OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.67
- Earth Simulator -


世界最速コンピュータ!

-- 2002年3月11日。
世界最速、超高速並列コンピュータ
「地球シミュレータ」の全システムが、
運用を開始しました。--

  【地球シミュレータ】
 ★ピーク処理速度:40テラフロップス*1
 ★主記憶容量:10テラバイト*2
*1 1テラフロップスとは、
 1秒間に1兆回の浮動小数点演算を行う処理速度
*2 1テラバイトとは、1兆バイト

さすがです。圧巻だったですよ〜。
いわゆるというか、正真正銘の
スーパーコンピュータ
地球シミュレータの横川研究員のお招きで、
センタンの人たちみんなで見学の巻。
センタンに来てよかったな〜。

それは、寒い風の吹いていた横浜郊外。
産業道路から少し入ったところに静かに建つ、
かまぼこ型ドームの中にありました。

およそテニスコート4面分の広さのフロアに
ドドーンと640台のマシンが連なる様を
ちょっと目をつぶって想像してみてください。
1m x 1.4m x 2.0m の大きな箱を縦に立てて
ドミノみたいにズラーリ整列しているんです。
その並び姿といったら、
そりゃもう壮観!!!!

ちょっと高見になっているウィンドウから
ドームの内部全体を見下ろすと、
ドミノのように見えるそのコンピュータの
640個の箱(筐体)の色が、
ブルーとグリーンで統一されていて、
海の中で揺れる海藻みたいに見えたりして。
(地震でもこないと揺れませんが)

マシンのフロアは土禁、ということで
みんなでスリッパに履き替えて下へ降りる。
マシンの間を緊張しながら歩くと、
人の気配もほとんどなく(どこにいるのだ?)
ゴォォーと低く響く空調音だけが
全身にまとわりついてくる感じです。
だからお互い話す言葉が聞き取りにくくて、
さらにドームの中で音は反響し、
まさにスキューバダイビングの気分。

床が少し開いていて床下が見えたのですが
これが、びっくり。ケーブルの森。
ブルーの美しいケーブルが五万と重なり合い、
そこに落ちてしまっても多分大丈夫くらい
クッション効いてそうなフカフカ感が見える。
そりゃー大規模コンピュータが
640台もつながっているんだもの。
ケーブルの量も半端じゃないのです。

ふいに横で「こりゃーネズミの被害が凄そうだな。」
GRID研究センター長、関口氏のつぶやき声。
「えっ?そうなんですか?」
今は出来たばかりで想像できないけど、
ケーブルはネズミの大好物なんだって。
ゾゾゾォーと鳥肌立つですよ。
マウスとコンピュータが
いくら仲良しと言ってもねぇ…。
(ちゃんとマウス対策あるらしいです。)

いやはや、とにかく、現在、
世界で最高に高性能なコンピュータです。
つまり世界最速なのだ。といってもねー。
ロケットとか夢のリニアモーターカーみたいに
飛んだり走ったりしてくれるわけじゃないのだから、
いわゆるスピード感は味わえないのよ。
その箱の中で一心不乱に(そんな感じします)
計算をやっている世界最速の、
マシンをじっと眺めることになるわけです。
「あなた速いのね…」とか声をかけたりして。
(うっ、ちょっとさびしい…)

ASCI WhiteもASCI Qも抜いて
世界トップになって、
「快挙、日本!」ということになるんですね。
なぜオリンピックほど騒がれなかったかなぁ。
これこそ金メダルなのに。

このグラフを見てね。
世界の中の地球シミュレータ

ちなみに去年の11月現在の
スーパーコンピュータの トップ500はここにあります。
そして今年の6月に
新しいトップ500が、SC2002という
スーパーコンピュータ国際会議@ハイデルベルグで
発表されるということなので
更新をワクワク待ちましょうー。
でもそれまでに抜かれることもあるのかも…。
今すぐ更新して欲しいなー。
…って、私が焦っても仕方ないけどサ。
(登録デッドラインは4月15日)

センタンにはいろいろわからないこと
たくさんありますけど、
特にハイエンドコンピューティングだの
アーキテクチャーだのという
キカイ、キカイとしたところ。
要するに超の上にも超理科系な世界は、
私にとっては暗黒の摩訶不思議難解地帯。

でも中には分かる人も読んで下さっていて、
「すごかったー」だけじゃあ、トホホだし、
少しだけ具体的に数字などを並べてみましょう。
それ以上は、サイトに行ってどうか
理解と納得を…乞う。

上記の地球シミュレータのHP資料から、
地球シミュレータは、

8台のスーパーコンピュータからなる計算ノードを
高速のネットワークで640台つないだものです。
(総計5,120個のスーパーコンピュータから構成)


と。
もう少しハードウェアな数字を並べますと、

仕様
・計算プロセッサのピーク性能:8GFLOPS
・計算ノードのピーク性能:64GFLOPS
・計算ノードの主記憶容量:16GB
・総プロセッサ数:5,120
・総計算ノード数:640
・ピーク性能:40 TFLOPS
・主記憶容量:10 TB


■○×▲十%#*$○…。トォーっ!


