BOXING
私をリングサイドに連れてって。

ルイス最強の右復活!再び王座へ!

レノックス・ルイス、最強の右一発が炸裂し、
ハシム・ラクマンは背中からリングに崩れ落ちました。
立ち上がろうしますが、さらに前のめりに倒れこみ
レフリーのカウント10で試合は終了しました。

デラ・ホーヤ戦が延期になったため、
今年を締めくくるビックマッチとなった
WBC・IBF世界ヘビー級タイトルマッチ
「ハシム・ラクマン対レノックス・ルイス」は
まさにヘビー級のド迫力を見た一戦となりました。

試合そのものは右一発で決まりましたが、
今回のポイントは攻撃の基本そのものでした。
それは「左」の使い方です。
「左を制す者が世界を制す」そのものでした。
「あしたのためにその一」です。

試合開始直後からルイスが繰り出したのが、
左ジャブです。
身長196cmのルイスが繰り出す
スピーディで正確且つ手数が多いジャブが
ラクマンを当惑させました。
ラクマンもダッキングや相打ちを仕掛け、対応し
中に入り込もうとしますが、できません。
それほどルイスのパンチにキレがあったのでしょう。

この試合はボクシングにおける
理想的な左の使い方そのままでした。
まさかヘビー級タイトルマッチで
お手本が見れるとは思わなかったので、
びっくりしたほどです。

・先手を取る
・相手の機先を制する
・自分の距離を計り、相手の距離感をつかませない
・手数を出し、邪魔させる
・相手にジャブに集中させるようにする

ジャブでリズムに乗ったルイスは
最強の右の試運転とばかりに
ワンツーでラクマンを攻めたてます。
前回KOされているだけに慎重に行くかと思いましたが、
3Rに浅いが見事なワンツーがヒットし、
さらに勢いづきました。
4Rに入るとさらにスタンスを広く取り
さらにパワーパンチを打つ体勢を作り、
ワンツーで攻めたて、狙い通り右で決めたのです。

ルイスは試合開始から4Rまでの要素で
すでにプレッシャーを相手に与えたのです。
ジャブに集中せざる得ないラクマンの防御は
試合開始後から徐々に崩され、
最後には右に対応できなくなっていたのです。

試合後のインタビューでは
ラクマンがジャブに対して反応する際
バランスが崩れるという癖までも見抜いており、
狙い澄ましたフィニッシュということを伺わせる
まさに完勝でした。

世界レベルのボクサーは
もちろんフィニッシュブローを持っています。
タイソンの左右フック、トリニダードの左フック等ですが、
ルイスのフィニッシュに持っていく典型的な形を
まさに基本の中に見ることができました。
近距離でのアッパーやクリンチなど用意していた作戦も
全く使う必要がなかったパーフェクトな試合でした。

今回ルイスのファイトマネーが
$1100万(約13億円)と推定されています。
ほとんどパンチを受けずにこの金額は凄いです。
イチロー選手、佐々木選手の約倍の金額を
わずか実働15分で稼いだのです。
この点でもヘビー級はため息がでるくらいメガです。
ちなみにラクマン選手も試合が$500万(約6億円)、
プラス別途合わせて10億円の収入という事です。
もっともあんなパンチを喰らいたくはありませんが。
様々な意味で本当にスケールを感じた試合でした。

三度ヘビー級王座についたルイスももう36歳です。
今日の出来は最高でしたが、試合によって
出来不出来の差が大きいのも事実です。
しかし今後は僅かな調整ミスも
試合の勝敗に影響してくるでしょう。
私個人としては来年冬くらいに
ルイス−タイソンという
現代究極のカードを見たいと思います。

先日岡山で行われた
WBC世界ミニマム級タイトルマッチ
「ホセ・アントニオ・アギーレ対ウルフ時光」戦は
アギーレが強過ぎました。
ミニマム級は105lbs(47.62kg)。
今回のルイスは246 1/2(111.8kg)ですから
半分以下の階級です。
ところがアギーレ選手は動かず、一発パンチを振る
重量級のようなボクシングをする強打の選手なのです。
ウルフ選手のスピード勝負も一瞬の隙にパンチ喰らい、
強烈な右でダウンした後は
めった打ちにされてしましました。
しばらくは彼の時代となるのではないかと思います。

今年もあと一ヶ月強となりました。
エキサイトマッチでは2001年総集編のベストバウトを
E-mailで募集しています。
感動した試合、見てみたいシーン等の意見も
ぜひいただきたいと思います。
あて先はexcite@wowow.co.jpです。

WOWOW 小田真幹


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2001-11-21-WED

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