BOXING
私をリングサイドに連れてって。

メジャーには笑顔がたくさんあります。

メジャー観戦していて日本と違う点は
観客の楽しみ方です。
試合中でもプレーとの接点があるので
自然とプレーに集中する環境なのです。
また子供を非常に大切にします。
大人も子供に帰る空間とでもいうのでしょうか?
文化の違いと歴史が感じられて非常に面白いものです。

メジャーの球場は観客席とグラウンドを分けてしまう
ネットがバックネット以外ほとんどないため、
非常に見やすい反面、危険もあります。
それはファウルボールです。
ファウルゾーンは日本の半分くらいと狭いため、
強烈なライナーが結構な近距離から飛んできます。
恐らく反応するには2秒くらいしか時間はないでしょう。
しかし、ファンはグローブを用意し、
ファウルボールを取ろうと飛びついていきます。
日本のように安全ではありません。
完全に一人一人の自己責任になりますが、
ファウルにはファンがプレー参加するという感じなので
何の違和感、危険感もないのです。
それどころか周辺は興奮して大騒ぎになります。

また日本と違うな、と感じたのが応援です。
アメリカは声援のみの応援です。
日本では鳴り物の自粛等で大音量ではないものの、
太鼓や音を大勢の人が一斉に出して盛り上げ、
臨場感を出します。
アメリカでは決して道具ではなく、大人子供の区別なく、
ホームチームのエンブレムをあしらった
帽子や、ジャンバー等を
ほとんどの人が身につけて声と拍手で応援するのです。
この両国の応援方法の違いにより全く異ってくるのが
「音」です。
打球音や審判のジャッジが明確に聞こえるのです。
日本でも昨年夏東京ドームの巨人-横浜戦で
一切の応援道具使用を自粛した日を設けました。
乾いたホームランの打球音や、つまった打球の鈍い音、
そしてベンチからの野次さえも聞こえてきて
非常に新鮮でした。
もっとも1日だけでしたが・・・・。

メジャー観戦に来るファンにはスーツ姿の観客が
ほとんどいません。
日本では平日は物凄い数のスーツ族がおり、
土日でさえも存在しますがアメリカではほとんどいません。
どこで着替えてくるのかな?
仕事をしているんだろうか?
と思ってしまうほどです。
年季の入ったお年寄りも多数います。
私の隣ではお年寄り試合見ながらラジオを聞き、
スコアシートを付けていました。
こんな風景は日本では記者席以外では見られません。

球場で一番のVIPは子供です。
そして彼らの狙いはファウルボールです。
メジャーはファウルボールがもらえるので、
その「宝物」をとるためにグローブも用意しています。
一塁や三塁に転がるぼてぼてのファウルは
走塁コーチやボールガールが取ります。
そのファウルボールは必ずといっていいほど
スタンド前方でグローブを構えている子供に渡されます。
周囲の大人は拍手し、子供も大喜びで
見ていて心地よい空間です。
またフライアウトでチェンジの場合は
メジャーリーガーから直接ボールが貰えるのです。

この何気ない人間同士の接点を
ファウルボールを主催者が回収し、
3mのネットで隔てられた日本の球場で見出すことは
なかなか難しいです。

メジャーというのは単に一流というだけではなく、
ファンとともに進化、成功したということなのでしょう。
全ての行為が自然に行われている、
そんな印象を強く持ちました。
それに比べると日本は演出色が強すぎるというか、
人工的という感じがします。
長嶋監督の退任やイチロー選手の渡米で
日本の野球の地盤沈下が叫ばれています。
メジャーでは敵チームのファインプレーに対しても
拍手が沸き起こります。
それはメジャーの凄さを見たいファンが
それを見せてくれた感動に対する純粋なものだと思います。
日本でも球場内の工夫などで
プロスポーツ本来の持つ緊張感、ダイナミズムを
さらに伝えることができるでしょう。
また選手を試合前後、試合中に
もっと身近に感じられる環境があれば
さらに見に行きたい気がすると思います。

今年のワールドシリーズのNYの奇跡も
ファンの後押しがあっての奇跡と思えてなりません。

大人はもちろん子供も笑顔が素晴らしいのが
メジャー球場です。

WOWOW 小田真幹


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2001-11-09-FRI

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