vol.27
- digital libraries -
こんにちは。
e-life、してますか?
このごろね、「ディジタルなんたら」とか
「e-なんたら」とかいうネーミング、街やら雑誌やらに
溢れかえってるんだけど、さあさあ実態はどうなんでしょうか。
ハタだけ振って中味がオールドでパーだったらショボイ。
もっと未来像のイマジネーション膨らましてほしいでしょ。
せめて1+1=2.5 以上じゃなきゃ未来モデルとしては哀しいよね
って Dr. Anadorenov は説いていました。
おっしゃるとおり。でも、きびしー。
今日のランチスポット、大崎ゲートシティのナイスなカフェの
ゲートシティガールズボーイズ(ゲートボールメンバーみたいですね)
たちは、いとも普通にデビットカードで支払いをすませていました。
なんてスマート! ノーキャッシュ!
現金をもたもた払う私はかなりレトロな気分でしたね。
ああ、私自身がレトロッピーじゃん。(なんだ、それ)
なんというか、生活ですね。
溶け込むより「飛び越える」という感じです。
意味不明のカタカナと難しい漢字で埋めた「ディジタル基本構想」
なーんていう文章をひねくり出してるダークスーツの方々より
街のユーザは意識がずっと先を走ってるんだにゃ。
おそるべきニンテンドーキッズは、
ネットワークという言葉すら「空気」みたいで
あえて使わないのかなぁ。やれやれ。What a gap!
そんなこんなのわさわさした時代の
「ディジタルライブラリー(Digital Library)」です。
Electronic Library とか、Virtual Library という
言葉もあり、もちろん日本にも活動がありますが
ここでは特にアメリカ政府がサポートしているプロジェクトの
Digital Library Initiative (DLI)
の話をします。
●Information Super-highway
DLI というプロジェクトは
アメリカの全米情報基盤計画 (NII) 上の応用分野の一つで
「NII 上に様々な図書館機能を実現し、情報の蓄積と流通を
より一層進めよう」と始まった計画です。
大量のデータを送れる夢のように速いネットワークが実現したら、
それで何をしましょう?そうだ、図書館作りましょう! です。
ディジタルライブラリを「電子図書館」と読んでみると
「図書館」という施設「館」をイメージしがちですよね。
でも、この構想はもっと beyond な先を見ていて
「多様なデータをディジタル化して蓄積し、高度な
情報基盤の上に図書館の持つ様々な機能を実現しようと
するもの」ということで
いわゆる「壁のない図書館」をめざすもの、なんだそうです。
このプロジェクトは、
1994 - 1998年の Phase 1 (フェーズ ワン, DLI1)
1998 - 2002年の Phase 2 (フェーズ ツー, DLI2)
と進んできて現在進行形。
●preserve and access
DLI1 は、NSF/DARPA/NASA が共同サポーターで
DLI2 には、NLM/LoC/NEH/FBI などが加わってさらにパワーアップ。
(*注1 - 7)
そこで開かれる国際会議の報告には
「ディジタル図書館は、
従来の図書館が紙やその他の媒体を使って提供してきた、
収集、目録作成、情報の発見と流通というサービスを、
再現、模擬、拡張するため に必要な内容およびソフトウェアを、
計算、データ蓄積、通信のための機械装置とともに
適切に組み上げたものである。
完全なサービスを提供するディジタル図書館 は、
従来の図書館が提供してきた必須のサービスを実現しなければならず、
また、ディジタル化された情報蓄積、検索、
並びに通信のよく知られた長所を生かさなければならない」
と書いてあるのですが、ふあ〜(あくびでました、すいません)。
むつかしいなぁ。
まぁ、ようするにこんな感じではないでしょうか。
「これまでは、しかるべき場所(例えば、図書館)に行って
実際に資料を手にとって利用する(例えば、本を読む)
という利用の仕方と、
そのためのサービス(例えば、図書館の機能)があったけど
(というか今もあるけど)
これからは、
膨大なディジタル資源を(図書館の資料に限らず)
コンピューティングとネットワークをうまく使って
いつでもどこでも誰でもが利用できるシステムを作ろう!」
ああ、また私流のおおざっぱなとらえ方で申し訳ない。
でもそういうことじゃないかなぁと思います。
だから今の図書館にある資料を右から左へ電子化して、
画面でみる、という行為以上の
もっと膨らませたおおきな世界をイメージする
必要があるわけです。
図書館だけが努力してもだめで、
技術だけが走ってしまってもだめで、
利用者もどうやったら使いやすいものができるのかを
考えないとだめで
そうやってみんなが協力しないと、どの努力もゼロになります、
という性質の、まさにネットワーク時代の申し子のような
プロジェクトじゃないかぁ、わお!
