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WBC・WBO世界フェザー級王座統一戦 「セサール・ソト 対 ナジーム・ハメド」 10月23日(土)16:30〜 WOWOW独占放送(当日ディレイ放送) 米国ミシガン州デトロイト、ジョー・ルイス・アリーナ WBO世界フェザー級チャンピオン、 ナジーム・ハメドについて ボクシング界の異端児、 あの“プリンス”ナジーム・ハメドが、 メジャータイトル獲りと本格的なアメリカ進出を賭け、 強敵ソトに挑みます。 ハメドといってもピンとこない人もいることでしょう。 そういう方は一度この文章を読んで、 そしてハメドを見てみてください。 ハメドの魅力は何といっても その変幻自在のスタイルです。 今までのボクシングの常識を 攻撃、防御とも全くといっていいほど守りません。 世界のファンを引き付ける魅力は まずディフェンスです。 ガードはしない。 スウェーバック(体を後ろにそらす)で パンチを見切るディフェンス。 (一見非常にかっこ良いのですが 実は危険と裏腹の方法なのです。相手パンチが 予想以上に伸びてきたら食らってしまうのです。 またバランスを瞬時に戻すことが難しいのです。 ということでガードは上げて しっかりディフェンスするというのが世界共通です)。 それもこれも抜群の運動神経と動体視力、 そして勘としか言いようのない 「第六感」のなしえるものです。 そして攻撃面でも魅力満点です。 長い距離からノーモーションで飛びながらの 左右ジャブやフック。 そしてフェザー級(57.15kg)という 世界的には軽量級(日本的には中量級)のなかでは 類まれなパンチ力です。 また独特のルックス(両親は中東イエメンの移民です)、 小柄(公式数字は160cmですが、ない説もあります)、 豹柄のトランクスに自ら名乗る「プリンス」の文字。 さらに試合前の入場は踊りあり、車あり、 墓場のセットからの登場ありと 今やボクシング界の No.1エンタテイナーともいわれています。 そして「フリップ」と呼ばれる リングのトップロープを掴んで一回転しての入場で 観客のボルテージをピークにもっていってしまいます。 そんなハメドですが これまでWBO(本部イギリス)タイトルを 防衛し続けてきましたが、 今回いよいよメジャー団体である WBC(本部メキシコ)との統一戦を 行なうことになりました。 ちなみに先日引退を表明した辰吉選手は ハメドより2階級下のバンタム級前チャンピオンでした。 さらにこれに勝つとアメリカのケーブルTVである HBOが本格アメリカ進出のプランを立てています。 (以前アメリカで2試合、そしてIBFタイトルも 獲得しましたがすぐに剥奪されてしまいました) しかし今回はメジャータイトルだけあって さすがのハメドも記者会見で大口をたたきませんでした。 それほど慎重ともいえ、 また、大事な試合ということの表われでしょう。 ハメド生い立ち ハメドは1974年2月12日、イエメン移民の両親のもと イギリス中部のシェフィールドに生まれました。 2人の兄の影響でボクシングを始めたのは7歳の時。 その後の師匠ともいえる、ブレンダン・イングルと出会い めきめきと実力を発揮しました。 12歳になりジュニア試合資格を得ると、 アマチュアタイトルを総なめにしたそうです (アマ通算62勝5敗)。 バルセロナ五輪は選考からもれたものの、 1992年4月いよいよプロデビュー。 12戦目でヨーロッパバンタム級タイトルを獲得。 14戦目で WBCインターコンチネンタルS.バンタム級王座を獲得。 20戦目でWBO世界フェザー級王座を獲得。 その後もマヌエル・メディナ、ケビン・ケリー、 ウィルフレド・バスケス、ウェイン・マッカラー ポール・イングルというチャンピオンや強敵を 次々と倒し、今回いよいよWBCタイトルに挑みます (ちなみに日本ではWBAとWBCの 2団体のみが承認されています)。 WBC世界ヘビー級チャンピオン、 セサール・ソトについて 今回ハメドとの統一戦に臨むのは WBC世界フェザー級チャンピオン、セサール・ソト。 ソトはメキシコ出身の27歳。 遅咲きといってもいい、メキシカン・ファイターです。 戦績は53勝(うち39KO)7敗2分。 世界チャンピオンとしては敗戦数が7と多いのですが、 これも彼のキャリアの一部として 充分に消化されています。 デラ・ホーヤなどとともにソトが契約する トップランク社(米)のボブ・アラム代表は 「一目見て、彼のもつ力で いずれ世界を取れると確信していた。 また、非常に優れた技術の持ち主で 特に敵の懐に入っての攻撃は世界トップクラスだ」 と絶賛しています。 これは、世界戦のチャンスを与え続け、 チャンピオンになったことから考えても 正当な評価だと思います。 ソト生い立ち ソトは13歳からボクシングを始めて アマチュアでは13勝1敗という成績。 翌年14歳でプロデビュー。 辰吉と死闘を繰り返したビクトル・ラバナレスに 2連敗するなど、頂点に立ったライバルたちからは 一歩遅れた位置にいました。 1996年には日本でもおなじみの ルイシト・エスピノサの地元フィリピンに乗り込んでの 世界挑戦も惜しくも判定負け。 今年5月、3年越しに再びルイシトに挑み プロ62戦目にして 念願の世界タイトル獲得に成功しました。 ボクシング=メキシコという イメージを持つ方もいるでしょう。 それはなぜかというと、メキシコでは 打ち合うボクサー=ファイターが人気を博すからであり、 それが偉大なファイターを生み出す土壌となっており、 メキシコ人の誇りでもあるからなのです。 ソトも例外ではありません。 彼の魅力は何といってもパワーと左のうまさです。 無骨な外見から想像されるパワーは脅威そのものです。 そして左の連打は 想像以上に相手にプレッシャーをかけます。 また、メキシカン独特の 打ち抜く強烈なパンチはハメドたりとも油断できません。 タフという点ではソトに分があります。 遅咲きの意地に賭けても返り討ちを狙います。 試合展開について 試合の展開はハメドの出方によるでしょう。 ソトは相手を追いつめてゆく自分のボクシングスタイルに ぶれはさほどありません。 それに対しハメドは足を使い、長い距離から 得意の一発をきっかけに一気に畳みかけるのか? それともソトがそのハメドの入りのカウンターを狙うのか、 プレッシャーの継続で一気にインサイドに潜り込んで ショートを爆発させるのか? どちらにしても強打を誇る両者なので必見です。 違った場合はすみません。 でもそれもボクシングです。 そういう意味でも本当に楽しみな試合です。 WOWOWスポーツ部 小田真幹 |
1999-10-12-TUE
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