BOXING
私をリングサイドに連れてって。

バレラメキシコの意地見せる!
プリンス‘ハメド’初黒星!


試合は大方の予想を裏切り
正攻法のバレラがハメドの異端ボクシングを完封し
フェザー級最強を証明しました。

いよいよ試合です。
ラスベガスに来てから
野茂選手やイチロー選手
の活躍がアメリカ本国で大々的に伝えられるなど、
ボクシング以外でもスポーツニュースから目が離せません。
さらに生でみるビックマッチは
何回来ても心躍るものがあります。

会場のMGMグランドは「タイソン対ホリフィールド」。
耳噛み後の発砲騒動の混乱から
カジノの安全のため、暫く興行から遠ざかっていましたが、
最近再び興行を行うようになり、フェザー級の試合で
何と1万4千人の観客を集めました。

これもハメド対バレラという注目の対決
が生み出した効果でしょう。
しかし重量級重視のアメリカで
フェザー級で1万4千人とは想像以上の注目度です。
近年の日本では辰吉選手や畑山選手の人気選手、
で且つ相手が注目戦選手で集めなければ
同等の集客はできません。
視聴率で20%を超えるマッチメークといえば
いかに難しいかお分かり頂けますでしょうか?

会場はハメドの英国ファンとバレラのメキシコファンが
大歓声をあげるなど、ヘビー級並の盛り上がりでした。
私たちの前後ではハメドとバレラ、
それぞれの応援が入り混じり大変でした。
しかし感心したのはキツイ事を言い合うものの、
決して熱くならずお互いを理解し、
コミュニケーションをとっていたところです。
ビールの量も凄かったですが
決してトラブルにはなりませんでした。



試合は想像以上に明確な展開でした。
バレラがオーソドックスな正攻法で
ハメドのトリッキーな動きを封じたのです。
ポイントはハメドの右ガードでした。
そこにバレラが効果的な左フックを当て
ハメドは反撃の糸口もつかめませんでした。

これまで歴戦の元チャンピオンや強者が
ハメドのトリッキーな動きにかく乱され
ペースを失い、無理な打ち合いや隙をつかれ
マットに沈んできました。

今回バレラが出した戦略は難しいものではなく
恐らく、上記の強者たちも当然ハメド攻略法としたであろう
ボクシングの原点である
基本の中にあったと思います。

基本   試合での結果
的確なジャブ ジャブの打ち合いを制した
堅い防御 ブロッキングを中心に
左の一発を防いだ
相手のガードの
隙を狙う
右ガードが下がっているところへ
左フック
的確な
コンビネーション
左右フックの返しを
常に意識していた

しかしこれまでの敗者とバレラの大きな違いは
「集中力」「勇気」「冷静」という精神的要因をもって
試合で実行したことだと思います。

これまでは人気が高く、基本とはかけ離れた
曲芸士のようなハメドのトリッキーな動きに
知らずのうちに付き合い一発を狙い
ついつい動きが粗く雑になり、無理や強引になった時に
パワーパンチを貰ってしまう、
というものでした。
バレラはその点は非常に冷静でした。

ジャブで崩し、
相手ガードが下がる時に当たるパンチを用意し、
さらにコンビネーションを当てる。
ハメドの強打を前にしても自分のパンチを出し、
常に弱点を攻撃してプレッシャーをかけ、
無理に追わず、的確にダメージを蓄積させました。

これに参ったのはハメドです。
試合後半はペースを失い、分の悪い打ち合いに
応じるしかありませんでした。
12ラウンドは立っているのが不思議なくらい
メッタ打ちに合いました。

しかし敗れたとはいえハメドはさすがでした。
バレラの猛攻を受けながらも試合終了後は
顔の傷や腫れも目立ちませんでした
動体視力の良さとパンチを逃がす天性の柔らかさは
健在でした。

今回の試合で改めて基本の大切さを思い知りました。
わかっているだけではなく相当練習しなければ
試合では使えません。
また、相当ハメドを研究したのでしょう。
それほどの完勝でした。

ハメドはパンチ力、ボディワーク、バランスなど
天性のものがほとんどです。
正攻法の壁にぶつかりとうとう敗れたハメド。
この試合の結果を生かして天性の才能を
今後どういう方法で磨いてゆくのか?
非常に楽しみです。

二人は年末にも再戦するという話もすでにでています。
今後の二人の活躍にもさらに期待したいと思います。
最後に賭けですが、ハメド同様完敗でした。
まだまだ勉強不足です。

WOWOW 小田真幹


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2001-04-10-TUE

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