第191回 大きなクスノキが限定してくれるもの
ほぼにちは。
ミッセイです。
黒いラブラドールのサクラの散歩で、
毎日、
山を歩いたり、
気が向いたら、
すこしジョギングしたりします。
その時間は、
体が暖かくなって、
山の緑や光や湿気が心地よくて、
自分にとっても、
本当に気持ちのいい時間なのですが、
一番好きなのは、
犬塚池という池の、
(ちなみにここは、
お寺に昔住んでいた犬が、
飛び込んだという伝説が、
あるので、こういう名前。)
周りを歩く時に、
すごい大きなクスノキが2本あるのですが、
それを、
眺めるのが大好きです。
「でかい木だなぁ・・・。」
と思い、
時の流れが光ったような、
静かな、
うれしい気分になります。
そしてね、
なんだか、
思ったんです。
僕はずっと栄福寺に、
大きな木とか緑が増えていけばいいなぁ、
と思っていました。
それだけでなく、
何度かここでも書いたように、
気軽にアートが楽しめたり、
時に音楽が流れていたり、
いろんな機能をお寺に求めていたんです。
それは、
今でも
もちろん、
夢や希望として持っているんですが、
大きな木を眺めながら、
「大きな木を見たい人は、
大きな木がある所に行けばいいんだし、
アートを見たい人は、
アートのある所に行けばいいんだなぁ。」
って、
思ったんです。
ある意味ね。
うまく言えないので、
誤解しないで、
聞いて欲しいのですが、
「できることを、すればいいんだなぁ。」
みたいな感覚です。
なんだか、
僕は、
「完璧主義者のナマケモノ」
みたいな状態に、
近づいていたのかもしれないと思いました。
なんだか、
うれしい気づきの感覚だったんですよ。
自分が個人として、
“街”の住民になろうとしている、
期待を発見したような気分でした。
自分が売ったり、
あげたりできるものを、
提供して、
自分が欲しいものは、
誰かから分けてもらったり、
買ったりする、
そういう
“街”のイメージを、
僕はほとんどはじめて、
イメージできたような気がしました。
大好きなものを、
全部、
自分で作り出して抱えようとする
必要はないんだよなぁ。
「それを作ってみたい気持ち」
っていうのも、
すごく大きな、
気持ちのよさにつながったものだろうけれど、
自分がひどく限定的であることを、
はっきりと感じる気分は、
なぜだかすごく、
すっきりとした、
さわやかな気分でした。
だからこそ、
浮かび上がってくる、
「できること」
「やりたいこと」
も、あるかもしれないよね。
お寺に帰って、
納経所に座り、
「不老不死の薬を求めた人達」
について、
なんとなく、
想いを巡らしていたのですが、
(なんか、
すごいヒマな人みたいに聞こえますね。)
「なんで、
そんなアホっぽいことを、
真剣に考えたんだろう。」
と不思議に思ったんです。
でもね、
僕が昔の人で、
しかも皇帝とかだったら、
同じように、
「えぇい、不老不死がさがせー!」
って、
言ったかもしれないと、
思うんです。
そして、
現代に住む僕達の多くが、
それを求めないのは、
たぶん、
科学とか医学とかが発達して、
「それが、無理っぽい。」
ってことを、
知識として知っているからですよね。
つまり、
科学とか医学とかって、
「これもできる。
あれもできる。」
って事を示唆してくれるような
イメージがありますが、
「可能性を限定してくれる。」
という便利さもあると思ったんです。
「これは、おたく無理でっせ。」
ということを、教えてくれる。
これって、
「ちょっと便利な仏教(宗教)」
を探そうと思っている、
僕にとっても、
なんか使えそうだなぁ、
って思ったんです。
仏教が、
なにを、
せばめて、
限定してくれるのか。
「それは無理やから。
ほかに行きなはれ。」
と言っているのか。
そういう視点で、
“仏教の智慧”を考えてみるのって、
おもしろそうだなぁ。
今、
思いつく事とかだと、
「あんたの持ち物を、
増やしていっても、
あんたの欲しいものは、
みつからへんよ。
じゃあ、
なに探しまっかって、
自分で、考えろっちゅうねん。」
みたいなね。
(ちょっと雑すぎますが。)
仏教でなくても、
自分が、
どういう限定の中で、
生きているのかを、
考えるのって、
ある意味、
“自由”について、
考えることだと思うな。
ミッセイ
お知らせ。 |
四国88カ所のお寺が88枚の切手になります。
原画の撮影は「坊さん」の文章の中でも、
何度か登場した三好和義さんです。
栄福寺は11月5日発売の第一集、
20ヶ寺の中に収録されます。
(紅葉が綺麗な秋の風景)
全国の郵便局でも、
通信販売の申し込みが出来るようですよ。
詳しくは、こちらまで。 |
シンメディアという出版社刊行の
『季刊 巡礼マガジン』
というシブイ名前の雑誌で、
「おもいだす空海」という連載を、
最新号の31号から始めました。
(ほぼ日を読んだ編集者の方から、
お話を頂きました。)
空海の著作の言葉に、
僕が短いコメントと、
写真を添えるという、
見開き2ページでの連載です。
手に取られる機会があれば、
ちらっと覗いてみてください。 |
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