OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.55
- blink! blink! -


こんにちは。

前回は、長尾さんの
「シカクくてクロい」ロボットプロジェクト、
QBプロジェクトに参加してくれる
学生研究員募集のお知らせをしました。
引き続き募集していますので、
ココをご覧ください。

QBの秘密を少しずつ明かしてくれてる
IBMの長尾さんは、
ロボットに無意識的なマバタキをさせることで
ロボットに対する人間の居心地の良さが
生れると考えます。

QB

確かにじっと見つめられていると
「何ですか」といいたくなることありますねー。
バリ島のビーチで、ジャワ人に遭遇したとき
1分間くらい何も言わずにマバタキもせずに
見つめられて困ったことがありました。
どうもジャワの人は
人を観察するのが習慣らしくて
変な意味はないとわかってほっとしたけど。
やっぱりあの緊張感は耐えられない…。

ロボットの無意識のマバタキ。うん。
すごい興味湧きます。

もう一つ、ロボットは人間にとって
「どういう存在でなければならないか」
についての長尾さんのポリシー。

ズバリ、「礼儀正しさ」。
コレです。

ちょっと脱線するけど
私は、礼儀正しいことと心との関係を
このごろ考えてしまうことが多いです。
人間の場合、気持ちのこもらない
礼儀正しさが横行してしまうと
心にはさびしさが蓄積するような気もしてきます。
かと言って心が無ければ礼儀正しくは
なれない(慇懃無礼じゃなくて)し。

おっと、これはスピルバーグの「A.I.」を
見てからまた考えてみましょう。
長尾さんもまさに人工知能分野の科学者なのです。

で、人間だって難しい「礼儀正しさ」。
長尾さんがロボットに要求していくことの
根拠とは…?

今日はこの非常にコアな部分に迫ります。

マバタキの必要性

ナガオ 人間だってマバタキしますし
目をそらすこともあるし
そういうような、だから
アイコンクトって言うけど、
実はアイコンタクトがずっと続くと
疲れるんですよね。
マーシャ お互いに疲れるし、ツライですよね。
ナガオ それは、相手がロボットであっても
ずっと(ロボットに)見られてるっていうのは
イヤなんじゃないかなぁ。
マーシャ 緊張感を和らげるためのマバタキ。
ナガオ そう。
これからはもう24時間使うわけですよ、
ロボットを。
もちろん、必要が無かったら、
別に話しかけなきゃいいわけだけど。
でもずっと使うことになった時に、
ずっと話をしていることに耐えられるか
というのが、結構重要なテーマなんです。
そういう意味で、人間が不快感を感じるような
ことは、やってはいけないんです。
ロボットは礼儀正しく…。

マーシャ
&ナガオ
(同時に喋る)怒んないように?/
すごく重要なのはね。
ナガオ あーーっ!今ちょっとやってしまいましたけど
人がしゃべっている時に、
ロボットはしゃべんないってこと。
マーシャ カブラない?
ナガオ そう。カブラないこと。
カブラないっていうのは、絶対
原理原則として組み込もうと思って。
マーシャ 相手が終わるのを待つ?
ナガオ そうそうそう。
ロボットに人間がカブルのは、
やむを得ないです。
人間はわがままですから。
でもロボットは、
人間がしゃべっている時に口出しをしない。
マーシャ 主従関係ですか…。
ナガオ そう。それがね。
ある種の礼儀正しさなの。
ロボットは礼儀正しくなければいけない。
マーシャ ポリシー?
ナガオ そう。ポリシー。
だから、「ダメー?」とか「アソボー」とか
「バカー」とか、そういうの、絶対ダメ!
マーシャ 「ダメでございますか?」って?
ナガオ 「あーダメじゃん」っていうけど(笑)。
マーシャ なんかすごいこと言われましたよ。
Pongにさっき質問されたとき。
ナガオ Pongは、それは会話の流れ上ね…。
マーシャ 「てやんでぇ」系ですね。
Pongちゃん、江戸っ子なんだ。
ナガオ そうそうそう。
マーシャ ご愛嬌で?
ナガオ 「ございますか?」っていうのもアレだから。
「やってらんねー」とか。
それはお遊びだからやむを得ないけど。
基本的には礼儀正しい。
マーシャ あのシーマンだって、
悪口を言いながらも、
一歩引いていますよね。
ナガオ そういう節度は失われたらマズイんじゃないかな。
つづく。
* * * *

このあと、
QBやPongのライバルのロボットについて
おもしろいと言ったらしかられちゃうけど
涙、涙の長尾さんの嘆きが続くんです。
でもねー、これ、ここで書いちゃうとまずいんだな。
ちょっと、いろいろ事情が…。
ああ、書きたーい。

で、次回はそれもちょっとバラしつつ(笑)、
いよいよ「トランスコーディング」という
長尾さんの本業(?)の話へと移るのです。
「アノテーション」という言葉も出てきます。
これはインターネットが発達すればするほど
凄く必要になるシステムの話になります。
お楽しみに。


marsha
illustration by 片桐由希子さん(慶応義塾大学)

2001-07-11-WED

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