── |
隆之介くんは、
好き嫌いはない? |
隆之介 |
(首を振る) |
── |
ないの?
強いて言えばさ、ピーマンは? |
隆之介 |
うーん、パフェが嫌いかな。 |
── |
パフェ? こりゃあまた。
(隆之介くんが「パフェ」と言うのが
ものすごくかわいいな‥‥) |
隆之介 |
全部食べちゃうと甘すぎて
きもちわるくなっちゃうの。 |
── |
ああ、量が多いから。
全部食べなきゃいいかもね。 |
隆之介 |
でも、もったいないし、
どうしても全部食べちゃうの。 |
|
── |
おうちのごはんも残さない? |
隆之介 |
うん、外でもうちでも残さない。
ほんっっっとにおなかがいっぱいのときは
別だけど、ほとんど残さない。 |
── |
お母さんが、そう教えてくれた? |
隆之介 |
ううん、もったいないから。
「このごはんひと粒だけでも
味わえるのになあ」
って、思っちゃう。
ごはん一粒でも、
何としてでも取って食べるよ! |
|
── |
えらいなあ。
そういうところは、なんだか
「お父さんのバックドロップ」の
一雄に似てるね。 |
隆之介 |
そうかな?
うちのパパはね、
お茶わんに、ごはん粒いっぱい
くっついてるよ。
ハンバーグと野菜があったら
ハンバーグしか食べないよ、パパは。
「パパ、ちゃんと野菜食べなよ」
「おなかいっばいだよ、おれ」 |
── |
んー、これも映画の
一雄と牛之助みたいだなあ。
父と子って、立場が逆転しがちなのかな。 |
隆之介 |
だいたいいつもボクが責めてるね。
だいいち、パパはさがしものが下手だし。 |
── |
さがしもの? |
隆之介 |
ぼくは、どこにあるか考えて
「ここだ!」っていうと
たいていあたってるの。
だって、ぼくはかみさま信じてるから。 |
── |
そうなの? |