vol.127
- I am nipponjin -
●いまこそ、愛だ!
---- 『I am 日本人』
8月5日より新宿オスカー、ほかにてロードショー
大学の大先輩にあたる森田健作さんが、
なにやらとっても懐かしい匂いのする、
『I am 日本人』という映画を作ったと聞き、
さっそくお話を伺いました。
あれはン年前、
「おれは男だ」のバリバリのアイドル
だった森田健作さん。
「吉川くん!」というかけ声も懐かしい、
あの猛烈に元気でまっすぐで爽やかな、
森田さんの熱血エナジーが、
またスクリーンに戻ってきますよ〜。
(私は津雲むつみさんの原作も大好き!)
な〜んて、ちょっと年齢制限ある話で恐縮ですが‥‥。
ま、そんな懐かしさも味わえるのと同時に、
大事なメッセージがあります。
12年間、森田さんが政治家として活動してきて、
感じた「これじゃいけない」という強い想い。
それを元に8年前に映画を作ろうとしたのだそうです。
以来いろいろな難関を乗り越え、
やっとその想いが叶いました。
「いま」世の中にこの映画が出るということには、
きっと大きな意味があるのだろうと思います。
いまだからこそ、
失われつつある日本人の美しい心を、
もう一回見つめ直して大事にしていこう‥‥
というハートフルな想いを受けとることの
時代的な重要性を、私もすごく感じます。
ストーリーは、
アメリカ人と日本人のハーフの
日系3世のエミー(森本クリスティーナ)が、
祖父(藤岡弘、)から教わった"大和魂”。
そんな日本への憧れを抱いて
日本の大学へ留学し、暮らすうちに、
描いていた理想とのギャップに悩みます。
でも持ち前の明るさでそのギャップから
生じるいろんな問題に立ち向かうのです。
そのうち、エミーと関わる日本人たちも、
エミーを通して、礼儀や思いやりのような、
大事な心を忘れていることにはっとする‥‥。
堅苦しくはなくて、コミカルで元気な作品です。
森田さんはエミーの伯父さん役で、
下町の、日本でのホストファミリーとして、
エミーをあたたかく見守ります。
主演のエミー役の森本クリスティーナさんは、
「めざましテレビ」の早耳娘や、
雑誌「JJ」のモデルやCMでもお馴染み。
お会いしましたが、めっちゃかわいいし、
映画の中で「太陽みたいに明るいなあ」と
思ってましたが、その通り。
シアトル育ちの20歳、
いまは日本の大学の2年生で、
聡明さと、責任感と、天真爛漫さを
みごとに兼ね備えてて、
健康美溢れる人でした。
今回が映画初出演にして初主演という大役。
かなり緊張していたそうですが、
アメリカ人と日本人のハーフということや、
アメリカから大学に入学するために、
日本にやってきたこととか、
自分と激似しているエミーに「鳥肌が立った」と。
ほんとうに、エミーとクリスティーナさんの
出会いはなんだかミラクルな感じがします。
そんなお話、こんなお話を聞きました。
では森田健作さんのお話から、どうぞ。
□青春ドラマが大好きなんです。
── この映画では、製作総指揮、企画、原案、
そして出演なさってますね。
森田さんのこれほど熱意のこもる作品を
制作された経緯はどんなだったのですか。
森田 僕が文部政務次官をやっていた時は、
ちょうど校内暴力やいじめの問題が
クローズアップしてきた頃でした。
それで感じたことですが、
いちばん欠けているのは、
潤滑油である「愛」ではないかと。
地域であれば地域愛。家族であれば家族愛。
もっと大きく言えば、日本という国への愛国心。
もっと大きく言えば、地球を愛する心。
それじゃないかと、僕は思ったんです。
一部の人は、愛国心だとかいう言葉を使うと、
すぐ戦争だとかなんとか言う人はいるけど、
もうそんな時代じゃないと思います。
こんなに世界の平和のために
60年以上貢献している国、
先人が築いてきた、歴史も風土も含めて、
日本という素晴らしい国は、
ちっぽけな極東の島じゃなくて、
日本人の持つ「奥ゆかしさ」や、
「以心伝心」、つまり“武士道”の国です。
そういうものに堂々と、
日本という国に誇りを持とうよ、
愛国心を持とうじゃないか、
自信をもっと持とうよと言いたいんです。
日本人の奥ゆかしさ、
相手のことを想う「阿吽の呼吸」のような
ものが世界に広まったら、(世界の緊張も)
緩和されていくのではないかと思います。
12年間、政治家をやってきましたが、
そのときに見てきた、
国連のような政治の場というのは、
武器を持たない、まさに戦争の場です。
みんな自国の利害しか言いませんから。
他国に対して威張る必要はないです。
でも堂々と自分のはっきりした意見を言って、
やっていくことが大事じゃないかと。
もっと自分の国を愛して、
自分の国、自分に、自信を持とうよと、
訴えかけた映画なんです。
── ではみなさんへ、メッセージをお聞かせください。
ぜひ、各世代の人に、この映画を観て、
あ〜なるほど、こういう捉え方もあるなと
思っていただけるとうれしいです。
世界のために働ける、尊敬される国民に
なろうじゃないかと。
と言っても、考えを押し付けるのではなくて、
私自身が問いかけている映画です。
僕は青春ドラマが大好きなんです。
人間は基本的に悪いヤツはいない。
最後はみんないい人なんだ、
心を広く持とうというメッセージを込めました。
ぜひ、観てください。
□国の無い人になるのは怖いし‥‥。
── クリスティーナさんは、脚本を読んで
どんな感想を持ちましたか?
