OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.50
- active database -


active

楽しいバーチャルワールド“デモ”見ようツアー。
いよいよ佳境の第4セクションは
アクティブデータベース応用システム編
ウェルカム・オン・ボード。

Active GIS

このごろ携帯電話などのモバイル端末で
活躍するようになってきた注目株!
「位置情報」技術のことやなんかのお話です。

vol.42の、次世代携帯電話の話のところで、

「私は、GPS(Global Positioning System)を
利用したサービスに期待しちゃいます。
カーナビと同様に、位置情報をGPS衛星に
よってキャッチし、その場所で必要な情報、
例えば、近くのどこにお店があって
自分の欲しいものはそこにあるのか
いわゆる在庫情報がわかったり、
データベースにある様々な情報を
位置に従って受け取ることができるように
なるサービスがあるんです。
位置がわかれば、受け取る情報を的確に
絞っていくことができるから
正しい情報に近くなっていくわけです。」

なんてね、ぼんやり書いていたのですが…。
私の夢なんかはるかに飛び越えてさらに先を走る、
位置情報とモバイルコンピューティングの研究に
『バーチャルワールド“デモ”ツアー、ナニワ編』で
出会っちゃったんです。うふふ、感動。

それは Active GIS というシステムです。

Active GIS (Geographic Information Systems) とは、 GPS機器と無線通信機能および電子地図を備えた 携帯端末にアクティブデータベースを 組み込んだ地理情報システムです。(Active GISのHPより)

モバイル
こうやって持ち歩いて、その場で欲しい情報が
「聞いてもいないのに」自動的に入ってくる
超親切印のサービス。
なんと…。

そして今日のキーワードは:

  • アクティブデータベース
  • アクティブモバイルデータベース
  • ECAルール
  • 自動的

    はて、さて、何のことでしょう?

    ということで、謎を解くべく、
    大阪大学大学院工学研究科情報システム工学専攻
    助手の寺田さんに、このActive GISのことを
    教えてもらうことにしました。

    アクティブデータベースECAルール

    Active GISは、
    アクティブデータベースに
    さらにモバイル機能をドッキングさせた
    アクティブモバイルデータベース
    を使っています。

    では、アクティブデータベースとはなんでしょう?

    寺田さん: 普通のデータベースっていうのは,
    外から命令されないと
    なにもできないんですけど,
    アクティブデータベースは
    ルールによって勝手に動く!
    ということが違いなんですよ。

    今日はいろいろな名前と概念が出てきて
    大変なんですけど、その中でも
    この“ルール”っていうのが
    どうも、今日のキーポイントなんだなぁ。

  • E=Event=発生した事象
  • C=Condition=条件
  • A=Action=実行する操作

  • というECAルールが動作することによって、
    その場、その場で必要なデータや
    アプリケーションの受け渡しをするんです。
    そうすることで、
    自動的に位置に依存する情報を
    流せるようになっているシステムです。

    そして、アクティブデータベースとは

  • 状態の変化に対応して自動的に行動を起こすデータベースである。
  • イベント・コンディション・アクション の3つを一組にしたECAルールで動作を記述する。

  • というものです。
    こんな流れになってます。

    データベース
      ↓(ECAルール)
    アクティブデータベース
      ↓(モバイル機能の付加)
    アクティブモバイルデータベースシステム
      ↓(位置依存性の付加)
    Active GIS

    的を射たサービス

    Active GISというシステムは、
    モバイルコンピューティングの真髄というのを
    ちゃんとつきつめているのではないかなと
    私は思いますねー。

    自分の動きと要求内容の変化を考えてみると、
    当然、移動するにしたがって、
    欲しい情報が変わっていくということに
    気がつくわけです。
    その変化にちゃんと対応し、
    その場で起こる要求をしっかり
    「予測」するかのように
    情報をユーザに送り届けるんです。

    今さかんにコマーシャルされている
    位置情報サービスというのは、
    サーバから端末へ、情報だけを
    「ユーザの要求に応じて」
    ダウンロードしているもので、
    まだ「先回り」という段階のものでは
    ないのだそうです。

    それに対してActive GIS
    サーバから端末へ、アプリケーションも一緒に、
    自動的にダウンロードするというもので、
    ECAルールによって「先回り」が可能になります。

