケーションを
考えればいいのか。
技術にどんな役割を担ってもらうのかは
技術がリードするんじゃなくて
人間がリードして考えるべき問題なのです。

最近ちょっと忙しくて相手にしてくれなかった
「司令塔」とまた話し合おうかな。
でも「司令塔」ルームの引越しが完了するまでは
無理みたいです。
(と言っても同じフロアで移動するだけなんだけど)
あっと、忘れちゃ行けない。
次はklic後編になる予定です。
ではまた。


参考文献:"The Digital Economy - Promise and Peril
in the Age of Networked Intelligence"
Don Tapscott著 McGraw Hill
(「デジタル・エコノミー」野村総合研究所訳)

関連サイト: Alliance for Converging Technologies
(http://www.actnet.com)


福嶋(まーしゃ)真砂代

1999-02-28-SUN

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