BOXING
私をリングサイドに連れてって。

新井田、再び世界頂点に立つ!!


日本人選手が波に乗っている。
6月28日の徳山×川嶋戦に続く
日本人世界王者が誕生した。

WBA世界ミニマム級タイルマッチ
「ノエル・アランブレット×新井田豊」
3−0の判定で新井田が2度目の
世界チャンピオンとなった。

◆王者計量失敗!!

実は試合前ハプニングがあった。
王者アランブレットが計量に失敗したのだ。
ミニマム級リミットの105lbs(47.62kg)に
300g届かず、王座剥奪となった。
実は王者は以前のガンボア戦でも同じ過ちを犯しており
今回で2回目となるのだ。

これでアランブレットは王座剥奪。
試合は開催されるが、アランブレットは
勝っても何も得られない。
新井田は条件は何も変わらない。
勝てば空位となった王座を獲得できる。

計量失敗について説明したい。
ボクシング、それも世界戦でウェイトを守れない選手は
試合をする資格がない。
ミニマムからヘビー級まで
17階級の体重で分かれているボクシングは
最も公平な格闘技とされている。
その基準である体重リミットを守れない選手は
自己管理ができていないとの厳しい判断が下される。
所属団体の世界王座の権威が落ちる。
さらに大一番に向けて全ての努力を向けてきた
挑戦者やプロモーターにも恥をかかすこととなる。
それほど世界戦は神聖なものなのだ。
さらに最軽量(105lbs、47.62kg)ミニマム級での
リミットオーバーは重いほうが断然有利となる。
ミニマム級(105lbs)の上はL.フライ級(108lbs)。
体重差はわずか3lbs(1.36kg)しかないのだ。
乱暴だが、一階級上の選手とやるような
パンチ力や体力がある可能性もある。
もちろんリミットを落とすために
ぎりぎりまで減量するためコンディションは良くないが、
事前にある程度楽な体重で過ごしている時間があるだけに
体力はある可能性がある。

◆進化した新井田!!

両者は1年前対戦している。
試合は軽打で手数を稼ぎ、足を使うアランブレットに
一発狙いで手数がない新井田が
まんまと逃げ切られてしまったという展開だった。

しかし今回は違った。
新井田が序盤からジャブを繰り出していく。
これまではジャブが全く出ずにリズムが作れず、
相手に先手を取られてしまうというのが
世界戦レベルでの新井田の悪い形だった。
その欠点は改良されている。
まだ完全とはいえないもののガードも堅め、
自分からパンチを繰り出していく。
さらに良かったのが、左フックだった。
左のボディブローとフックが的確に
アランブレットを捕らえた。
この1年で相当な練習をした成果と見て取れる。

しかしボクシングに関していうと
アランブレットも老獪さが目立った。
観客受けはしない、でもちょっとした隙をついたり、
クリンチなど些細な部分で
新井田を自由にさせない技術は発揮していた。
前回同様、軽打と足を使いなかなかペースを渡さない。
しかし後半に行くにしたがってスタミナ切れは明らかとなり
10R以降は新井田のプレッシャーから逃げるのが
精一杯だった。

判定は3、5、6ポイント差の3−0で新井田だったが、
実際はもう少し接近していた気もする。
ただし計量オーバーによるアドバンテージ分もあり
微妙なラウンドは
新井田にポイントがいったこともあるだろう。

なんにしろ新王者となった新井田には
今後の活躍を期待したい。

前回は王者になった直後に引退を発表。
ボクシング界を騒がせた経緯がある。
インタビューでは支えてくれた人々への
感謝の言葉で満ちていた。
今度は「防衛」の継続で、さらに信頼される
チャンピオンを目指して欲しい。


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2004-07-05-MON

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