3月2日にほぼ日ストアから発売される
新井文彦さんの『きのこの話』には、
全員に「キノコストラップ」のおまけがつきます。
このストラップを提供してくださった「奇譚クラブ」さんは、
ガチャガチャの中に入っているおもちゃ、
カプセル玩具をつくる会社です。
その事務所にお邪魔して、主宰の古屋大貴さんと
企画部・マネージャーの竹内優さんにお話をうかがってきました。
おもしろいものをつくる会社は、やっぱりおもしろくって‥‥。


ほぼ日 主にガチャガチャの中身、
おもちゃの部分をつくってらっしゃると。
古屋 はい。こういうものですね。
ほぼ日 おー。
棚に商品がズラリ。
古屋 これが、いちばん最初につくった
「ネイチャーテクニカラー海洋T」です。
ほぼ日 うわー、すごい‥‥。
とくに人気があったシリーズとかは‥‥?
古屋 カエル系は、人気ですね。
ほぼ日 こ、このガマガエル‥‥。
これが、ガチャガチャで、出てくる‥‥。
古屋 そうですね。
これは当たりだな。
ほぼ日 これもかっこいい。
モリアオガエル、卵が泡のやつだ。
ほぼ日 ヤドクガエルも、毒々しい。
ほぼ日 もう、これ、すごい、
タラノメって(笑)。
古屋 つくろうと思わないですよね。
ほぼ日 はははは。
おっ! きのこ発見!
えーと、これが第1弾で、
ほぼ日 こっちが第2弾。
古屋 これは、もう100万個に近いんじゃないかと。
だいたい100万個を超えると、町で見始めるんですよ。
だれかが電車の中で付けてたりとか。
ほぼ日 あー、それはうれしいですよねぇ。
古屋 うれしいです。
ストラップは街で出会えるので。
さっきの海洋系とかだと、
部屋に置くから、街では見ないんですよね。
ほぼ日 なるほどなるほど‥‥。
あっ、エガちゃん!
これ、うちにあります(笑)。
古屋 130万個いってるのかな、エガちゃんは。
ほぼ日 すごーい(笑)。
竹内 ノーマルバージョンとレインボウ。
ほぼ日 竹内さんが、エガちゃん系の
ご担当だとうかがいましたが‥‥。
竹内 そうですね、バラエティ担当です。
ほぼ日 うちの糸井は、これが好きなんです。
  自分でツイートしてましたから、
ちゃんと画像付きで。

@itoi_shigesato 竜平ちゃん。さっきもらったの。
(糸井重里のツイッターより)

古屋 へぇー、いやぁ、うれしいです。
ほぼ日 こういうタレントさんを表現するのって、
たいへんなんでしょうか?
竹内 そうですね。
やはり、似るか似ないかが大事なので。
ほぼ日 こちら、すごく似ています。
古屋 ありがとうございます。
担当者が1ヶ月以上、
工場のある中国に滞在することもあるんです。
ほぼ日 1ヶ月以上!
きちんと似せるために。
古屋 目がちょっとずれるだけで、もうだめですから。
竹内 点ひとつで、もうぜんぜん違います。
ほぼ日 こういう商品は、
やはり企画会議で決まるのでしょうか?
古屋 エガちゃんなんかはぼくの独断で、
やろう! という感じでしたが、
そうですね、
いまは、月に1回、
みんなで企画会議をやってます。
ほぼ日 どんな会議なんですか?
古屋 好きなものを持ち寄って、
みんながいいと言ったものを商品化します。
たとえば、
この「新世界『透明標本』シール」なんかは、
企画会議からうまれた商品です。
ほぼ日 あー、写真集が評判になってました。
古屋 これもそうだな、「ネコ金魚」とか。
ほぼ日 オリジナルのキャラクターですか?
古屋 そうですね。
作家さんといっしょに考えて。
竹内 「この作家さんがおもしろいから
 いっしょにやってみたい」
というケースもあるし、
「このマンガがおもしろい!」
っていう場合もあるし。
商品化には、いろいろなパターンがありますね。
ほぼ日 なるほどー。
古屋 で、
いま注目なのは、これです。
ほぼ日 ‥‥フジツボ?!
これはまた、渋い。
パカッと開くやつもあるんですか。
古屋 そう、そう。
ほぼ日 うわー、中身がすごい!
竹内 開くのは、1種類だけなんですけどね。
古屋 ストラップもありますが、
バッジもいいですよ。
リュックに付けると亀の甲羅みたいな演出ができる。
ほぼ日 すてきな演出です(笑)。
古屋 いま、真剣にアウトドアショップや
ダイビングショップに営業を始めてるんです。
ほぼ日 ああー! なるほど。
古屋 ダイビングショップには、
バッグにフジツボ付けたい人が
いっぱいいると思うんです。
ほぼ日 うん、付けたいと思う。
そうか、おもしろいだけじゃないんだ。
古屋 これは、ウミウシのストラップとマグネット。
これもダイビング系の人が。
ほぼ日 ああ、これは。
一番左のウミウシが、
ブイヨンに似てるっていう(笑)
古屋 (笑)
ほぼ日 はっ! これはっ!
もう、ここまでふざけることができるのかって、
本当に心からうらやましかった作品‥‥!
土下座!
古屋 ははは。
土下座はザリガニワークスさんというところと、
一緒にやったやつです。
ほぼ日 へえーー。
古屋 「ちょっといい企画があるんだけど」って
シリアスな感じで電話かかってきて、
持ってきたのがこれ。
ほぼ日 土下座(笑)。
古屋 もともと友だち関係ではあったんですけど、
初めて、ガチャガチャで一緒にやりたいって
言ってきたのが、土下座。
ほぼ日 スタンダードな土下座は、これとかでしょうか。
古屋 ですね(笑)。
ほぼ日 で、これにも触れずにはおけないでしょう!
デハラユキノリ大先生!
糸井の人形
つくっていただいた作家さんです。
竹内 これは、「デハラユキノリシリーズ」の
「パンチラ」ですね。第二弾が「ビアガール」。
ほぼ日 ビアガールは、これですね。
いいよ、ビアガール、ほらー(笑)。
竹内 今年の5月ごろに、第三弾が。
タイトルは「動物と女」。
ほぼ日 すごい(笑)‥‥。

