ベテラン星野完勝!再び世界王者に!
32歳の小さなベテラン、星野敬太郎選手が
再び世界王者に返り咲きました。
昨年夏、すい星のごとく世界王座を奪取した
新井田選手突然の引退劇で空位となった
WBA世界ミニマム級王座決定戦
「星野敬太郎対ガンボア小泉」は
1月29日パシフィコ横浜で行われ、
星野選手が3-0の判定でガンボアを破り
2度目の世界王座を獲得しました。
両者は約1年1ヶ月ぶりの再戦。
第一戦では星野選手が辛くも微妙に逃げ切った
という印象の試合でした。
今回もボクサーファイターの星野に
強打のガンボアという基本的な図式は変わりません。
しかしリマッチは良く考えた方が
勝つといわれています。
試合はその通り星野選手が全ての面で
自らの技術を進化させ、ガンボア対策も行い
さらに闘争心でも上回った完勝といえます。
その中でも改めて基本技術と闘争心で
星野選手がガンボアを止めたという印象が残りました。
・左は世界を制す
今回の星野選手は左が素晴らしい出来でした。
左にステップを踏みながら、小刻みに出す左ジャブ、
バランスも良いので、打った後のガードまたは連打
両方意識した流れるようなボクシングを展開しました。
このジャブによりガンボアは右を攻撃よりも
ガードに回す選択をとらなければならず、
基本的なペースを奪い続けることができたのです。
またほとんどの場合で先手をとっていました。
・ガード
今回の星野選手はガードも素晴らしいものでした。
危険を感じる距離では必ずガードをしっかり固め、
あえてガードの上を打たすようにしていました。
それはガンボア選手のパンチ力とパンチの見切りを
確認さえしているような余裕が感じられました。
対象的にもともと一発タイプのガンボア選手は、
連打もガードに阻まれ、
大きいスイングで一発狙うしかなくなり、
攻撃の幅を失い、微妙にバランスも失い
大味な攻撃になっていきました。
中盤からは星野選手とは逆に
右のガードも下がる癖も出て、
コンパクトな左フックを喰らう
スリリングな場面も作ってしまいました。
・闘争心
合理的な技術論を体得していても、
闘争心ない選手は世界戦での勝利を
手にすることは非常に難しいものです。
上記のようにガードを的確に使い、
その隙に左で相手を崩しただけでは
ミニマム級随一の強打ガンボア選手を
止めることはできません。
今回の星野選手の精神面的な勝因は闘争心です。
第一戦では強打を警戒して引き気味で
薄氷の勝利という印象でしたが、今回はその教訓を活かし、
自分よりもパンチの強いガンボアに対し
むやみに下がることはほとんどありませんでした。
むしろ接近してから
コンパクトなフック系コンビネーションで
観衆が望むKOチャンスを引き寄せる
攻撃的なボクシングを展開し、
久しぶりに日本人選手の快勝に酔うことができました。
ガンボア選手も星野選手同様、
ガードを上げ、左を使う戦術の向上は見て取れましたが、
星野選手のほうが
スピード、キレ、バランスで優っていました。
2度目の王座君臨となった星野選手は現在32歳。
ちなみに先日引退を表明した畑山選手は26歳。
単純な年齢比較は全くナンセンスですが、
軽量級ならではの豊富なスタミナとスピード、
そして現代ではパワーも求められ、
過酷な減量も必要なミニマム級(47.62kg以下)では
報道以上の快挙と考えていいと思います。
さらに再戦のメリットを最大に利用するなど、
現在の星野選手はアスリートとして
心技体が一致した最高の状態でしょう。
逆にいえばこの状態をキープし続けることは
非常に困難なことですが、30代の代表として
1日でも長く世界王者として君臨し、
今回のような良い試合を見せて欲しいと思います。
今後日本開催の世界戦は
2月5日にWBA世界S.バンタム級
「ホーリン対佐藤」
3月3日
WBA世界S.フライ級
「セレス小林対ムニョス」
WBC世界S.フライ級
「徳山対柳光」とラッシュです。
星野選手の勝利を弾みに
日本人選手の王座奪取ラッシュと
好ファイトを期待したいと思います。
WOWOW 小田真幹
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