ああおそろしや、検査結果。
血管年齢67歳。
高血圧、高コレステロール、動脈硬化のきざし、
そしてDNA検査からは
2型糖尿病に罹りやすい遺伝子を持っていることが
武井、あきらかになっちゃいました。

いいところもありましたよ。
免疫やホルモン関係はかなり良好です。
でも、それをよすがにしていてはいかんです。
向き合うべきは、かの邪智暴虐な数値です。
いや、数字は悪くない。悪いのはオレの身体。
高校2年の「数IIB」で挫折してからというもの
いやな数字は見て見ぬふりをしてきましたが、
ここは直視せねばなりますまい。
そうです、おちこんでばかりはいられません。
先生、あたし、がんばります!


そう、目の前には、お肌つやつやの斎藤一郎先生、
そして同じチームで仕事をなさっている、
鶴見大学歯学部の講師でもある
たいへんうつくしい梁洪淵(りょう・こうふち)先生。
ずっと取材をしてきて感じましたが、
こちらのアンチエイジング外来の先生は、
「叱ってがんばらせる」タイプではないのが、
ぼくにはとてもうれしい!
仕事は「なにくそこんちくしょう」の部分がありますが、
こういった運動系や努力系のことに関しては
おだてられてこそがんばるタイプです。
ジムでも厳しくされすぎると
「へっ、やってられっか」になるもんなあ。

▲梁先生。こんな先生になら叱られてもいいです。

わかっちゃいるけど、やめられない。

「武井さんの場合、
 『食べてはいけない』というものは、ないんですよ」

わ! それはうれしいです。

「ただ血糖値を急激に上げないための食べ方、
 食材には気をつかってくださいね」

そうでしたそうでした。
2型糖尿病や動脈硬化の予備軍としては、
血糖値が急激に上がったり下がったりするのが
いけないんですよね。
じつは先日、お話をうかがってから、
自己流でいろいろ始めたんです。
まず使っていなかった箸置きを食卓に出しました。
それから、これはいいんじゃないかなって思って、
「食べる順番ダイエット」、
野菜からまず食べましょうというのを
やってみているんです。
あれなら、食べちゃいけないものはないですから‥‥。
前に糖質と脂質を徹底的に制限する
ダイエットというのをして、
とても効果があったものの、
からだが冷えてしまったり、頭がぼんやりしたり
しちゃったんです。
そういうのはもう勘弁‥‥って思ったもので。

「食べる順番ダイエット、とてもいいですよ。
 先に野菜を食べ、次にたんぱく質を食べ、
 最後に炭水化物を食べる、というものですよね。
 これはもともと糖尿病患者さんに対する
 食事療法からはじまったものですから」

はい。治療という感覚じゃないのが、助かってます。
いまは、朝、スムージーをつくってまず飲んでから
ちょっと時間をおいて軽く朝食をとります。
昼はなるべく野菜の多いランチを選ぶようにして、
できるかぎり順番を守ってます。
ガマンできれば「ごはん半分で」って言います。
夜は、サラダ、おかず、ワイン。
ごはんやパンなどの炭水化物はやめました。
あんがいそれで満足しちゃいます。

「いいことですよ。
 さらに、血糖値をあまり上げない食材を
 おぼえておくといいですね。
 きのこ類、とくにキクラゲは、
 ビタミンDをつくるのにも役立ちます。
 それから、ネバネバしたものもいいですよ。
 納豆や、ヤマイモ、オクラなど、
 ネバネバした食材というのは、
 糖の吸収を抑えてくれる効果があるんです」

わあ! じゃあ、納豆ごはんというのは、
急激に血糖値を上げない、日本古来の智慧なのかも?

「きっと意味があって残った食習慣なのでしょうね。
 朝、時間がなくて、朝食をさっと済ませたいときには
 納豆ごはん、いいですよ」

よし、たまーに出てくる「どんぶり飯への渇望」は
納豆ごはんで解消することにしよう。
そうそう、先生、ときどき困るのが、
ちょっとおなかが空いたときなんですけれど。

「そうですよね。ストイックに間食をしない!
 というかたもいますが、
 ちょっとおなかが空いたなというときは、
 カカオが75%以上のチョコレートや、
 ナッツがおすすめですよ。
 そして夏は市場に少ないのですけれど、
 リンゴもいいんですよ」

「ただ、いずれにしても、武井さん、
 食べすぎは注意してくださいね」

ドキッ。そうなのです。ついつい、
おなかいっぱい食べちゃうんですよね。
気をつけます!

▲先生、がんばります!


