斎藤: |
海外バージョンのパッケージを
持ってきたんですけど。
韓国、中国、アメリカ、ヨーロッパ版です。
みんな違うけど、
アメリカ版はパッケージがすごく違う。
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まーしゃ: |
あ、アメリカ版のイコの顔!
イコって顔はこんなだったの? |
斎藤: |
いや、アメリカ版のジャケットは、
アメリカのマーケティングの人が
イコの顔を作ったんです。
これが国による解釈の違いですね。
"US old style"のゲームの主人公像がありますね。
ヨーロッパ版は、凝った作りなんです。
これ紙ジャケットなんですけど、
お金かかってるんですよ、見た目よりも(笑)。 |
上田: |
他のゲームと比べて異質ですよね。 |
まーしゃ: |
韓国はモノクロになってますね。
なんだか韓国語が ICO に合うなぁ。
でもゲームの中で使われてる言葉は、
実は何語でもないですね。 |
上田: |
あれは、男の子と女の子が
言葉が通じないことを表現したかったんです。
結果的にローカライズが簡単でしたけど(笑)。
日本語では始まらない。
日本じゃなさを出したかったんです。 |
まーしゃ: |
雰囲気的にはケルティックな感じもします。
やっぱり無国籍ですねぇ〜。 |
斎藤: |
音楽はケルトな感じですよね。
大島ミチルさんの。 |
まーしゃ: |
そうそう、音楽。沁みこんできます。 |
上田: |
何か、こう、つみあげられた歴史が
欲しかったんです。
もう少し軽い BGM もあったんだけど
昔からその風景があったという感じ
を出そうと…。 |
まーしゃ: |
どこの国の人が見ても懐かしい感じを
受けるんですね。 |
上田: |
そうですね。
懐かしさとか、原体験のような感じが
出るといいなと思って。 |
まーしゃ: |
そういう哲学的なところを狙ってた? |
上田: |
正直、自分ではあまり意識していないんですけど。 |
まーしゃ: |
では作っているうちに?
ディスカッションとかでそういう方向に
なったのでしょうか。 |
海道: |
作り手のねらいとか、
ストーリーやキャラクター設定よりも
そういうものよりも、
見せ方で、ちょっとしたことが
何倍にも増幅されているんですね。 |
上田: |
絵というと、誤解があるかもしれないけど
「美しい絵」を作りたいっていうのがあって。
それはきれいなグラフィック
という意味じゃなくて。
例えば、背の高い女の子と
小さな男の子をなんで選ぶかというと、
その2人を風景の中に置くことによって
美しくなる、というようなことです。
それが手をつないでいると美しくなるな、
ということです。 |
海道: |
つまり、見る人の脳をいかに刺激するのか、
というところですね。
上田さんが言っている「美しい絵」というのは
誰が見ても脳みそを刺激されるような
本能的な原体験を取り扱うという点で
海外の人でもわかりやすい、
というのはありますね。
むしろ、ドメスティックなものは、実は
あんまり無いっていう側面はあるかな。
上田さん自身は、まず日本人に
受けるものって考えたんですけど、
それを海外の人が見ると、
「これはうちの市場にもいいな」っていう、
結果的にそういうものになっていくんですね。 |
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上田: |
シチュエーションって
いうことかもしれないですね。
男の子が13歳で、
女の子が16歳の設定ですけど。
アメリカのユーザも
感じているところは似ているんですよ。
伝わりにくいかなと思ったんですけど。
アメリカで「感情移入」が
いちばんひっかかっているみたいで
感情移入させるためのシステムとして
すばらしいという評価を受けたようです。 |
海道: |
感情移入というよりは、一体験というか
すごくリアルにそこにあるものとして
感じているところかな。
ストーリーがあって、
かわいそうと言って入り込んで行くというよりは、
(キャラクタとユーザの)
お互いに距離が縮まっていく的な
そういうところもありますし。
テキストがないのに感情移入していると
いわれてるのは
むしろシンクロ率が高くなっている
ということかなと思うんです。 |
斎藤: |
ICO はストーリーも進展しないし(笑)。
一貫しているんですよね。
お城から逃げること、っていう目的が
あるということで。 |
上田: |
それは大きいと思うんです。
たとえば RPG だと
最終目的っていうのががあるじゃないですか。
誰々を倒すとか。
でもゲームをプレイしていると
そんな目的を忘れちゃうんですね。
レベル上げとか目先のことに一生懸命になってね。
だけど ICO の場合、 常に(目的が)そばにいるし、
モチベーションがつねに傍にあるんです。 |
まーしゃ: |
ほー、それが女の子の存在ですね! |
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--敬称略です--
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