坊さん。
57番札所24歳住職7転8起の日々。

第208回
ラダックへ!
(リズンと買ったタンカ、
 
砂マンダラ、さらばラダック)

ほぼにちは。
ミッセイです。
(ラダックでの紀行文を続けます。)

僕の高山病の症状も、
1日で収まったので、

今回のガイド役の、
ダラムサラのお坊さん、
リズンとおみやげのタンカを探しに行きました。

タンカというのは、
掛け軸になった宗教画のことで、
仏やマンダラが描かれています。

栄福寺の人達に、

「おみやげ、なにがいい?」

と出発前に聞いたら、

「仏画!」

ということだったので、
リズンに知ってる店に連れて行って欲しい、
と頼んであったのです。

僕ひとりだと、
ぼったくられるかもしれないからね。

というわけで、
二人でラダックの中心街の店を何軒か回って、
リズンに、

「どう思う?」

と相談しながら、
二枚のタンカを手に入れました。





この2枚を栄福寺の家族の人達は、
予想以上に喜んでくれ、
今、栄福寺の応接間に掛けられています。

本当は、
マンダラのタンカを僕が欲しかったことを、
知っていたリズンは次の朝に、
マンダラのステッカーをプレゼントしてくれました。



それから、
ラダックのお寺で見る千手観音が、
ちょっと独特でおばあちゃんが好きそうだったので、
(ありがたくて、品があって、派手、
 という感じが好きなんだと思う。
 これは多くの年輩の人がそうかもなぁ。)



手描きの軸装をしていない仏画を、
おばあちゃんのおみやげにしました。

これは現在、
栄福寺の玄関に飾られています。



それからみんなで行った、
政府系のショップであるエンポリアムで、
カーラチャクラのタンカを買いました。



日本の僕達から見ると、
見慣れない合体仏ですが、
ダライラマの伝授の写真などを見ても、
この種類のタンカが大きく掛けられています。

旅のちょっとした記念になると思って
入手しました。
日本で買うと結構、高いみたいですしね。
(これを言い出すときりがないのだけれど。)
仏画のほとんどは、
どうやらラダックで制作された物では
ないようですけれど。
(チベットやブータンと言っていた。)

それから、
音のでる小さな仏器を買いました。



全然買うつもりはなかったのですが、
ショウケースから出してもらって、
音を聞かせてもらうと、
あまりにも澄んだ音がして、
驚いたので買うことにしたんです。

同行の人達も驚いて、
同じタイプの物を買おうとしたのですが、
澄んだ音が出るのは、
僕が買った物だけでした。
(ちなみにこれは6ドルでした。)

「儀式に使うのですか?」

と聞くと、

「ノー、メディテーション(瞑想)に使うんだよ。」

ということでした。
この音を聞くと、
それもなんとなくうなずけるなぁ。

タンカも瞑想の手助けとして、
本来、使う物のようです。

考えてみたら、
日本の仏像とかもそうなのかもね。

この仏器は、
すごく音が気に入ったので、
一度、栄福寺で法事の時にお墓でも使いました。


お買い物だけでなく、
もちろんお寺参りも続いています。

あるお寺のお堂の中で、
お坊さんが集まって、
なにかをしている様子です。



よくみてみると、
「砂マンダラ」を作っているようです。



この砂マンダラは、
作ること自体が修行で、
作ったマンダラはすぐに壊してしまう、
という話を聞いたことがあります。

「空」を確信している立場からすれば、
当然なんだろうけれどね。

この作業(修行)には、
かわいいお坊さんも参加していました。



そして、
羊の頭の魔除けに守られたゴンカンという、
怒りや生命のパワーに満ちたお堂の中にも、
いくつか入ることができました。



僕の中にも、
世界の中にも、
しっかりと存在する荒れ狂ったなにか。



それが、
打ち砕く物なのか、
見つめる物なのか、
僕にはよくわからないけれど、

ここに形づけられた、
感情や心の様子は、

「誰かの物」

ではなくて、

「僕達の様子」

なのだと僕は思いました。



ヒマラヤの雪山を遠くに頂く
ラダックの街を離れる日も近づいてきました。



世界には、
こんな場所もあるのだなぁ。

形は違えど、
仏はここにもいた。



そして、
この青い空の砂漠の街に、
築き上げられた唐突にも思えるような、
数々のお寺。



そこを生きる人々。



たくさんの縁を集めて、
お坊さんとしての人生を送っている人達。



さらば、
ラダック!

世界にいろんな人達がいることが、
うれしかったよ!


ところで、

「私もラダックに行きたいかも!」

と思った女性達に少しアドバイス。

ほとんどの外のトイレはこんな感じなので、
勇気と覚悟が少し必要です。
(囲いはありますよ。)



ラダックを後にした僕達は、
仏教第四結集の街、
インドのスリナガルに向かいます。


ミッセイ
(続きます。)

お知らせ。


現在9月号発売中の
女性誌「SAVVY(エルマガジン)」
四国遍路特集をしています。

僕も冒頭の1ページで、
四国遍路や弘法大師について、
インタビューを受けています。
(ほぼ日を読んでいる
 編集者の方から連絡がありました。)

この雑誌は京都に行く時に、
買ったことがあった雑誌だったので、
うれしかったです。

四国遍路に興味のある食いしん坊の方は、
特におすすめです。
講談社から刊行中の雑誌、
『週刊 四国88カ所 遍路の旅』で、
栄福寺掲載号の20号が発売になっています。



55番の南光坊さん、
56番の泰山寺さんと共に、
57番、栄福寺の境内や仏様、
咲いている花なんかを写真でも、
見ることができますよ!

僕も、
「月を見ていると、
 照らされた光も光だと思う。」
というような、
短い文章を寄せています。

なお、
この号の巻頭インタビューは、
建築家の安藤忠雄さんです。

夕日に照らされた、
瀬戸内海としまなみ海道の、
表紙が目印なので、
興味がある方は、
のぞいてみてくださいね。
四国88カ所のお寺が88枚の切手になります。
原画の撮影は「坊さん」の文章の中でも、
何度か登場した三好和義さんです。

栄福寺は11月5日発売の第一集、
20ヶ寺の中に収録されます。
(紅葉が綺麗な秋の風景)

全国の郵便局でも、
通信販売の申し込みが出来るようですよ。

詳しくは、こちらまで。


このページへの激励や感想などは、
メールの表題に「ミッセイさんへ」と書いて、
postman@1101.comに送ってください。

2005-08-28-SUN
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