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出版社: ミシマ社
ISBN: ISBN-10: 490390816X
ISBN-13: 978-4903908168
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「ほぼ日」の人気連載が、本になりました。
しかも、連載よりもさらにさらにバージョンアップして、
ためになるお話もたくさん入っているそうですよ。
この本のために糸井重里が書いた帯の言葉。
「公園のベンチに腰掛けているとき、
となりに坊さんが座ったら、
どんな話しになると思いますか?
うん、そうそう‥‥。そうか、そうなのか。
へーえ。そういう感じになるんですよね。」
今回は本の販売を記念して、
著者のミッセイさんと、担当編集者のミシマ社の三島さんに
お話をしていただきました。
2001年から2008年まで、
「坊さん。―57番札所24歳住職7転8起の日々―」
という231回の連載を
「ほぼ日」に書かせていただいていた、
四国に住んでいる“坊さん”です。
四国八十八ヶ所霊場第五十七番札所、栄福寺です。
白川密成(ミッセイ)さん。
お久しぶりです!
そして初めてお会いする方、はじめまして。
「坊さん。」の連載は、
24歳で四国遍路のお寺の住職になった僕が、
はじめて出会う村のお葬式や、日々の行事、
そしてまるでコメディー映画のような、
坊さんの坊さんによる野球大会などの独特なシーンという、
「坊さんの日々」をお届けする連載でありました。
連載当初はどんな反応が読者からあるか、
不安もあったのですが、
本当にたくさんの読者から
うれしい感想のメールが届き、
特によく憶えているのは、
「仏前結婚式」のお話をした時に、
ドドドッと、
「わたしもこんな結婚式をしてみたい」
というメールがたくさん届いたことです。
このたび三島邦弘さんが
(三島さんは糸井さんの著書『インターネット的』(PHP新書)
の編集者でもあります)
2006年に新しく立ち上げられた、
“自由が丘のほがらかな出版社”
「ミシマ社」と出会い、
この連載「坊さん。」の内容を元にした
『ボクは坊さん。』という本を発表しました。
ミシマ社という出版社の存在に出会った途端、
「“坊さん。”を本にするなら、ミシマ社がいい!」
と心の底から思いました。
それは、
当たり前のことに渾身の心を込めること、
そして、そのことを
「楽しくやろう」という雰囲気が、
会社から充満していたからです。
連載時にめざした
あたたかい雰囲気はそのままに
頭から文章を書き直しましたので、
新しい要素もあり、
連載を楽しんでくださっていた読者の皆さんにも、
よろこんで頂ける内容になったと思っています。
そして、
帯の文章を糸井さんにいただき、
ブックデザインとカバーイラストを、
寄藤文平さんにお願いできるという
(バットを持った僧服姿の坊さん!)
なんともあり得ないほど幸せなデビュー作!!
本当に「1冊の本」として、
僕自身、ついスリスリと
さわってしまうのですが、
手元に置いていて「うれしい本」になりました。
内容のほうも、
連載時にはなかった要素として、
ははは、と笑って読みながらも、
「生の仏教」の“言葉”に
触れていただきたいなと思い、
たくさんの、
古い仏典の言葉や弘法大師の言葉を
色々な場面の中で盛り込みました。
そうすると、
案外、生活の中でも
「使える」アイデアやヒントが
千年、二千年の時を越えて
仏教の中にはあるんだなーと、
いまさらながら、驚いたんですよ。
坊さんが登場するコメディーや
青春群像のようであり、
死の場面で僕が感じた、大切な感覚を届けたい本。
そして、ほがらかに明るく、
時々、ちょっと切実に、
「仏教の聖者や賢者の言葉」に耳を澄ませる本。
『ボクは坊さん。』(ミシマ社)
ぜひ、お手にとってごらんくださいねー。
じつは今回、「ほぼ日」再登場にあたり、
この本を編集してくれた
ミシマ社の三島さんにも来てもらっています。
そこでこの本について、
知らない方にはどういう中身なのか、
知っている方には、連載とどう違うのか、
話しながら紹介しようと思います。
三島 |
こんにちは。ミシマ社の三島です。
いやぁ、今日は「ほぼ日」という
特別思いいれのある場所なので、
緊張します。
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ミッセイ |
そうですよね、ぼくも三島さんも、
20代の前半から
「ほぼ日」と糸井さんと
かかわらせてもらってきましたものね。
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三島 |
そうなんです。
しかも、この本の企画は、
もともと「ほぼ日」連載の「坊さん。」を
書籍化しようというところから
始まったわけで・・・。
7年間以上も連載を
応援してくださった方々が、
待ちに待っているわけですよね。
そういう「ほぼ日」読者に、
絶対に喜んでいただけるものに
しなければいけない。というので、
ものすごいプレッシャーがありました。
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ミッセイ |
この本を編集するにあたり、
どのようなことに留意されましたか?
