あるとき、気がつくと、
きのこや粘菌(変形菌)に、
夢中になっていました。
この5、6年くらいは、初夏から晩秋にかけて、
北海道の阿寒湖に滞在し、
ほぼ毎日周辺の森へ通い、
きのこや粘菌を探しては写真に撮っています。
もしかしたら、ぼくは、とても居心地のいい
「自分の場所」を見つけたのかもしれません。
きのこや、粘菌や、動物や、木々や、草花や、
石や、土や、とにかく、森を構成する、
ありとあらゆるものと共振しながら、
目に見えない、原子や、素粒子や、
宇宙の果てにまで想いをめぐらし、
生きているということを、
心ゆくまで楽しめちゃう場所を
(そこでずっと暮らしたいかどうかは
また別の問題ですけど)。
そんな、大好きな場所を、
皆さんにご紹介しようと思います。
そして、その森で生きている、
これまた大好きなきのこや粘菌たちを、
ご紹介しようと思います。
もし、気に入っていただけたなら、
いつか、ぜひ、実際の森へお出かけください。 |
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私は、山ガールでも森ガールでも、
ましてや、きのこガールでもありませんでした。
「きのこ」と言われれば、私の頭の中には、
マッシュルーム、舞茸、なめこ、
えのき茸、しめじ‥‥と、
パックされたスーパーのきのこが浮かぶくらい。
それが、新井文彦さんのきのこ写真と出会って
(きっかけは、もちろん「ほぼ日」!)
惹きこまれていくうちに、
私のきのこ観が変わりました。
きのこってかわいい!! 美しい!! と。
それが、この本のスタートです。
なので、図鑑やいわゆる「きのこガイド」として
たくさんのきのこを網羅したり、
学名や分類を記したりということはしていません。
自然のままのきのこを見て
楽しめるように作りました。
山を歩き、森の緑を愛で、川のせせらぎを聞き、
季節を感じながら、きのこを見る。
そのための入門書です。
山や森、きのこに詳しくなくても大丈夫。
暖かくなったら、
森の住人・きのこを見に出かけませんか? |
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