坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第43回 好きなことが、やるべきこと

ほぼにちは。

ミッセイです。

僕の住職就任のお披露目なんかが
近づいていて
割に忙しい毎日です。

若いのに大変だね?

さっき、サッカー日本代表候補
発表になってたけど
ほとんどが、僕と同世代。

僕が“大変”なんて言うと
失礼かもなぁ。

彼ら、すごく楽しそうだけど。

僕も楽しく、したい。

寄進(寄付)のお願いで
檀家さんの家を回ったり
してるんですが
「日本に田舎あり」って感じで
かなり、和みます。

むかし、漆器街だった
古い町並みの集落での話。

結構この辺の人って
留守でも鍵をしません。
僕がいくら声をかけても、
家の人が出てこないのを見て

「たぶん、テレビを観ているに違いない。
 中に上がって呼んできてあげる。」

と近所のおばあさんが、
ズカズカと中に上がり込んでいきました。
でも
「いなかった。」

でも、そのやり取りを見ていた
自転車の、じいさんが

「私は、どこにいるか知っている。
 だから呼んでくる。」

という、まさに“原住民”風コメントを残し
ピューット自転車を飛ばして
呼んできてくれました。

こういう風な雰囲気って、
まだあるんだね。

他の人も
いろーんな人がいます。
僕が何故か元気をもらったのは
「死んだ嫁の悪口を永遠と
 言い続ける、ばあさん」
です。

なんで元気になったんだろう?
精神とか身体って謎ですね。
なーんか明るい悪口だったんだよなぁ。
モノマネなんかもありつつ。

いろんな檀家さんと話していて
気付くのは
「じいちゃんは、ホントに植物が好きだったんだなぁ。」
ってことです。
苗を分けたり、シダを分けてもらったり
ほんと、そんな話に溢れてます。

家に咲いた花を父親がデジカメで撮ったので
入院していた、じいちゃんに見せてあげて、

「きれいやろ。」

って言ったら

「春には春の花が咲き、秋には秋の実がなる。」

と言って、僕の目をそっと
見たことを思い出した。

でも
残念ながら
栄福寺にある植物の一部は
何年かしたら、枯れてしまうかもしれない。

もちろん
できる限りのことはしたいですし
植木屋さんにも相談します。

でも“できること”以上は
しなくていい気もしています。
なんでって
じいちゃんは、大好きでそれをしていた。

僕も大好きな何かを
体も心も時間もかけて
愛すべきだと思うからです。

それは、じいちゃんと
同じ、ものかもしれない。

ちがう、ものかもしれない。

そういうことです。

誤解して欲しくないんですが
僕は植物は大好きです。

便所の屋根に“雑草”を植えようと提案して
ばあちゃんに大笑いされ
兄に「タンポポ・ハウス」という建物を
教えてもらったぐらいです。

大きい木なんて
相当、好き。

でもね
“たとえ話”を含んだ話として
“好き”でやってたことの
「伝統を守って」とか
「意志を継いで」とかって
大切な部分もあるけれど
(特に寺とか坊さんにとってはね。)
“それだけ”になってしまうと
限りなく、その人を
損なうことになってしまうなぁ、
と思います。

カッコ悪いことを言ってしまうと
僕は教師から
「協調性がない」と言われたことが
一度もありません。

これは、ちょっとカッコ悪い。よね?

でも結構、確信犯だったんです。

「おまえにできるか?コレ。
 結構難しいよ。」

ってね。

でも、すごく最近
「協調できない人はいるよ、ゼッタイ。
 その人達のことを考えすぎると
 なにもできないよ。
 そう、“なにも”ね。」

と、とても信頼している人から言われ
すこし落ち込み、
とても元気になりました。

生きていて
“ありがとう!”
って思う時ってこんな時です。

少し
無様に戦おうと
思います。

協調性を活かしつつ、もちろん。
ふふふ。

ミッセイ

2002-03-27-WED

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