そして、血圧を下げていくには、減塩も大事。
これ、じつは、「食べる順番」のうれしい副作用で、
このところ、しぜんと減っていったことに気づきました。
というのも、ごはんを最後に食べるので、
料理は単品で食べることになる。
自分で調理するから、必然的に、
味つけが薄くなっていくんです。
厳密に計量はしていませんが、
塩や醤油の使用量は減っていると思います。
その分、出汁を濃いめにしたり、
ピリッと辛いスパイスを多用したりするようになりました。
外食すると「しょっぱいなあ」と
感じるようになったくらいですし、
スーパーの惣菜はちょっと食べられない。
味覚もふくめて、身体ってあんがいすぐに
変わっていくものなのだなあ。

「そうなんです、塩分が濃いのは
 日本食の弱点だって言われています。
 動脈硬化や高血圧のリスクファクターになるので、
 やっぱり塩分を抑えたいっていうふうに、
 国も厚労省も考えているのですが、
 どうしても日本食って塩分がベースにある。
 だから今おっしゃったように、
 辛みの成分に置き換えていくことで、
 メリハリをつけられるようにするのが、
 非常にいいんですよ」

そうですよね!
だんだんと素材に目が行くようになりますよね。
野菜にしても、なるべくサラダでって思うと、
より健康なものを選ぶようになってます。
ちょっと高くてもこっちにしようかな、みたいな。

「それと、よくあるお弁当屋さんのお弁当で、
 とても味が濃いものがありますよね。
 それは、お弁当屋さんの市場では、
 汗をたっぷりかく仕事の人を
 標準にしていることが多いからなんです。
 デスクワークの人と、肉体労働の人は、
 塩分を必要とする量がちがうので、
 武井さんのようなデスクワーカーが食べると
 摂取量がTOO MUCHなんです」

なるほど! 以前、友人が
イタリアのムラーノ島に行った時、
ガラスを吹く工房がいっぱいあって、
観光客が行かないような地元の食堂で
スパゲッティを食べたら、
ちょっと食べられないぐらいしょっぱいって
言ってました。
職人さんたちはものすごい汗をかくので、
それでちょうどいいんだそうです。

「そうそう、そういうことです。
 彼らは、体が要求しているわけですからね。
 でもそうじゃない人はマネしちゃダメですよね」

先生、ところで、ぼく、血圧が高いと出ましたが、
いままでやってきた筋トレは
やめたほうがいいんでしょうか。
「ぷつん」なんてことはないですか‥‥?!

「武井さんの場合、それをやめたら、
 運動をほとんどしない人になっちゃいますよね」

はっ! その通りです、先生!

「続けてください。
 運動は、やらないよりもやったほうがいいです。
 たしか、通っているジムには
 トレーナーがいらっしゃるんですよね。
 指導のもと行なうのでしたら、大丈夫です。
 けれども、筋トレというのは、
 分類すると『無酸素運動』なんです。
 やはり武井さんの場合は、『有酸素運動』を
 取り入れていくべきだと思いますよ」

ここで西本が身を乗りだします。

「先生、その件については『中年陸上部』でひきうけます。
 武井さんはDNA的にも
 瞬発系の運動が向いていると出ましたが、
 やっぱり有酸素運動を取り入れたほうがいいと
 ぼくもつねづね思っていたんです。
 フルマラソンに出ようというタイプじゃないのも
 よくわかってますし、拗ねるとテコでも動きませんが、
 たぶん『長めの散歩』とか、楽しいことを組み合わせると
 いいんじゃないかなぁって思っているので。
 身体の硬さを見ると、ストレッチも必要ですしね」

▲あわわわわ。この男が本気になると、キビチイんだよなー。


「そして、武井さん。
 次は、『どうおいしく食べるか』ですよ!」

そうですそうですその通り。
お医者さんのアドバイスはここまでです。
食材や食べ方をていねいに教えていただいたので、
「おいしいレシピ」を自分で編みださねば。
いろいろありますよ、スムージー、サラダ、
お肉、魚、チョコレート、ワイン、フルーツ。
おいしく食べるアンチエイジングなレシピ!

「アンチエイジング・キッチンですね!」

よっしゃ! 始動だーっ!

「武井さん、運動もね。食べてばっかりじゃダメですよ」

ハ、ハイ‥‥。

(つづきます!)

武井さんは、
ぼくのことを厳しい!といいますが、
それは違うんです。
みなさん、天気が良い休日などに
「ちょっと遠くのカフェまで散歩に行こうかな」とか、
「たまにはジョギングしてみるか」とか、
「プールにでもいこう」とか、
「自転車に乗って買い物にいこうかな」とか、
「ヨガでもやってみよう」とか、
「キャッチボールする?」とか、
なんらか運動的なものをイメージすると思うんですが
武井さんのような人は
そういう考えが全く浮かばないらしいんですよ。
さて、ぼくは、このアドバイス通りに
「食べる順を意識して」食生活を改善したら
2ヶ月で3kgほど落ちてすっきりしました。
やっぱり、食事と運動を組み合わせると
さらに効果で出るみたいですよ。
このあたりは中年陸上部のほうで書いていこうかな。

2014-06-26-THU