地球シミュレータはなにをするのか?

計算処理の速さ…これもテクノロジー的には
ウルトラトリプルCでトップオブザエベレストな
ハードウェアの熾烈な闘いが
F1レースのごときくり広げられているんだけど、
ではそのハードは「何のために作られたのか?」
これも、もっと知りたい。
で、こっちはソフトウェアの世界です。

もちろんのこと、「名は体を表す」ので、
「地球シミュレータ」はコンピュータの名前で
あると同時に、その機能も、まんま
地球をシミュレートすることです。
つまりコンピュータ上に
「仮想地球」を創って地球のさまざまな謎を
解明しようというチャレンジングプロジェクト。

またまた資料のページをめくると、
「地球シミュレータ計画」というプロジェクトが、
1997年、文部科学省(当時科学技術庁)のもと、
・海洋科学技術センター
・宇宙開発事業団
・日本原子力発電所
の3つの組織によって、スタート。

その一環として開発された
スーパーコンピュータが
「地球シミュレータ」なんですね。

そしてその目的というのが、
「地球変動現象の解明と予測」であります。

つまり、
地球温暖化現象やエルニーニョ現象
洪水、干ばつ…など地球規模で
起こる異常な現象の解明と予測をすること。

必要ですぅぅ〜!大事ですぅぅ〜!
人類を待ちかまえる究極の大問題です。
「異常気象」。

だって毎年なんだか季節ごとに
「ね、ね、ちょっと今年暑くない?」
などとつぶやきあい、
実際に猛暑の夏を何度も経験してるし、
「な〜んか異常だよね」と眉をひそめる
ような私たちの身近な感覚から始まり、
未来の地球はどうなっちゃうのよ、って
「特命リサーチ200X」見ながら
忍び寄る不安と恐怖…におびえる日曜日の
疑問を解消するタメにも、
地球シミュレータは、これから
とてもお役に立つスーパーコンピュータ
といえるわけです。

ASCI(アスキー)プロジェクト

ところで、
20世紀のスーパーコンピュータ界の記録を
次々と塗り替えてきた、アメリカの
ASCIプロジェクトは、
ASCI RED、ASCI BLUEシリーズ、ASCI WHITE、Q
と、数々のスーパーコンピュータを
産みだしてきたのですが、それらは、
軍事的意味合いの目的がかなりを占め、
(それだけでななくいろんな実験にも
もちろん利用されるわけだけど)
スーパーコンピュータ開発に
多額の国家予算が使われ、その性能を高め、
且つ世界一位の座をキープしてきたという
大きなプロジェクトなわけです。

対して「地球シミュレータ」は
文部科学省のバックアップですし
目的も地球変動の解明で、極めて
アカデミックな柔和な感じします。
がんばってもらいたいです。

この地球シミュレータで採用された
ベクトルプロセッサ並列技術というのは
アメリカが採用してきた(今もしている)
スカラープロセッサに対して、
専用性が高く、性能アップに適した
技術なんだということです。
(センタンの石井さん、ありがとう)
これは、日本のお家芸とも言える
誇るべき超並列技術を駆使して
アメリカからトップの座を奪い返したという、
なかなか意味深い出来事なんです。
この争い(おもしろいの)のことを語るだけでも
余裕で朝になるくらい深いのよね。

ここら辺の説明は
「スーパーコンピュータの動向」という
かなり詳しい解説してくださっている先生の
(助かった。)
ページをぜひ読んでみてください。
とてもわかりやすいと思います。

というわけで、
まさにこれはセンタン中のセンタン、
トップオブザトップの研究でありました、まる。

さて、次は
超分散システム
グリッドコンピューティングに
光をあててみようかなあと
思っています。
これもかなり難しい分野で
司令塔(ひさびさ)曰く、
「これは無理でしょ、あなたには…。」

チャレンジしましょうぜ。

ところで、GRIDって聞いたことありますか?
ではお楽しみに〜。


marsha
Special thanks to Dr. Mitsuo Yokokawa@EarthSimulator

2002-03-18-MON

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