タイソン苦戦も王座に向けTKO勝ち!
秋のビックマッチ第2弾
世界が注目するヘビー級ノンタイトルマッチ
「マイク・タイソン対ブライアン・ニールセン」
がデンマーク・コパンハーゲン、
パーケン・スタジアムで行われました。
タイソンがディフェンス一辺倒のニールセンに
苦戦しました。
しかし、7RTKOで63戦62勝(43KO)1敗、
恐るべき実績を誇る地元の巨大選手
英雄ニールセンに勝利しました。
今回の試合前タイソンには多くの心配事がありました。
まず、1年ぶりの試合ということです。
1999年1月ボタとの復帰戦以来、
10月のノリス戦、2000年1月のフランシス戦
2000年6月のサバリース戦、10月のゴロタ戦と
1年2試合を順調にこなしてきていたのです。
しかし、5試合で合計11Rしか戦っていないのも事実です。
35歳という年齢もあり、1年のブランクが
「タイソンの切れ味」にどのように影響するかということを
確認したかったのです。
今回は239lbs(108.4kg)という
体重増もどうでるか心配でした。
180cmのタイソンがヘビー級を征した原動力は
スピードにあったのです。
ヘビー級では小さな部類に入るタイソンは、
鋭い踏み込みを生命線としています。
専属のコンディショニングコーチを雇い、
検証しながらではあるでしょうが、
これまでの最高223lbs(101.1kg)から
一気に7kg近く上げパワーにバランスをシフトした、
それがどうでるか?
今回一番確認したかったのです。
恐らく今回の対戦相手であるニールセンが
身長193cm、体重259 3/4lbs(117.8kg)と
身長+体重があったこととも無縁ではなかったと思います。
ニールセンの作戦は明らかに後半勝負でした。
前半のパンチの嵐を凌ぎ、
後半ばてたタイソンを仕留める、というものです。
注目の第1ラウンド、ニールセンは作戦通り
ガードを固めタイソンのラッシュを凌ごうとします。
しかし肝心の足が上手く使えないため、
ガードの上からですが、ロープに詰まり
めった打ちにあいます。
本当は足を使えばダメージ&危険度は下がりますが、
そこはヘビー級大型選手の宿命で、
立ち上がりから全開のタイソン相手では上手く使えません。
ニールセンは193cm、117kgでここまでプロ1敗。
これまで足を使う必要が無かったのは当然です。
しかし、タイソンはこれまでの相手とは役者が違います。
タイソンはストレート系ではなく、
ボディブローからフックという
ショート系パンチを容赦なく打ち込みます。
また、絶頂時に見せたガードの真中を突き破るような
アッパーカットも何度か見せるなど、
余裕のラッシュを続けます。
3Rにはガードが下がった顎に
タイソンの左フックが爆発し、
大男ニールセンが後方によろめき
たまらず尻から落ちダウンします。
タイソンのラッシュが一段落した、4R以降ニールセンも
ワンツーやクリンチ、足を使い、
スタミナ切れの後半を待ちますが、
いかんせんパンチのダメージは相当あったはずです。
7R開始時にレフリーが本人に終了を告げ、
試合はあっけなく終了しました。
試合前の予想とは違った展開でしたが、
これはひとえにニールセンの頑張り、
タフさが大きかったと思います。
3Rにダウンを食らったものの、
ガードをメインにした戦術だからこそ、
7Rまでもったともいえます。
大男の守勢戦術をこじ開けたということで
やはりタイソンは健在です。
堅いガードをこじ開けるのは、
通常の倍以上体力が必要なことです。
またボディブローは非常に有効的でした。
特に仮想レノックス・ルイスの練習としては
進化していると思います。
しかし踏み込みのスピードはニールセンが足を使わず、
パンチもほとんど打たなかったため、
正面から真っ向打っていっただけなので、
確認するところまではいきませんでした。
また体重を増やした影響か、コンビネーションが余りなく、
1発か2発という単発的な攻撃に終始しました。
もっともパワーは以前に比べ
確実にアップしているといえるでしょう。
ガードに苦しんだものの、
タイソンは順調に勝利を重ねています。
来月にはWBC・IBF統一世界ヘビー級タイトルマッチ
「ハシム・ラクマン対レノックス・ルイス」の再戦が
行われます。
順調にいけばやはり、
ルイスが雪辱するのではないかと思われます。
タイソンはIBFで世界ランク1位で
指名挑戦権を持っており、
今回の試合でWBA,WBCのランクも上がり、
タイトル戦は時間の問題と考えられます、
というか考えたいものです。
ボクシングファンにとって
やはり21世紀皮切りのヘビー級ビックマッチは
「タイソン対ルイス」
に違いありません。
しかし今日のタイソンからすると
ルイス攻略まではまだやることがあると思います。
踏み込みのスピード。
ジャブやワンツーのストレート系攻撃の起用。
コンビネーションブローのバリエーション。
クリンチの対処。
ルイスはホリフィールドとの2戦で見せたように、
ワンツーで突き放し、入ってきた所に右アッパー
という戦術を完全に身に付けています。
さらに足も非常に上手く使えます。
前回のラクマン戦は油断としか考えられません。
ルイス中心になってしまいまいましたが、
ラクマンもガードが固く、コンパクトなパンチは
見ている以上に威力があります。
一番の魅力はルイス相手に向かっていった闘争心です。
これがなければあの番狂わせもありませんでした。
それはホリフィールドがタイソンとの第一戦で見せた、
「勇気」で奇跡を起こしたものと同じです。
WOWOWでは
WBC・IBF統一世界ヘビー級タイトルマッチ
「ハシム.ラクマン対レノックス.ルイス」
を11月18日(日)独占衛星生中継予定です。
秋のヘビー級戦線もお楽しみに!
WOWOW 小田真幹
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