坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第207回
ラダックへ!
(ラダックの病院へ、ゴンパ巡り、パルダンさん)


ほぼにちは。

ミッセイです。

青い空の町、
ラダックでの紀行を続けます。



ラダックを訪問しての数日間、
心配していた高山病の兆候は全くなく、
すこし気を緩めた時に、
やって来ました、高山病!

前日の夜から、
すこし風邪っぽい体調だったんですが、

翌日の朝、
食欲がまったくない、
体が動かない、
ということで、
体温を計ろうと思ったんですが、

関空で買った体温計が、
故障したので、
現地のガイドに、

「体温計を持ってませんか?」

と聞くと、

「ここにはない。病院にはある。行こう。
 車に乗れ。」

と言われ、
はからずもラダックの病院に行くことになりました。

診察してもらうつもりは全くなかったのですが、
病院に着くと当然のように、
スーツを着たお医者さんが、
血圧と脈を計った後、診察してくれました。

僕はどうしても、
「たぶん〜」という英語の単語が出てこずに、
自分の病状を説明するのがすごく難しかったです。
(説明もなにもほとんど英語を話せないんだけど、
 “たぶん”があの時、欲しかったなぁ。)

意外な言葉が必要になるんですね、こういう時って。

最後に薬をくれて、



「オーケー、ノープロブレムだ。グッバイ!」

ということなので、
手を額に当てて、

「熱を測ってよ!。」

とゼスチャーで伝えると、
お医者さんも同じように、
僕の額に手を当てて、

「ノープロブレム。」

と静かに言いました。

しかし、
申し訳ないけれど
自信がないので
もらった薬は飲まずに、
日本から持参した薬を飲みました。

「今日は、ホテルでゆっくりしてます。」

と宣言して、
部屋でゆっくりしていたのですが、
朝食のスープで少しからだが暖まると、
体調が回復してきたと感じたので、

「すいません。やっぱり行きます。」

とゴンパ(お寺)巡りに、
同行しました。


必死のポーズが痛々しいミッセイ

でも、
体を動かすと息が切れて、
動けなくなることも多く、
みんながお寺にいる間、
車の中で横になっていることもありました。

結局、
1日で完全にこの症状は回復したのですが、
このまま回復するのか、
どんどん悪くなるのか、
想像できなかったこの日はかなり不安でした。

そして、
自分の意志で体を思うように、
動かせないということは、
こんなにも辛いことなのか、
とある意味ちょっと愕然としました。

そして、
自分の近くにいる病人や老人のことを考えたりしました。

僕達も、
必ずそこを通るのだなぁ、とか考えながら。


訪れるゴンパの多くは、
厳しい自然の崖に作られています。



そして、
お寺に入る前に、
「マニ車」を
真言を唱えながらグルグルとまわします。



このマニ車は、
町のいたる所に存在していて、
子供達の格好の遊び場、集会所にもなっているようです。



いくつかの寺院には、
学校も併設されていて、
たくさんの少年僧が学んでいます。

聞いた話ですので、
本当かどうかは僕にはわからないけれど、
この地域の孤児院としての機能も、
お寺にはあるということでした。

ちょうどこの時は、
白人のバックパッカーが大道芸を、
子供達に披露していました。



みんな、
はちきれんばかりの笑顔で喜んでいます。

そして、
寺の内部では、
自分たちの僧服や仏像を、
自分たちの手で作っているお寺もありました。



器用なお坊さん達の、
作業を眺めながら、

「僕達はどうやら
 ここでは、お坊さんになれませんねー。」

と同行のお坊さん達と、
笑い合いました。



僕は現在のチベットに行ったことがないのですが、
ラダックのお寺が、
チベットよりもチベットらしいと言えるところは、
ほとんどのお寺で
ダライラマの写真を掲げている所です。



政治的な理由で、
チベットではダライラマの写真は、
ほとんどのお寺にないということでした。


それと、
僕はラダックのホテルに滞在していて、
とても大きな笑顔に出会ったと感じています。

ラダックの学僧、
ツプテン・パルダン師です。



彼は、
僕達に同行の松長先生がラダックの本を書いた時に、
高野山の先生の自宅に泊まり込みで、
作業を共にした、
ラダックでも指折りの学僧です。

先生は、
まさか今回の旅行で、
パルダンさんと会えるとは思っていませんでしたが、
万が一に備えて彼のための、
プレゼントを用意していました。

すると、
滞在のホテルが一緒だったんです。

そんな、
素敵な彼らの偶然を共に喜び、

食事の時や、
普段の生活の中で、
パルダンさんの見せる、
大きな大らかな雰囲気、笑顔を見て、

「いいなぁ。」

と心から思いました。

仏教って、
これをやるんだなぁ、って思ったよ。

恥ずかしながら
僕とはあまりに、
対極的な性格を感じながらも、
いいなぁ、と思わずにはいられませんでした。

彼は定期的に、
ラダックの子供達を集めて、
仏教の勉強会を開いているということでした。


リゾン・ゴンパにいた子猫

ミッセイ

お知らせ。
講談社から刊行中の雑誌、
『週刊 四国88カ所 遍路の旅』で、
栄福寺掲載号の20号が発売になっています。



55番の南光坊さん、
56番の泰山寺さんと共に、
57番、栄福寺の境内や仏様、
咲いている花なんかを写真でも、
見ることができますよ!

僕も、
「月を見ていると、
 照らされた光も光だと思う。」
というような、
短い文章を寄せています。

なお、
この号の巻頭インタビューは、
建築家の安藤忠雄さんです。

夕日に照らされた、
瀬戸内海としまなみ海道の、
表紙が目印なので、
興味がある方は、
のぞいてみてくださいね。
四国88カ所のお寺が88枚の切手になります。
原画の撮影は「坊さん」の文章の中でも、
何度か登場した三好和義さんです。

栄福寺は11月5日発売の第一集、
20ヶ寺の中に収録されます。
(紅葉が綺麗な秋の風景)

全国の郵便局でも、
通信販売の申し込みが出来るようですよ。

詳しくは、こちらまで。


このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ミッセイさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-08-14-SUN
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