海道: |
ではこのゲームが上田さんによって
作られた経緯を説明しますね。 |
まーしゃ: |
はい。 |
海道: |
上田さんの方で、基本的なゲームの設定とか
こういうゲームにしたいという基本構成が
5年くらい前からあって。 |
上田: |
'97年の6月からですね。 |
海道: |
そうそう。
彼は企画書から書くんじゃなくて
こういう世界でこういうストーリでっていう
ムービーをまず作っていたんです。
彼は CG アニメーターだったので。
これはおもしろそうだ、というので
スタートしたんです。
当時、プレステで作っているうちに
プレイステーション2が出てきて。 |
まーしゃ: |
ごめんなさい。
ここらへんが全然わからないんですけど、
プレイステーション 1と2では
格段に違うんですか? |
上田: |
もう全然! |
斎藤: |
比べてしまうとやっぱり違うね。 |
まーしゃ: |
じゃ、1から2に移行するときは
やっぱり大変なんですか? |
海道: |
そうですね。
ま、大変というのは、
まずそれまで作っていたものが
全然違うハードに移るのでやり直しになることと、
あとは、上田さん的には
ハードの表現力の違いがあるから
このハードだったらこうやって見せた方が効果的、
という、見せるポイントが違ってくるという
バランスとりで
ちょっとつらかったみたいですね。 |
上田: |
そう。
ハードの違いで振り回された感じですね(笑)。
こんなとこまで見えるのかってね。
プレイステーションでは、
低解像度であったりとかして、
キャラクタの顔がはっきり見えないから
想像にゆだねていた部分まで
2では描写できるようになって。
あ、見えるんだというので、
そこまでつくりこまなきゃいけない。
‥かと言って、プレイステーション2でも
想像にゆだねる作り方もあると思うので
それはまた違うのかなーと思うんです。
ぼくとしてはこのハードスペックで
めいっぱいのものを、ってことで、
ICO のような表現になっているんです。
例えばシワとかまで表現することが
リアリティを上げることだとは思わなくて。
現状ではこれが限度だと思ってる。
白っぽい表現(女の子の肌の色)というのは、
もっと人間ぽく表現することもできるんですよ。
そうすると現状ではマネキン人形にしか見えない。
もう少しポリゴン数とか描画スピードが上がれば
ちゃんと人間らしく見える表現が
できると思うんですけど
やったところでマネキンにしか
見えないのであれば
少し落としてでもリアリティがあるようにしようと。 |
まーしゃ: |
使える材料、つまりスペックがあるとしたら
どこに山を持ってきて、
どこに力を入れるかという
マッピングが頭にあって‥? |
上田: |
それはハードスペックだけじゃなくて
スタッフとかを考慮した上で
そうなったっていうのはあります。 |
まーしゃ : |
上田さんが最初に作られたという CG の作品は
だいたいこういう感じのさびしい‥。
あ、さびしいというか、
メランコリックなトーンなんですか?
最初からこんな感じ? |
上田: |
そうですね。 |
海道: |
変わらないですけど、
むしろ前の CG の方がゲームっぽい要素が
ありましたね。
レーザー光線があったりとか。 |
まーしゃ: |
レーザー光線ですか。 |
上田: |
爆発シーンというサービスカットも
必要だろうと思ってたんですね(笑)。 |
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--敬称略です--
|
つづく。