「WOWOWエキサイトマッチ」
10月のラインアップ
チャベス選手の引退試合、
そして、注目のメキシカン登場!
まずは、お知らせからです。
前回の原稿に書いた、
WBC世界S.フライ級王座交代劇
徳山昌守 対 チョ・インジューの試合を、
9月30日(土)午後6時から放映します。
南北朝鮮の選手が対決した、世界的に注目された試合です。
そして、9月後半は
世界的なスポーツの祭典オリンピックで
普段あまりスポーツに興味のない方も
さまざまな感動を味わったと思います。
そして今回の本題、ボクシングに目を向けると、
WOWOWで放映される10月のエキサイトマッチに、
プロフェッショナルの頂点
世界注目のスーパースターが勢ぞろいします。
今回は10月前半のラインアップを紹介いたします。
10月は世界ボクシング界に強い影響力を持つ
メキシカンの魅力に迫っていきます。
メキシカンの魅力はなんといっても
その勇敢なファイトスタイルです。
単純に打ち倒して勝つという
非常に勇敢な選手のみが
国民の尊敬を勝ち得るのです。
そのメキシカンを代表する、
フリオ・セサール・チャベス選手、
フェルナンド・バルガス選手、
マルコ・アントニオ・バレラ選手、
ホセ・アントニオ・アギーレ選手、
がWOWOWに登場します。
バルガス選手に関してはアメリカ在住ではありますが、
チカーノ(アメリカに住むメキシコ人の呼称)であり
本人は強くメキシカンを意識しているので、
あえてメキシカンとしています。
メキシカンの代表といえばやはりチャベス選手です。
もちろんそれ以前にもメキシコは
数々の名ボクサーを輩出していますが、
実績、人気とも彼がいちばんと言って間違いありません。
それは現役スターにとっても同じです。
私は、2000年の年始に放送した特別番組のために、
モラレス選手、バルガス選手を取材しました。
彼らのチャベス選手に対する尊敬、
想いは特別なものでした。
彼らはチャベス選手を目指してプロボクサーになり
そしていつしかメキシカンの次世代を
継承するトップ選手になったのです。
しかし取材を受けてチャベス選手について語る彼らは
少年のような謙虚さを持っていて、
私は少し驚きました。
やはりチャベス選手は、現役のスター選手にとっても、
カリスマの域に入っているのでしょう。
そのチャベス選手、
最後の戦いがとうとうやってきました。
10月5日(木)午後8時から放映、
スーパースター チャベス最後の戦い
WBC世界S.ライト級タイトルマッチ
コンスタンチン・チュー 対 フリオ・セサール・チャベス
メキシコのスーパースター
フリオ・セサール・チャベス選手が
ついに最後の戦いに挑みます。
チャベスといえば、
80年代の黄金の中量級以降の世界ボクシング界を
マイク・タイソンとともに支えた伝説のメキシカンです。
その英雄も今年で38歳。
イベンダー・ホリフィールド選手や、
日本のプロ野球、巨人の村田真一捕手と同世代です。
命を賭けて戦うボクシングという競技では、
この年齢まで世界一流レベルを保つのは至難の技です。
これはひとえに、相手に打たれない、
ディフェンス能力の高さ+打たれ強さによるものです。
特にメキシカンは、実戦を重ねて調整をしてゆく
いわゆる「たたき上げ」方式が特徴です。
チャベスもこれにもれず今までの試合数109戦という
恐るべきキャリアを誇り、生涯ダウン数も1回という
素晴らしい才能を持った選手です。
対するチャンピオンはS.ライト級最強を誇る強打の
コンスタンチン・チュー選手(30歳)。
ロシア出身でオーストラリアを主戦とする
攻撃的ファイターです。
空手の正拳のように両手を前に突き出し
強打で相手を打ち砕いていくファイタータイプです。
1995年から1997年までIBFタイトルを手中にし、
安定政権を築いていましたが、
ビンス・フィリップスにまさかのTKO負けで無冠に。
翌年、暫定ながらWBCベルトを手中し、
メキシカンの実力者ミゲル・アンヘル・ゴンサレスとの
決定戦にTKOで勝ち、正式王者に返り咲きました。
このベルトは「エキサイトマッチ」の解説者、
浜田剛史さんも現役のとき持っていたベルトです。
浜田さんも現役時代、クラス最強といわれた
メキシカンの強打者、レネ・アルレドンド選手と
死闘を繰り返し、ファンを熱狂させたこともあり、
日本にも縁があるタイトルです。
事前の専門誌の予想を見ても、
チャベス選手の圧倒的不利です。
さらに前戦で伏兵に完敗を喫し、
業界内外からもミスマッチ、
タイトル戦の資格があるのか? といった非難もあります。
彼はそれらの反応に充分理解を示し、
その上で「試合を見てくれ」と
悲壮なまでの勇敢さを示しています。
38歳の大ベテランがどのような試合を見せてくれるのか?