コンテンツ x コンピューティング x ユーザ =
デジタルライブラリ
みなさんも想像をしてみてください。
どんな感じのものがいいですかねぇ。
いやいや、「地球規模のディジタル図書館」でしょう。
ユーザの方は、これからどうなるんだろう?
ゼイタク過ぎてもてあますお嬢様状態になるのか。
でも逆に、情報中毒からくる飢餓状態となるかも。
「ネットワーク上の」ということは、
資料は無限といってもいいくらい存在することになる。
今の図書館だったら「無い」と言われれば無い。おしまい。
あるいは「アメリカ議会図書館にはありますが…」と言われても
お取り寄せは難しい。「あーあ、アメリカかぁ」だったですね。
でも今はクリックひとつで「お取り寄せ」可能ですから。
読んでも読んでもまだ何かあるかもしれない、という焦燥感に
襲われることになるかもしれない。
さてと、今ディジタルライブラリは超難問を沢山抱えて、
それぞれに向かって挑戦を続けています。
例えば、既存の資料のディジタル化だけでもすごい労力が要るし
その上出版物は増えつづける一方だから
どこまでディジタイズするんだという問題。
データがネットワーク上にただ散在しているだけでは利用しにくく
探し出すのは難儀なこと。
ではどういうふうに整理するのか。
誰がどこにそれを蓄積するのか
それから保存する媒体の問題。
形式は? 圧縮方法は? 再生機は永遠にあるのか?
あとあと、とても大切な著作権の問題。
ディジタルデータはコピーは簡単だし
誰のものかわからなくなってしまう。
そういうことの法律の整備の問題。
他にも山とある問題を抱えつつ、
大学が、企業が、政府が協力して研究開発を
続けているわけです。
で、このディジタルライブラリが進んで
「図書館」そのものの概念が大きく変わってきました。
これもおもしろいポイントなんです。
これまでどちらかというと蓄積・保存に力を入れていたけれど
ディジタルライブラリが始まると、
図書館も情報発信を積極的にやることになります。
きっとこれからも随分と姿やコンセプトは変わっていくはず。
注目していきましょう。
ところで「探す」って大変ですよね、インターネットでは。
簡単に探し当てるための研究っていうのも
なかなかおもしろいことが進んでます。
アノテーション、って聞いたことあります?
次は、そんな話も探ってみようかと思います。
* 注:1 NSF: National Science Foundation
2 DARPA: Defense Advanced Research Projects Agency
3 NASA: National Aeronautics & Space Administration
4 NLM: National Library of Medicine
5 LOC: Library of Congress
6 NEH: National Endowment for the Humanities
7 FBI: Federal Bureau of Investigation
● ディジタルライブラリを知る便利な資料 ●
図書館情報大学HP: http://www.ulis.ac.jp/
Digital Libraries Initiative HP: http://www.dli2.nsf.gov/
Library of Congress HP: http://lcweb.loc.gov/
国立国会図書館 HP: http://www.ndl.go.jp/
「電子図書館」(長尾 真著:岩波書店)
「情報処理 VOL.31 No.9」(情報処理学会)
「だれのための電子図書館?」(津野梅太郎:HONCO双書)
図書館情報大学の杉本重雄先生には特別に資料をいただきました。
感謝、感謝。
ではまた。
marsha
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