坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第110回 ポップソングにも、いろいろあるみたい。

ほぼにちは。

ミッセイです。

どんな仕事でも、
そうだと思うけれど、
僕が“坊さん”という仕事をしていても、

「あ、うまくいってないな。
 この感じじゃ、まずいな。」


と思うことが、あります。

ちなみに、“今”わりに、そういう感じです。

自分で言うのもなんですが、
僕は、感情の浮き沈みが激しい方なので、
何時間か後には、
違うことを、考えているかもしれません。

でも、この“沈み時期”っていうのは、
けっこう大切なのかもしれないね。

いろいろ考えるもんね。
“沈みっぱなし”は、イヤだけど。

さっき、
「さぼり読書」で、
僕の好きな編集者の方の散文集を、
なんとなく読んでいました。

その本は、
結構、日本の景気がいい頃に、書かれた本です。

その本の中で、

「新雑誌がたくさん創刊されているけれど、
 広告収入だけで、
 もうかっている雑誌がたくさんある。

 僕の創る雑誌は、
 商品の売り上げを中心にして、
 やっていきます。」


みたいな事が、書いてありました。
(ミッセイの記憶です。)

景気の悪くなった今、
その頃、
創刊された雑誌、ほとんどは姿を消し、

彼の創った雑誌、すべてが残っています。

栄福寺の住職として、
その運営の舵を取るべき、
僕にとっても、
いろんな“示唆”(って言うと、おおげさかな。)
に満ちた話だと思います。

“広告収入”うんぬんの話ではなくて、
「直接の関係」に関する話である。

というのが、僕の感想です。

四国の札所というのは、
今、長い歴史の目で見てみると、
(それこそ100年スパンの話です。)

“巡礼者が突発的に多い時期”

という見方ができると思います。

人が集まるところには、
なにかしら、
“社会”や“経済”が発生するので、
色々な要素の中で、「軸」がなにであるか?

というのが、
ぼやけてしまうことが、あります。

もちろん、
巡礼の中心軸は、
巡礼者(お遍路さん)と、
お寺(それに付随する思想や路や人を含めて)である。

と、思います。

その“ダイレクト”な関係を、
大切に考えることは、
重要だし、“まっとう”な事だという気がします。

“まっとう”

な、ものの考え方や、捉え方、
というのは、
時に、とても、大切なように思えます。

でも、

「じゃあ、あなたは、まっとうですか?」

と聞かれると、

「そもそも、人間が“まっとう”な、はずないでしょ?」

と答えてしまいそうです、僕。

なんか、いろんなもんが、
おもしろいし、ヘンだね。

僕が、“仕事”に対して、
すこし、見えなくなっている1つの理由に、

「ポップソングに、うまく共感できないことがある。」

という事があると思います。

すこし、翻訳します。

僕の、仕事に対する、
大きな、大切な、
“思い”として、

「たくさんの人が、共通に持つ感覚の中で、
 たくさんの人と、思いを共有したい。
 それが、瞬間的、一時的なものであったとしても。」


という考えがあります。

それは、この連載の中で、何度も書いてきたし、
自分の体に、取り入れてきたつもりでした。

でも、最近、

「これは、
 たくさんの人が持っている感情らしいけど、
 どっか、おかしいし、
 ぜんぜん、楽しくないぞ、コレ。」


ということが、いくつか、見あたりました。

そして、1つの事を実感しました。

「ポップソングにも、いろいろある。」

ということです。

当たり前すぎて、鼻くそが出そうな話ですが、

「歌いたい、歌。」

に、敏感であろうと思います。

それは、“受け手”を、
限定する話では、ないと思うんだよ。

僕は、とても、伝統的な役割でかつ、
携わる人達の、
往来や活動がかなり自由なフィールドで、
仕事をしています。

それって、かなり、特殊なことだと思うし、
だからこそ、おもしろいんだけど、

「これ、かなり、ポップなんで、
 でっかい音で再生してよ。」


と、いろんな場面で言われます。
(もちろん、たとえ話として。)

多くの人にとって、
自分の声がデカイほうが、気分がいい。

そして、
時にそのメロディーを心地よく編曲したり、
既存の曲を、
うまく組み合わせ、つなぐのが仕事のひとつ。
(そう考えると、坊さんの仕事って、
 ヒップホップ的だね。)

でも、時に、それが、
一見“悪くない話”だったとしても、

「なんか、おかしいかな?」

と思った時に、

「栄福寺では、流しません。なぜって、なんとなく。」

と、うまく、発する技術を習得したいです。
選球眼も。

それは、チームや夢を、
とても、強く守ってくれる、
技術や勇気だと、僕は思うんです。

今は、たりない。

ミッセイ


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2003-05-18-SUN

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