OL
ご近所のOLさんは、
先端に腰掛けていた。

vol.100
- submission for SSFF2006 -


緊急告知で〜す!

短編映画を作ってるみなさん、
いや、作ってなくても興味があるみなさん。
ショートショート フィルムフェスティバル2006
(SSFF2006)
ただいま作品応募を受付中! のお知らせです。



今年は愛知の国際博覧会でも
Short Shorts Film Festival EXPO
大きな注目を浴びました。
それから今年(SSFF2005)からグランプリ受賞作品は
米国アカデミー賞短編部門のノミネーション選考に
入る権利を授与されることになりましたね。

他にも、クレルモンフェラン国際短編映画祭、
釜山アジア短編映画祭などの国際映画祭と
SSFFの過去7年の実績によって
提携関係が築かれていて、
オフィシャルセレクションのノミネート作品には、
海外映画祭への紹介や、映画祭終了後にも、
幅広く、クリエイターのバックアップが
されるということです。

ますます世界が近くなる! という感じですね。
がんばってみませんか?
私も「ほぼ日」の読者の作品がノミネート、
さらにはアワード受賞! ということになると
…もういまから涙腺がゆるみます。

12月20日が〆切りです!
応募の詳細はSSFF2006サイト
じっくり読んで、ハリーアップ!

辻田監督に聞いてみました。

というわけで、今日は、以前ご紹介した
ショートショート フィルムフェスティバル2006
オフィシャルノミネート作品の監督、
辻田晃行監督に緊急インタビュー!!!

前回、辻田さんの作品とサイトをご紹介したところ、
「読者の方から作品DVDの問い合わせが来てる!
 一人でも多くの人に観てもらいたいから」と、
それぞれの方に、アメリカからDVDを送って
くださいました。作品を観られた方、
クールなツジタホラーお楽しみいただけましたか?

京都生まれの辻田監督は、
テレビドラマ制作に興味を持って、
高校卒業後に単身アメリカへ渡り、
カリフォルニア州立大学ノースリッジ校 (CSUN)
カリフォルニア芸術大学大学院
(California Institute of the Arts)を卒業。
仕事のかたわら数々の短編映画を制作し、
アメリカ国内をはじめ数々の国際映画祭へ
公式招待されました。

今年の「ショートショート」でも、
アメリカで映画の勉強をしている監督の作品が、
いつもに増して多くノミネートされてて、
気になってました。
…そういえば、私がいまものすごく注目してる
オダギリ ジョーさんも、
当初監督になるためにアメリカで勉強したとか…。
で、間違えて俳優コースを選考したとか…。
(あ、脱線だわ。)
アメリカと日本、どこが違うのでしょう?
辻田さんに伺ってみましょう。

辻田さんはどんなきっかけで
映画制作の道へ進んだのですか?


実はアメリカのテレビドラマ制作に興味があって
高校卒業と同時にアメリカに渡りました。
テレビドラマと言っても興味があったのは
「トワイライトゾーン」や「ヒッチコック劇場」
といったアンソロジーものでしたが。
なので、当然ハリウッドのある
西海岸ロサンゼルスを選んだわけで。

最初の頃は映画といえば、お金がかかった
テレビドラマの長編版としてしかみられませんでした。
が、いざ、アメリカに来て驚いたのは
アメリカのテレビ番組の低俗な事。
ここで初めて、僕が日本で夜中に観ていたドラマは
アメリカで話題になったものや人気作品と、
ある意味厳選されたものという事に気がついたのでした。

その後、映画の方がクオリティを追っかけられる
というメリットも発見出来たので、
すぐに映画科に籍をうつしました。

なぜアメリカを活動の場に選んだのですか?

大きな理由は、
その頃の日本映画やテレビを観ていて
いつも感じた事がありました。
それは見た目が“貧乏臭い”。
同じ小さなスペースを描いているはずなのに、
日本の方は、超貧乏臭くて観ていて不快感
(意図的では全くなく、悪い意味で)を感じ、
アメリカのドラマではそれが“スタイル”に
感じさせる作りになっている。

これは実際に行って学んだ方が早いと思いました。
日本で勉強するよりは、アメリカの方が自分にとって
実りがあると思えたからです。
それから今日に至っています。

映画制作ということに関して、
アメリカと日本の違いは何でしょうか?