奇譚クラブさんのカプセル玩具は、
日本中で何ヵ所ぐらいに置いてるんですか?
古屋 何ヵ所になるでしょう‥‥。
マシンはたぶん、全国に20万台くらいあるんですね。
うちのシェアが正確にわからないので、
ちょっとあれなんですけど‥‥。
ほぼ日 つまり、日本中にマシンがばーっと並んでて、
そこにどれだけ、自分たちのものを
入れられるかっていうお仕事になってくるわけですね。
古屋 そうです。
おかげさまで、今では大手メーカーさんに
負けないくらいファンが増えています。
ほぼ日 すばらしい。
ぼくはツタヤさんでやってます、ガチャガチャ。
古屋 あとは、イオンさんとか。
家電量販店やビレッジバンガードさんとか。
一部ですが、奇譚クラブのホームページに、
置いてあるところが記載されてますので、
よろしければ。
ほぼ日 はい、見させていただきます。

それにしても、ほんとに発想が自由ですよねぇ。
これまでにボツになったものとか、
そりゃ無理だろうっていうのはありましたか?
竹内 ボツになったの‥‥あったかな‥‥。
ほぼ日 やりたいけれども、あきらめたものとか。
古屋 ‥‥いや、けっこうやっちゃってますね。
竹内 ええ、やってます。
ほぼ日 はあー。
それってすごいことですね。
つまり、夢を実現している。
あきらめたものなど、ない(笑)。
古屋 でも、すごくやりたいけれども、
商品化の版権がとれないのでできない、
というものはいくつかありますね。
例えば「ジョジョの奇妙な冒険」とか。
ほぼ日 あ、「スタンドシリーズ」。
古屋 そうそう。
ほぼ日 いいですねー。
うらやましいです。
ネイチャーテクニカラーなどの
幅広く親しまれる部分と、
デハラさんの作品のような遊びの部分とが
ちゃんと共存している、
お仕事のバランスも含めて、たのしそうで。
古屋 そうですね、いろいろ遊んでいます(笑)。
でも基本は、手に取った人が驚いてくれる、
感動してくれるっていうことですね。
あとはもう自己満足(笑)。
自分たちがときめいたら、
そんなに売れなくても‥‥だよね。
竹内 そうですね。
自分がほしいものができているから、
満足してるわけで。
ほぼ日 なるほどぉ‥‥。
それにしても、
ガチャガチャという仕組みは、
つくづくすばらしいと思います。
古屋 そうですね。
ガチャガチャの魅力は、
まず、何が出るかわからない。
ほぼ日 夢ですよね。
古屋 だまされる、裏切られる。
ほぼ日 はい(笑)。
古屋 でも、自分の欲しいものが出たときの喜びって、
すごいんですよ。
ぼくも子どものころに体験した喜びが、
いい意味でトラウマになってるんです。
ほぼ日 はずれもうれしいんですよね、
笑ってしまうとか、悔しいなとか。
2回連続で同じの出ちゃうのとかも。
古屋 そうそうそうそう。
納得ずくでやるからでしょうね。
人を介在しないんで、怒る相手がいないんですよ。
だから、自分で完結する。
「あー、もう1回!」みたいな。
これ、レジを通しちゃうと、
その人に対して「交換して」とか、つい言っちゃう。
でも、ガチャガチャはぐっとこらえるしかない。
ほぼ日 粋なんですね、ガチャガチャは。
古屋 そう、ガチャガチャは粋なんです。
ほぼ日 いやー、やっぱりおもしろかったー。
おもしろいことを考える会社は、
当たり前ですけどすごくおもしろかったです。

今回は、プレゼントを提供いただき、
本当にありがとうございました!
(またご一緒できることをたのしみにしつつ、
 奇譚クラブさんレポート、おしまいでーす)
 
(c) HOBO NIKKAN ITOI SHINBUN