坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第155回 ハッピー バースデイ

ほぼにちは。

ミッセイです。

今年の冬は、
四国でも雪が積もったり、
わりかし寒かったです。
 
栄福寺の「お願い地蔵さん」も、
毛糸の帽子やら
よだれかけを、
お遍路さんや地元の人から、
たくさんもらっていました。



なんか表情が、

「うれしー」

というよりは、

「・・・・・。」

という感じなのは、気のせいでしょうか?

でも、本当にありがたい限りです。

僕は、このお地蔵さんの表情が好きで、
栄福寺にある像で僕が一番、
擬人化して体温を感じているのは、
このお地蔵さんかもしれません。

「ありがたい」というよりは、
なんか、眺めていると、
吹き出しをつける感じで、
勝手にしゃべらさせてしまうんです。

みる時によって、
本当に顔が違うので、
お近くにお住まいの方は、
機会があったら、ぜひ見てみてください。

このお地蔵さんを作られたのは、
瀬戸内海の島に住む仏師さんで、
他のお寺でも
この方が彫られた、
お地蔵さんを見たことがあるのですが、
やっぱり好きな感じでした。


お寺にお参りする方の中には、
特別な願いを持っている方が、
少なくないと想像するんですが、

結構、そのお願いを、
そのお寺のお坊さんに
お経をあげてもらって、
祈祷(きとう)してもらいたい、
という方がおられます。

病気平癒とか、
亡くなった方の供養とかが多いです。

一度、
子供が言葉を習得するのが、
遅い気がするので、
祈祷してほしい。

と、子供のお母さんから、
頼まれたことがありました。

本堂でお経をあげた後、
お茶とお菓子を持ってきてくれた母親が、
先輩のお母さんとして、
いろいろ相談を受けている時に、

ムクッと、
その子供が立ち上がりました。

そして歌いました。

「ハッピー バースデイ ツーユー」

おなじみのあの歌を、
彼はフルコーラスで歌いました。

もちろんこれは、
彼が、元々歌える歌です。
誰かに教えてもらったそうです。

僕は、その時のことを
よく思い出します。

彼が知る本当に少ないであろう、
言葉の中から、
放ったのが「歌」であり、
それが、

「ハッピー バースデイ」

だったことを。

そしてその歌声を思い浮かべると、
それを聴いた時の僕達の拍手や、
子供のはにかんだ笑顔を
くっきりと思い出します。

ありありと、今でも、
その時のお堂の感じを、
思い浮かべることができるんです。

そして、
それは、わるくない感覚です。


僕は人の誕生日って
すぐ忘れちゃうんですけどね。

ね、じゃないか。


ミッセイ


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2004-03-14-SUN

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