OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.38
- techies day -


こんにちは。
今日はアメリカの「テッキーズ・デー」のお話です。

本題にススム前に
生まれ故郷の室生犀星で泉鏡花な金沢市の
大工町(だいくまち)の話をちょこっと…。
そこは、昔から職人さんが多く住む界隈でした。
大工さん、建具やさん、たたみやさん、
たびやさん…などなど。
毎日、家の扉を開け放して、
トンテン、トンテンと仕事をする職人さんの
見事な手さばきを眺めることができる
ほのぼのとした街でした。

ところが!!です。
バブル期には例に漏れず、地上げが横行し
貴重な職人さんたちは1人消え、2人消え…。
愕然とするラブホテルが進出し
もう!大工町の「大工」はどうなったんだ!え!?
という、うらさびれた哀しい有様です。
かろうじて、小学校の同級生のかっちゃんが
たたみやさんを継いで、まさに大工町の棟梁として
がんばってくれてます。かっこいいー!!!
でも油断してると、失われ行く職人さんなのです。

さてそんなわけで(?)「テッキーズ・デー」です。
Techies というのは、いわずもがな、
Technology、 Technical、 Technician の
Tech からとっています。
つまり、テッキーさんたちの日だから、
テッキーズ・デーです。

いや、ちょっと待って。
テッキーズとは誰をさすのでしょう?
職人さんたちのこと?

アメリカ人が選んだ「テッキーズ・オブ・ザ・センチュリー」
(そんなのあるのかぁ)をみると
1位:ビル・ゲイツ
2位:ヘンリー・フォード
3位:ライト兄弟 …
が並んでいます。

見ておわかりのように、この方たちは
そう!アメリカンドリームな人たちですね。
大工町の「職人さん」とはちと違うなぁ…。
日本人でいうと、井深 大さん、盛田昭夫さん
本田宗一郎さんのような方たちに
匹敵するといえましょうか。
職人とか技術者というよりは「テッキーズ」とは
「研究者や技術者としてだけじゃなく、
それを元に成功する起業家や実業家としても
才能のある人」までを含める言葉であるようです。

ちょっとややこしいですね。
つまり、単なる職人というカテゴリーじゃなくて
ひろーい意味で「技術の専門家」
と捉えた方が「テッキーズ・デー」のことが
よりわかるかもしれません。

そんなアメリカの「テッキーズを育てる」イベント
「テッキーズ・デー」を紹介してみます。
こういう運動がアメリカの産業の土台を支えていて
ITも「仮想」じゃなく「現実」となっているんだな
ということがわかってきます。

要するに「テッキーズ・デー」とは
今、技術者不足が問題となっていることを
(アメリカでもそれは大問題なんですねー)
国民に知らせ、技術がいかに大切かを啓蒙し
子供たちの理科系離れを食い止めようという
草の根運動から始まったイベントのことなんです。

前にここで「アース・デー」を紹介しましたけど
あれも草の根活動が成長したものでした。
今では日本も含めて世界で「アース・デー」イベント
が行われて「アースコンシャスライブ」なんて
いうのを観た人もいると思うけど
あれの理科系バージョンだと思っていただけると
いいかもしれません。

「テッキーズ・デー」は
1999年10月5日に始まったもので今年で2年目です。
毎年、10月の第1火曜日を(今年は10月3日)
「National Techies Dayにします!」と決めました。

特徴は、非営利であること。
大きなスポンサーがついていること。
(Atomic Tangerine、 Gartner Group、
Microsoft、 Compaq、 AOL、等々…)。
子供向けのイベントが全米に渡って開催され
ボランティアで現役技術者がそれをサポートすること。
地方の企業がそれぞれの特色を出すために
積極的に参加していること。
産・官・学が協力して行っていること。
インターネットを活用すること。
堅苦しくないこと(これは感想ですけど)。

それから、やっぱり、絶対!
バーベキューがあるんですねー(笑)。
アメリカンだなぁ…。
これ、大事だと思いますよ、私。

食べ物で釣れ、と言ってるんじゃないけど
日本でこういうのを考えると
異常にカシコマルわけですよね。
「それを運営する人々のための会」になりがちで
大きなホテルで「懇親会」と呼ばれるパーティが
あって、ネズミイロスーツの、
黄昏時のおじ様方が
名刺交換と親睦をはかる場だけが目立っちゃう
んですね。看板には「…月間」みたいな
カタク大きな文字。うーーん、もったいない。
せっかくやるなら
参加者が本当に興味を持って技術に触れて
なおかつ、楽しめる体験ができる…
そういうイベントをめざすべきだと思うんです。

具体的には

  • 子供たちが会社を訪問して技術の現場を見学
  • 学年別に技術を競うコンペティション
    (Techie Team2000、Techies of Tomorrow)
  • 全米250以上の科学技術博物館で技術教育啓蒙イベント
  • 産官学のリーダによる IT 労働力確保のためのサミット    
等々の行事が行われます。

これを読んで下さっているアメリカ在住の皆さまは
なにか「テッキーズ・デー」についてご存知でしょうか?
あ〜ら、ウチの息子が参加するのよーとか
ウチのパパは借り出されて大変だわ〜とか。
そのあたりの現場の話をお聞かせ
願えたらとてもうれしいのですが…。
よろしくお願いします。

主催者の方にお話を伺うと、
『Techies Day は
誰という言い出しっぺがいるわけではないけれど
CNET と Techies.com という2つの会社が中心に
なって創設し、始まった。
今は、より多くの学生と新しい企業を
Techies Day に巻き込む必要性を感じている。
そして地域社会へ還元をすることや、
全国的な展開を進めるべきだと考えている。
その主旨に賛同したゴア副大統領や
多くの政府機関もサポートの声を上げてくれた』
と答えてくれました。

ただ、現在の段階では政府からは
資金的な援助はないそうですが、
これからも働きかけて行くということでした。

それは「今」ということよりも
「将来」を考えると、
アメリカをひっぱっていくテッキーズの必要性は高く、
そういう「長期的な視野」に立てば、
この運動の盛り上がりも必然なのでしょうね。

このような感じでじわじわっと長ーい目で
IT 基盤を強固にしていっているという点で
ちょっと注目すべきイベントのようです。

日本も今や技術者(特にIT技術者)が
どんどんどんどん必要になって、もう足りない状況です。
だからインドなどから優秀な技術者に
来てもらおうという方針を掲げていますよね。
同時に国内の理科系さんも増やさなくては
いけません。頭ひねる必要ありです。

来る今年のテッキーズはどうなるんでしょうか。
センタンのサイトに関連レポート
がありますのでそれもどうぞお読みください。

そのうちテッキーズ・デー・ジャパンが
あるかも…。

marsha
special thanks to Mr. Ishii

2000-10-02-MON

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