    ツトムくんの一日。

    具体的にはどんなものなのか?
    ここで、昨日のツトムくんの行動を
    追ってみましょう(ツトムくんって誰?)。

    まず、ツトムくんは街にでます。
    たまたまブックショップに近づいて行くと
    モバイル端末(携帯電話とします)が
    「お探しの本がありますよ」と
    情報を流してきます。
    実はツトムくんは、本を探していることすら
    忘れていたのでした。
    でもアクティブモバイルデータベースが
    ちゃんと覚えていて、教えてくれました。
    mobile2
    端末は、今ツトムくんが居る場所付近の
    ブックショップの位置と
    欲しい本がその店に入荷しているかどうかを
    自動的に表示します。

    お探しの「データベース入門」があるよという
    情報の表示サンプル
    です。

    というわけで目的の本、お買い上げです。

    次にワクワク今日のデートコース!
    ツトムくんはガールフレンドのトモミさんと
    富士急ハイランドに近づきます。

    「駐車場、30台待ちです。
     推定待ち時間10分です。」

    自動的に携帯電話に表示しているのを確かめて
    スルーっと富士急ハイランドに入ります。

    次はアトラクションの
    待ち時間が気になります。

    「フジヤマ、待ち時間3時間です。」

    とまた自動的に表示。
    「うわー、たまんねー。 キングオブコースターだもんなぁ。
    じゃ、ちょっとおとなしめだけど
    マッドマウスにしよっか。」と
    マッドマウスに近づくと

    自動的に
    「マッドマウス、待ち時間20分です。」

    とモバイルが答えてくれて、
    ツトムくんとトモミさんは
    スマートにマッドマウスに搭乗。
    めでたし、めでたし。

    しつこいほど太字なので(笑)、
    もうおわかりのように、ここで大事なのは、
    情報が自動的にサーバーから端末に
    入ってくるというシステムです。

    それから、本の情報を流している
    アプリケーションと
    富士急ハイランドの待ち時間を
    流すアプリケーションは
    別のアプリケーションなんだけど
    一つの端末でオーケーという便利さです。

    で、こういう機能はすべて、
    アクティブモバイルデータベースで
    ECAルールが動作しているために
    可能になっちゃうわけです。
    ツトムくん、よかったね。

    アクティブカラオケ

    Active GISは、
    アクティブモバイルデータベースを
    利用したモバイルなサービスをする
    アプリでした。
    それなら、モバイルじゃないんだけど、
    アクティブデータベースを展開して
    アクティブカラオケというソフトも
    作っちゃおう、というのは、
    音楽好きの塚本研究グループの当然の
    成り行きでしょうね(笑)。

    これは、
    歌詞の内容に従って
    ECAルールが動作して
    自動的にデータベースから
    カラオケの背景画像を
    取り出してくれる
    まさに「アクティブ」な
    カラオケの画像環境です。

    こんな感じよ。
    karaoke
    絵がよく見えなくてすみませんが
    「潮風が俺のココロを打つのさ〜♪」
    という名曲、「塚本昌彦のテーマ」(!)の歌詞から
    波がザブーンと打っている画像を
    アクティブカラオケが、データベースから
    自動的に探し出して表示しているものです。

    「これがめちゃくちゃウチワ受けするんですよ〜(笑)」

    という寺田さんは、
    アクティブデータベースやアクティブカラオケの
    研究のことも、
    塚本研究グループのHPで詳しく説明してくれています。
    ぜひ見てください。

    寺田さんは、ベースも弾くし、スキューバもやる
    まさにマルチな研究者で、
    モバイルバーチャル音楽セッションでも
    タイトなベースを演奏してくれました。

    その様子など、ちょこっと。
    session
    (わたし、寺田さん、小川さん-IBNR、塚本先生)
    楽しそうでしょ?
    寺田さんはこのバーチャルベースも開発しているので
    あとでまたご登場いただきましょう。

    それにしても…。
    Active GISのようなアプリができると
    コンピュータのサービス業進出が目立ってきて、
    人間よりもきめ細やかな
    サービスが可能になってくるのかも。
    でもだからってその分、
    人間自身がザラつくのはイヤですね。
    きめ細やかなコンピュータと
    優しいインタラクティブ性を持つには、
    人間もさらに上のレベルへ
    進まなければならないのでしょう。

    あ、本末転倒でしたね(笑)。

    次回はバーチャルワールド“デモ”見ようツアー
    終盤の第5セクション。
    拡張デスクトップ編です。

    marsha
  •  

    2001-05-14-MON

    BACK
    戻る