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三島 |
そうですね、野球でもサッカーでも
新人王は一年目しか
チャンスがないのと同じく、
著者やアーティストにとっても
「ファーストアルバム」は一冊きり、
一枚きり。
ですから、すべてを注ぎ込んで、
「もうこれ以上無理!」という限界を超える
ぎりぎりのところまで
つくりこみたいと思っていました。
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ミッセイ |
そうなんですよね。
当初、この本は「坊さん。」の
7年分の連載を並び替えて
本にしようと思っていたんです。
で、実際にそうしていったん原稿にして
三島さんに渡したんですよね。
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三島 |
はい、それを拝読して、
「おもしろいなぁ〜」と。
率直にそう思ったんですね。
と同時に、
「もっともっと面白くなる!」という
確信のようなものが、
ぼくの内部でふつふつと湧き上がってきました。
それは、たとえれば、
レコードのアルバムのA面、B面のような
関係でしょうか。
CDやiPodでは、A面・B面という概念は、
もはやありませんが、
むかしのアナログのレコード盤では、
A面とB面がありました。
中には、シングル同様、
A面にヒット曲を多くいれ、
B面には渋めの曲や「遊び」の曲なんかを
入れることもあったと思います。
今回の『ボクは坊さん。』でいえば、
A面に入る曲は十二分にそろっている。
「ほぼ日」の7年間で、
シングルA面を数多く発表していたような
状況だったわけです。
けど、B面の要素があまりない。
そして、そのB面の要素というのは、
玄人受けしかしないかもしれないけど
「案外たいせつな仏教の話」だったりする。
B面が充実すれば、一冊の本として
もっともっとおもしろいものになるんじゃないか
という気がしたんですね。
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ミッセイ |
そうなんですね。
ある日、三島さんから電話があって、
こんなふうなことを言われたんですよね。
「ミッセイさん、真っ裸になって、
いま感じているもの、考えているものを
全て出し切ってください」
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三島 |
すみません・・・なんだか、
えらくえらそうなことを言ったんですね。
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ミッセイ |
いえいえ。
ある意味ですごくうれしかったんです。
僕は今回、うまく言えませんが、
「三島さんの色の中で、仕事がしたい。
そこに、反応して出てくる
新しい自分が見てみたい」ということを、
作業が始まった一番はじめから
考えていましたから。
釈尊や弘法大師の言葉を入れるアイディアも
浮かびましたね。
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三島 |
これがめちゃいいんですよね。
ストーリーをもった「読み物」の中に、
とても自然に
「仏教の智慧」が溶け込んでいて。
たとえば、子どもたちと
「オン コロコロ センダリ マトウギソワカ」
という真言(しんごん)を唱えるシーン。
子どもたちは、お約束のように、
「ウン コロ コロ! うんこ! うんこ!」
と叫ぶんですよね(笑)。
こういう笑えるエピソードの直後に、
弘法大師のこんな言葉が来ます。
「心暗きときは即ち遭ふ所悉く禍なり。
眼明らかなれば即ち途(みち)に触れて
皆宝なり」
(心が迷いにとざされているときは、
めぐり合うものはすべて禍いであり、
さとりの目を明らかに見ひらいていれば、
会うものはすべて宝となる)
驚きとともに、ぐっと来ます。
こういう「ぐっと」が
すごく多い本ですよね。
ミッセイさんは、引用した言葉のなかで
どんな言葉がお好きですか?
