帰ってきた田村潔司。U-STYLE旗揚げ!
前田日明率いたリングスの解散からちょうど1年。
「UWF」の遺伝子を継ぐ男、田村潔司が自身の新団体
「U-STYLE」を引っさげて帰ってきた。
2月15日、旗揚げ戦の会場となったディファ有明は
1800人のファンを収容し、超満員興行となった。
関係者の話によると
普段は席が出ないエリアにも設定されるなど
開場前から大盛況が期待されたほどだ。
格闘界の頑固者、帰ってきた田村潔司
この1年、格闘界は、PRIDEやK-1、ボブ・サップなど
何でもありルールなどの過激さや話題性を全面に打ち出した
イベント色の強い興行が特色であり、
TVや会場で堪能された方々も多いだろう。
それが現在の「格闘ブーム」の中心となっているのは
間違いない。
しかし急激なる成長やエスカレートする演出や
マッチメイクと無縁ではないだろう、それぞれ団体とも
運営代表者の自殺、逮捕という前代未聞の問題を抱え、
格闘界の暗部という見えざる姿を
想像させてしまったたことも間違いない。
U−STYLEはなんでもありの派手な路線とは一線を画した
「UWFスタイルのプロレス」であり、
そのルーツは前田日明、高田延彦などを中心とした
無骨なスタイルとカリスマレスラーによる
伝説となった総合格闘集団UWFである。
UWFの解散後はリングスであり、
UWFインターに継承されていった。
そして現在、UWFを体現する代表選手が、
田村潔司なのである。
全選手入場が始まる。
UWFのテーマが流れると熱狂的なファンは
歓喜の叫びと手拍子で鼓動する。
このテーマを会場で聞くと心が揺さぶられる。
この日の試合は全6試合。
田村選手率いる「U-FILE CAMP」からは
5選手が出場するなど中心的役割を果たす。
そして元リングスの坂田亘、滑川康仁、伊藤博之
なども出場。大きな歓声が飛んだ。
ルールの特徴はリングスではお馴染みだったが、
パンチによる顔面攻撃はなし。
そしてロープエスケープ4回可能なことである。
つまり立っていても、寝ていても顔面を殴りあう
凄惨な場面はない。
そしてピンチがあれば4回は逃げる事が可能ということだ。
言い換えれば非常に攻撃的な試合が見れる。
相手の隙をつき、足か腕を狙う攻防が増し、
展開が目まぐるしく変わり、
見ている人は飽きることがないのだ。
しかし技術が低かったり、防御一辺倒になると
見ていてつらくなる。
まさしくプロの技術が要求される。
この日はスープレックスやロープを使った動きなど
ダイナミックな技も見られ観衆も唸っていた。
メインイベントは「田村潔司vs坂田亘」
旧リングス対決となった。
このスタイルでの対戦は久しぶりなためか
当初はお互いぎこちなさがあった。
しかし両者次第にリズムが出始める。
寝技での足、腕の関節技せめぎ合い。
ここでも観衆からため息や「おお」という
感嘆の声が上がり始める。
中盤、田村のミドルキックの連発から膝蹴りで
坂田がぐらつく。
坂田も負けじとボディブローを田村に突き刺し、
逆に後退する田村。
時には片えび固め、そして投げ技などの大技も飛び出し、
会場は一体となって大歓声に包まれた。
最後は田村のフロントチョークで坂田がギブアップ。
流れるように見事な攻防を堪能することができた。
田村見事な旗揚げ戦勝利
最後の挨拶で田村は
「まだまだですが、これからも頑張りますので
応援よろしくお願いします」と締めた。
確かにメインの田村、坂田戦と他の試合では
レベルに違いがあったことは確かだ。
しかし一方で活躍の場が一定しない中で、
様々なルールで色々な興行にでている若い選手たちに
一回で完璧を望むのは厳しいだろう。
今後このスタイルでの興行が継続して行われれば、
間違いなく若手は急速な成長をするであろう。
現に、佐々木選手、上山選手などは
非常に切れの良い動きで片鱗を見せていた。
今後はTKこと高阪剛(現在110kgへ向けて肉体改造中)
などの参戦など見てみたい試合はいくつも浮かぶ。
私はこの日U-STYLEの「将来」を楽しみにしたいと思った。
それは出場12選手が全て日本人であったということだ。
安易に外人選手に頼るのではなく、
まずは自分達の興行を日本人選手で行い、
観衆と一緒に成長過程を共有していくという、
一体感を求める姿勢が各選手から満ち溢れていた。
会場の観客は21世紀の新しいUWFという
マグマを強く感じ、共に創造、成長して行こうという
前向きなエネルギーを強く持ったのではないだろうか?
果たして21世紀のUWFでどんな名勝負が生まれるのか?
第2の前田、ポスト田村として
どんな選手がでてくるのだろうか、
多少時間はかかるであろうが、非常に楽しみである。
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