アメリカでは映画が産業としてしっかり機能しています。
たとえ、インデペンデントに映画を作り続けていても、
たどり着くのはごく少人数かも知れないけれど、
いつか映画監督になって映画を作り、
それで生活が出来るという土壌があるのは心強いです。
現在の日本の辛い状況からユニークな映画が
発信されているのは確かです。
でもそれに値する代償がない限り
長く続けるのは厳しいと思います。
映画製作とお金は切っても切れない仲なので。

ただ、実際の製作、
特に僕のような完全にインデペンデント製作になりますと
アメリカと日本との違いはあまりないように思えます。
今日では機材の調達が安易になったのと
機動性のあるカメラやその周辺機器が安価で
手に入るので心強い限りです。

しいて違いを言えば、
クルーやスタッフ、及び俳優の調達はアメリカ、
特にロサンゼルスは楽です。
映画産業があるので、それに携わる人の
人口はすごいものです。
と同時に競争相手の数も底知れないほどいますけど。
国内からだけでなく海外からもやってくるので…。

基本的には英語映画なので、作った後、
海外の各映画祭に応募しても
ほぼ字幕をつける心配がないので容易です。
日本映画だと面倒くさそうです。

制作する上で、
いままでいちばん難しいと感じたことは何でしょうか?


現在は、映画とは関係ない仕事をしてますので、
時間と映画に費やす予算の調達ではないでしょうか。
時間はどうしても週末しか空きがないため、
他のクルーが嫌がります。
一番の頭痛の根源はやはりお金ですね。
あくせく何年も働いてようやくたまったお金が
わずか数日であっと言う間に消えてしまう。
嬉しいやら悲しいやら。すごく複雑な気持ちです。
その他は比較的準備して撮影に入るので
トラブルは比較的事前に解除しています。

今年、数々のショートフィルム映画祭に出品、
出席されたご感想は?


今回の映画(『マスターピース』)で
日本のSSFFを含め4カ国の映画祭に出席出来ました。
前々回の映画ではあまり映画祭に出席出来なかったので
今回は可能な限り出席したつもりです。
感想は、正直、どの映画祭からも得られるものがあり、
どれも満足しています。
映画祭で賞をとれればそれにこした事はないですが、
何よりも各国からのフィルムメーカーとの交流が
一番大切だと思っています。
この交流の場でお互い触発され、励まし合い、
そして最後には「やっぱり映画つくっててよかった
と感じ「よしもう一本撮るぞ」と勇気づけられます。
きれいごとのように聞こえるかも知れませんが、
これは事実です。

どの映画祭がいちばん印象深いですか?なぜ?

印象深いのは、ルーマニアの映画祭です。
まったく予備知識ないルーマニア。
空港に降り立つとスタッフの人がホテルまで送迎。
次の日には映画祭開催地までバスで5時間、
フェリーで4時間という
ウクライナとルーマニアの国境近く(黒海付近)まで
連れていかれて、
そこで目にするのは豪華なホテルに食事。
まさしくいたれりつくせり状態でした。
しかも全て無料。
あげくのはてにヘリコプターで
ゲストのピーター・グリナウェイ監督はやってくるわで。
最後まで驚きの連続でした。
そこでも良い出会いがありました。

*辻田さんのルーマニアの素敵な写真、観ます?
ブカレストドナウ・デルタ(会場に行く途中)
映画祭会場

では、これからフェスティバルに参加しようと
がんばっているひとたちへ
メッセージをお願いします。


自分の映画が上映される時だけ
会場に足を運ぶだけではなく、
他の映画作家の作品をぜひ観て下さい。
自分には無い何かが発見出来ると思います。
そして、ぜひぜひ、国内だけではなく
海外の映画作家と交流を持って下さい。
たとえ言葉の壁があっても、
片言でもいいと思います。
絶対、損はしませんから。
最後に残るのはやっぱり人間関係だと思います。
説教くさくてすみません。

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いえいえ、説教くさい、だなんて。
すごい素敵なメッセージですね。
私も国を超えてコミュニケーションすることは、
映画コミュニケーションの素晴らしい特権だし、
すべきだと思っています。
言葉が違うとちょっとコワイけど、
今回は、私も東京国際映画祭で、
たくさんの外国プレスの人たちと
いっぱいコミニュケートできたことは、
最大の収穫だと思ってます。

さあ、世界のドアをたたきましょう!
私も恐れず、たたきます。
辻田監督! ほんとにお忙しいところ、
丁寧なお答えをいただきありがとうございます。
なんだか映画制作にますます興味が湧いてきました。

ではまた。

*辻田監督のサイト:t-tsujita.com
special thanks to director teruyuki tsuijta
and SSFF.

ご近所のOL・まーしゃさんへの激励や感想などは、
メールの表題に「まーしゃさんへ」と書いて
postman@1101.comに送ってください。

2005-11-18-FRI

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