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ミッセイ |
そうですね。
本当にたくさんあるんですけれど、
論争をたしなめるような
ブッダの言葉っていうのは
印象的ですね‥‥。
「“これのみが真理である”と言う人々が
いるならば、汝はかれらに言え、
“論争が起っても、汝と対論する者は
ここにいない”と」とかですね。
かっこいいな! と単純に思いました。
そして、そのすぐ後で僕も
紹介させてもらった言葉なんですが、
「勝利からは怨みが起る。
敗れた人は苦しんで臥(ふ)す。
勝敗をすてて、やすらぎに帰した人は、
安らかに臥す」なんかは
“競争社会”のようなものを、
腕組みをして考えてしまう言葉です。
また弘法大師の言葉というのも、
なんというのでしょうか、
すぐに意味はわからなくても、
心に置いておきたくなる言葉があります。
「去去(ここ)として原初に入る」なんて、
好きですねー。
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三島 |
文体も「ほぼ日」連載のものと
違うものにしていただいたんですよね。
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ミッセイ |
そうでした。三島さんから
「今回に限って言えば、
ウェブと本とでは、
気持ちのいい文章って、
微妙に違うと思う」
という話を聞いて、僕もそう思いました。
その時、出てきたキーワードは
「玄関から応接間へ」でしたっけ。
じっくり時間を過ごすような言葉を
イメージしました。
「この時代に矢面に立っている坊さんがいる、
というのを見せて欲しい」
という話もありましたね。
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三島 |
そんなこと言いましたっけ?
うー、言ったような気も。
いい本できたんで、忘れたみたいです(苦笑)
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ミッセイ |
ぜんぶ僕が言ったのかも(笑)
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三島 |
実際に、「僕がはじめて経験した
『お葬式』の風景は、本当に素敵な光景だった」
「そして、たぶんこれから一生、そんな場面に
『坊さん』としてかかわっていく自分の職業を
誇りに思った」
というふうな文体になったことで、
「生と死」というデリケートな話題も、
ミッセイさんの実感がよりにじみ出た形で
伝わるものになった気がします。
生と死って、僕たちがついつい
回避しがちなことですが、
ミッセイさんは日々直面しなきゃ
いけないわけですもんね。
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ミッセイ |
そうですね、坊さんですから。
正直に言うと、それが役割でなければ
僕も自ら望んで行きたい場所では、
なかったと思います。
ただ、そこで心から特別だと感じられる
経験をした。
“死”が、ぬくもりのようなものを、
届けてくれた。そのことを、
なんとか読者の方にも贈りたいと思いました。
色々な要素がある本ですけれど、
ゲラを読み終えた時に、
「ああ、こういう本を読んだことなかったな」
と自分で思えたことが、
すごく、うれしかったですね。
僕自身、読者だったら、うれしい本だと思います。
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三島 |
ぼくもミッセイさんから
新しい原稿をもらったときの感動を
よく覚えています。
「なんておもしろい原稿なんだ」
と声をふるわせながら電話をしました。
「ほぼ日」連載時の一点、一点の
輝きを保ちつつ、すべての点が
一枚のコンセプトアルバムとして
「線」となった、
そんな最高のファーストアルバムだと思います。
装丁の寄藤さんに見本をお渡ししたとき、
「これはいい! 本らしい本ですね」
とおっしゃいましたが、
本当にいい本になったなぁとしみじみ思います。
と、ちょっと自画自賛が過ぎますよね。
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ミッセイ |
ははは!
でも、そういう風にいつも興奮気味に
励ましていただけたので、
なんとか、最後までたどり着けました。
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三島 |
ミッセイさんが常々思っているように、
「仏教が日常にもっと身近な形であって
いいんじゃないか」
「仏教はもっと使える!」というのが、
とても気持ちよく伝わる一冊。
心からおススメしたいです。
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ミッセイ |
はい。坊さんドラマの中で、笑いながらも、
「ちょっと得しちゃったね」なんて
思ってもらえたら最高ですね。
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三島 |
ミッセイさん、今日はありがとうございました。
「ほぼ日」読者のみなさま、
ご覧いただきありがとうございました。
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ミッセイ |
ありがとうございました!! |
ミッセイさん、三島さん、
すてきな本を、ありがとうございました。
『ボクは坊さん。』については、
ミシマ社のサイトでもご覧いただけます。
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出版社: ミシマ社
ISBN: ISBN-10: 490390816X
ISBN-13: 978-4903908168
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