注目です。
この日の放映では、他の試合にも注目選手が登場します。
WBO世界S.バンタム級タイトルマッチ
マルコ・アントニオ・バレラ 対
ルイス・クラウディオ・フレイタス
チャベス選手のスタイルを継承するファイター、
マルコ・アントニオ・バレラが登場します。
2月のモラレス選手との統一戦では判定で敗れたものの
論議を呼ぶ接近した内容でした。
対モラレス戦をラスベガスで観戦しましたが、
内容的には12Rに壮絶な打ち合いで
モラレスを何度かグラつかせるなど
軽量級注目の選手です。
相手のフレイタス選手は全KOS.フェザーセンセーション
アセリノ・フレイタスの実兄です。
弟ばりの速攻強打がでるのでしょうか?
IBF世界S.ライト級タイトルマッチ
ザブ・ジュダー 対 テーロン・ミレット
S.ライト級、注目の一戦。
クラス最速の若手、ジュダーと
強打の前王者ミレットの対決。
ジュダーは現在のS.ライト級最速の選手であり、
そのスピードと勘は天性のものがあります。
身長はこの階級のわりに低く(恐らく165cmくらい)、
そのセンスたるやウィテカー選手を思い出させます。
相手のミレット選手は、
動きはジュダー選手に比べると硬いものの
強烈なパンチを持ち、身体には銃弾が残っている
という強烈な個性?の持ち主です。
「スピード対パワー」の試合、
どちらに軍配があがるのでしょうか?
WBC世界ミニマム級タイトルマッチ
ホセ・アントニオ・アギーレ 対 ホセ・ルイス・セペダ
アギーレ選手もメキシカンですが、
その試合のスタイルは異なります。
長身でスタイリッシュなボクサーファイターです。
あのリカルド・ロペス選手に似たタイプです。
精密機械のような動きから繰り出すワンツーは強烈です。
ロッキー・リンを破り、
タイの軽量級で一時代を築くはずのワンディを
見事敵地で破り、王座を獲得した実力者です。
ミニマム級で一時代を築く可能性大の若手王者です。
10月14日(土)午後6時から放映
打倒トリニダード!
暴れん坊 フェルナンド・バルガス登場!
デラ・ホーヤがモズリーに敗れ
今、中量級の主役はトリニダード選手が
頭ひとつリードしているといえます。
しかしこのクラスの魅力はなんと言っても
層の厚さ、ライバルたちの存在です。
そして打倒トリニダードの一番手が
フェルナンド・バルガス選手です。
彼の魅力はなんといってもその破壊的なスタイルです。
非常に冷静に見えますが、実はキレると止まりません。
そういう意味ではタイソン選手と同じです。
今回の試合をラスベガスで観戦したのですが、
事前の記者会見で、トンプソン選手が
バルガス選手に殴りかかるという暴挙にでたのです。
叫び声と物音に気づいて私が目を向けたときには
すでに両選手がスタッフに押さえつけられていました。
その後は、試合前の無用なトラブルを避けるため
計量も別々に行なわれるなど、
周囲も細心の注意を払わざるを得ない特殊な状況でした。
試合もボクシングというよりは
ストリートファイトの様相を呈したものでした。
まさに喧嘩ファイトでした。
トンプソン選手もかなりの乱暴者で
非常に面白い一戦です。
次回は10月後半に放映される試合をレポートします。
WOWOW 小田真幹
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