坊さん。 57番札所24歳住職7転8起の日々。 |
第58回 哀しいから、うれしい。 今でも、 やっぱり法事は緊張する。 法話は、 出来る限り 僕の“素”の部分で話してるんだけど、 それでもやっぱり、 「住職なんだから、こんぐらい、バシッと言わなきゃ。」 「坊さんだから、こんな話を期待されてるだろう。」 という部分は、どうしても、あったりします、時に。 だから、お墓に行く時に 車に乗ってるのが、 若い人だと、つい緊張が緩んで、 ベラベラと喋ってしまいます。 でも相手は 「坊さんと一緒にいる。」 というシュチエーションがかなり 特殊なものであるらしく、 緊張しているらしい 人も結構います。 でも、カーステレオから 流れてくる音楽の話なんかを する内に、和んできたり。 「“ブラフマン”(バンドの名前)って サンスクリット語で “宇宙の究極的原理”とかって 意味があんだよ。 “仏教辞典”とかにも、載ってる。」 「へぇー、そういえば ジャケットに梵字書いてるわぁー、」 連休明け。 お寺を訪れる お遍路さんの数も 落ち着いて来ると思ったので、 栄福寺から1時間と、すこしぐらいの場所にある 松山のお寺に行ってきました。 最近、出来上がった ある四国遍路の本に そのお寺の 「仏足石」 (ぶっそくせき、釈尊の足をモチーフにしている。) 「仏手石」 「説法石」 「わすれ石」 というのが、載っていて 仏足石の計画が栄福寺にもあるし トイレの “石の手洗い”案の事もあるので 石と聞けば つい足を運んでしまいます。 納経所にいた息子さんに 挨拶をして、 建立された経緯などを聞く。 買っていった 地元のお饅頭を渡して、 お寺を後にする。 近くに、いくつか札所があるので、 お参りしようと思い カーナビに連れていってもらう。 すごいな、カーナビって。 夕方の光が入ってくる、 車内の中で僕は、ひとつ、おもいつく。 「生きてることって、哀しいなぁ。」 とおもう。本当におもう。 いやなことが、あったわけじゃないんだよ。 ただ、そう思いました。 かなしい、けれど やさしく笑えて その、かなしさを だれかに伝えられるかもしれないと思いました。 近くに見えてきた、お寺の前には 大きなバスが止まっていました。 「目的地に近づきました。案内を終了します。」 団体のお遍路さんのおばさんが、 髪のない僕を見つけて、 「かっぱえびせん」をくれる。 「若いのに、えらいねぇ。一人?学生さん?修行?」 境内の中には、異常に目つきの悪い、おばあさんが 野良猫にキャットフードをやっている。 とても大きいリュックサックを持っている。 もう少し、年の若いおばあさんが その人を、とても激しく睨んでいる。 「最近は、よっちゃん、みんねぇ。」 「なん、いよんで、この前、葬式やったろがね。」 二人は、知り合いだったみたい。 カーナビの「音声認識装置」に向かって 「東京ドーム!!」 と言ってみる。 とても感じのいい声で、カーナビはしゃべる。 「トーキョードームまで、24時間以上かかります。 次の信号を右に曲がって下さい。」 別に、野球が観たかったわけではないので、 市街地の高島屋に寄って、 白と緑のトートバックを買って帰りました。 ミッセイ |
2002-06-04-TUE
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