森本 鳥肌が立ちました。
私の役(エミー)は、あり得ないくらい、
私に似ているんです。
ずっとアメリカに住んでいて、ハーフで、
おじいちゃんは剣道やってて、
大学に行くために日本に引っ越して、
伯父さんと一緒に住みはじめるところとか。
ちょっと違うのは、私はいま伯母さんと、
住んでいるんです(笑)。
でもいろんなところが似ていて、
私がこの役をゲットしないとと思ったんです。
誰かが私の人生を書いたみたい!
── うーん、なんだか不思議ですよね。
映画の中で、堂々としてて明るくて、
元気なエミーちゃんを演じてましたが、
緊張は無かった?
森本 森田さんは毎朝やって来て
「元気ですかー?」って
パワースピーチをしてくれたんです。
だから自分も「元気よ」と答えるしか
ありませんでしたね(笑)。
緊張はもちろんありました。
初めての映画が主役っていうのは、
もう「大丈夫ー?」って感じ。
お芝居やったことないけど、
私でいいんですか? って。
でもみなさんが、
自然の私でいいよって言ってくれて
気持ちがすごく楽になりました。
でも私がダメだったら、
この映画が成立しなくなっちゃう‥‥。
そういうところはいっぱい緊張したし、
プレッシャーでしたね。
当然やさしくされただけではなく、
怒られたりもしました。
でも森田さんや、監督を中心にみんなが、
1つの作品を作ろうとする家族のような
温かい現場でした。
初めての映画で、
こんなに素敵な役者さん、スタッフさんと
お仕事ができたのはラッキーだと思います。
── 以前から女優に興味があったんですか?
森本 ずっと前から、映画を観るのが好きだったんです。
アメリカに住んでいた時も、
ビデオレンタル屋さんでアルバイトしてたくらい!
だからずっと前から女優になりたかったんです。
好きな映画は『プリティ・ウーマン』とか、
『ティファニーで朝食を』のような
ロマンティックコメディです。
── 映画のエミーみたいに、
日本とのカルチャーギャップは感じましたか。
森本 エミーちゃんが感じたように、
私も人混みにびっくりしました。
あと、名刺をすごい渡すこと!
私も毎日いっぱいもらって、
私はあげる名刺が無いから、
こんどからキャンディあげようかな、なんて。
── キャンディ、喜ばれるかも(笑)。
日本に来て何年になるんですか。
森本 1年10ヶ月で、まだいろいろ新鮮ですね。
12歳からモデルの仕事を始めて、
夏休みは、日本で過ごしてました。
生まれは日本なんですけど、
ハイスクールまではアメリカで過ごしました。
いまは、日本に住んで、大学へ行ってるので、
普通の日本の学生として生活している方が、
仕事をしている時よりも、
文化の違いを感じますね。
── いまは、クリスティーナさんはアメリカ人であり、
同時に日本人でもあるけど、エミーみたいに、
国を意識したりすることありますか。
森本 意識しますね。
この間のワールドカップの時、
友だちと「日本ーオーストラリア」戦を
観たんですけど、
勝っている時はすごい応援したのに、
負け始めたら、(日本の応援を)
すぐ諦めちゃったりするのを見て、
すごく残念に思いました。
選手がかわいそうだなあって。
それに対して、アメリカの試合も観たんですが、
やっぱりアメリカの応援は熱いです。
たとえ弱くても決して諦めない。
アメリカ人は負けても自分のチームが悪いとは
言わないんですが、
日本は自分が悪いと言うんですね。
でも誰が悪いかではなくて、
がんばったけど仕方ないと思ったりします。
(この日はテポドン騒ぎの日でした)
こんな状況でもし戦争にでもなったら、
誰が日本を守るんでしょう。
国の無い人になるのは怖いですよね。
アメリカ人の私からみると、歴史や文化が
日本はかっこいいと思います。
もっと自信を持っていいと思うんです。
日本人の心はすばらしいと思うから、
この映画で、ちょっとでも、
それが伝えられるとうれしいかな、
と思います。
── これからの抱負など‥‥、
誰か共演してみたい俳優さんはいますか。
森本 モデルの仕事は大好きなので続けながら、
いろんなお芝居をして、
いろんな映画に出ていきたいと思います。
共演したいのは、ジョニー・デップ(笑)。
あ、あと忘れちゃいけないのは、
キアヌ・リーブス! 愛してる。大好きです。
── 私も(笑)!
どうもありがとうございました。
おわり。
というわけで、『I am 日本人』では、
この太陽みたいに明るい
クリスティーナちゃんの光が燦々と
降り注ぎます。ぜひ浴びてください。
直球がスコーンとスッキリ入る感じです。
私は、とくに落ちている時期に観たのですが、
あっと言う間に上昇しました(笑)。
タイトルに多少驚くかもしれませんが、
ラストにあるエミーちゃんのセリフが、じーんと、
タイトルに込められた意味を伝えてくれます。
「自分の国を愛せなかったら、
他の国を愛せない。」
森田健作さんの問いかけを、
一瞬でも考える何かのきっかけになると
なお一層いいなと思います。
ではまた。
★I am 日本人
Special thanks to Kensaku Morita,
Christina Morimoto and Astaire. All rights reserved.
Written by(福嶋真砂代)
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