ご近所のOLさんは、 先端に腰掛けていた。 |
vol.97 - Short Shorts Film Festival 2005 - ●ショートショートの季節 すっかり日本の梅雨の風物詩。 ショートショート フィルムフェスティバル 2005 に行ってきました。 東京では6月29日にキックオフ!! 7月4日まで原宿を中心に盛り上がりました。 いまごろは全国ツアー真っ最中ですね。 いつもこの映画祭が素晴らしいなあと思うのは、 あまり目立たない活動なんですけど、 表参道の商店街とタッグを組んでいること。 「表参道といえばショートだね」と言われるくらい、 7年目を迎えて、ますます、 地域と映画祭の信頼関係が強くなった感があります。 そのわけは、映画祭の盛り上がりと同時に、 代表の別所哲也さんはじめ、 映画祭のスタッフとフィルムメーカー全員が 「スイーパーズ」というボランティアとして、 表参道の街のクリーン活動を重ねていることも 見逃してはいけないところです。 去年から東京都との協働も始まりましたし、 街と市民と企業と世界のアーティストが一緒になって ショートフィルムというアートを愛していく、という みんなでつくる「手作り感」たっぷり映画祭として 着実に育っているところが魅力だなあと思います。 ここで応援するのは、まだ3年目ですが、 サポーターとしてもとてもうれしいです。 さてさて、今年のショートは、 時間と体力の続く限り観てやるぞ〜!と 毎日、汗を流して挑みました。 今年から同じ原宿で、 「ショートショート フィルムフェスティバル アジア」 がほぼ並行して開催されていましたから、 暗号みたいなスケジュール表とにらめっこしながら、 あっちこっちと駆け回りました。 いや〜大変だったけど、めちゃくちゃ楽しかった。 ありがとう〜「SSFF」。 全部で約150本のショートフィルムが 上映されましたが、結局観られたのは、 ほぼ50本。あれ〜、まだ3分の1だったのか。 あんなに観たのに。 そうか…。来年はもっとがんばろう。 ●マスターピース ショートフィルムとは、 1本が1、2分から30分くらいの映像作品。 最初から「あーっっっ!」と驚くものもあれば、 じっくり見せて最後に「うわ〜っ!」という どんでん返しが来るものもある。 いや驚くものばっかりではないんだけどね。 とにかくそれぞれに才能とメッセージと、 作り手の気持ちが凝縮されているんですね。 観れば観るほど、おもしろくなってきました。 観ても観ても、飽きることがありません。 なかでも、ピリリと冴え渡るインテリジェンスがあり、 エッジの利いた作品に出会うと もう身体中、電気が走りますよ〜。 今年、わたしがいちばん痺れた、 辻田晃行監督の「マスターピース」という作品を ちょっとだけご紹介します。 監督自ら、「ボクの映画には癖があります。」 とおっしゃるように、 このショート映画は、じつに癖があります。 どんな癖かって? 一言では言えないですけど、 なにか「こだわり」を感じます。 じわりじわりと心の中へ、得体の知れない何かが 忍び込んできて、サイコサスペンスな空気に 満たされていきます。 緻密に練り上げられたストーリーに引き込まれて まるで長編映画を観ているみたいです。 ストーリーはというと、 ある男が、アトリエのような場所で 何かを一生懸命作るんです。 どうも芸術的な木工作品が出来上がるみたいなんです。 画面に「XX日前」みたいなカウントダウンが出てきます。 それは何を意味する日なのか、わかりません。 でも何かに向かって男が 何かを一心不乱に作っていることだけ ほのめかしているんですね。 女も出てきます。なにやらこの女に向かって 男はなんらかの気持ちを抱いているようなのです。 憎しみなのか、愛なのか、それも不確かだけど、 どうも女を日々追いかけていて、 不気味な雰囲気を醸し出しています。 ちょっとヒッチコックみたいなテイスト。 それで、どんどん、近づいてくるんですよ。 Xデーが。 最後の最後まで、そこで何が行われるかわからない。 でもそこここにコネタが転がっていることに 気がつくのです。 例えば、7月14日をめざしているのだなということ。 そして女の名前は、マリー・A・ネット。 男が作っているのは、どうもそれに関係のある 恐ろしいものみたいなんです。 言い忘れましたけど、話は現代です。 フランス革命とクロスオーバーしている 時代じゃないのですが、 男は何かにこだわっているんです。 さて、何なんだろう。 なにかお客さんの意図を小さく小さく裏切っていく展開に、 「えっ?」「えっ?」「えっ?」「えっ?」 って感じで惹きつけられていくんです。 そして、「あーーーーーっ!」という結末がやってきます。 おっと、これ以上は作品のために とっておきましょう。 監督に一言伺いました。 「コネタ満載ですね。」 「うれしいですね〜、 それがわかるとおもしろく観てもらえます。」 「緻密に作ってありますが、 どれくらいのコストがかかりましたか?」 「8〜9000ドルくらいです。」 「え〜?たったの?」 「そうです。」 京都出身の辻田晃行(ツジタ テルユキ)監督は、 アメリカの大学、大学院で映画科を専攻しました。 卒業作品『Cobweb』が 1997年の夕張映画祭オフ・シアター部門で上映され、 各国の映画祭から招待を受け、チェコの映画祭で編集賞、 ドイツの映画祭で銀メダルを獲得。 実は、印刷、ウェブの仕事をしながら映画制作をしている ということで、いただいだDVDのパッケージは自作で めちゃかっこいいんですよ。 でも2作目の『Memory』が途中怖くて進めないんです。 ホラーじゃないと書いてあるので、勇気を出して 続きを観なくちゃと思っているんですけど。 凄いシーンで、思わずバーンってストップボタンを 押したまま。夜中だったし。 そしてPCが壊れてしまいました。 (でも監督のせいじゃありませんから…。) 辻田晃行監督のかっこいいサイト: http://www.t-tsujita.com/ 「サイトでは、DVDを無料配布していますから ぜひみなさんにお伝えください」と。 『Masterpiece』『Cobweb』『Memory』が入ったDVDを 私もぜひぜひみなさんに見てもらいたいと思いました。 ショートフィルムの魅力にはまってみてください! もう1本印象に残ったアニメーションショート 「ショートショート フィルムフェスティバル アジア」の 出品作品で、『BiBi』という作品に惹きつけられました。 ウズベキスタンのアニメーター監督ご夫妻のお話も交えて 次回ご紹介したいと思います。 では! Special thanks to Jun Kusumoto(SSFF) and Director Teruyuki Tsujita(free-man productions). |
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2005-07-15-FRI
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