BOXING
私をリングサイドに連れてって。

現代の「シュガー」モズリー再戦巧者ライトに惜敗!


WBA・WBC世界S.ウェルター級タイトルマッチ
「ロナルド・ライト対シェーン・モズリー」
ラスベガス、マンダレイベイで行われた。


王者ライトを攻め立てるモズリー(左)

再戦となるこの試合は第1戦を上回る
高度な要素がたっぷり詰まった好試合だった。
統一チャンピオンはライト。
非常に地味な選手で、知名度は低い。
しかし長身と長い手を活かしたブロックと
サウスポーから繰り出す鋭いジャブは
全階級を通じても秀でており
常に対戦相手を苦しめる技巧派の代表格。

挑戦者モズリーはスピードとキレ、そして連打の回転で
ライト級では最強を誇り、ウェルター級では
デラ・ホーヤに2度の判定勝ちを収めるなど
「現代のシュガー」としてフロイド・メイウェザーと並ぶ
黒人特有のボクシングスタイルを代表する
天才型ボクサーだ。

第1戦では予想外にモズリーが大苦戦。
1階級上げたモズリーが
ライトの固いガード突き破ることができず、
逆に重い鋭いジャブを徹底的食らって体が立ってしまい、
一方的に敗れた。
再戦となる今回、メディアの予想は初戦と同じ展開で
ライトが圧勝と報じていた。
モズリーはトレーナーを父親からグーセンに変え、
戦術で勝利を目指した。

ラスベガスでは地味な二人ではあるが
それでも観衆は8000人を超えた。
注目の第一ラウンド、ゴングがなると
モズリーが積極的にライトのガードの上を打って出る。
さらにはボディブローと顔への攻撃を繰り返す。
スタミナが厳しくなる攻撃だが、非常に効果的に見える。
そしてこの徹底した攻撃が
この試合を第1戦と全く違った展開にする。
しかしライトも長い手で顔を覆い、
隙があれば鋭いジャブでモズリーの顔面を的確に捉える。
初戦と同じ戦術だ。

しかし試合は5ラウンドに大きく動いた。
モズリーはライトの堅いガードの上から、
乾坤一擲の鋭い、勝負の時に使うパンチを
徹底的に打ち続ける。
これがライトのガードを抉じ開け、顔面を捉える。
ライトは効いていないとポーズを見せ、
ノーガードでモズリーを挑発し、
逆に物凄い右を食らいたまらずクリンチ。
観客は総立ちだ。
なんとかラウンド終了まで持ちこたえたものの危ない状態。
しかしボクシングは奥が深い。
モズリーは1ラウンドからガード上を強く打ったため
スタミナ消耗が激しく
5ラウンドですでに大きく肩で息をしている。

スタミナに不安が見えたモズリーだが、
8ラウンドにはガードの上を20発近く連打するなど
見せ場は満載。
さすが世界トップ選手がリベンジを賭けた試合だ。
そしてライトもガードとジャブでは
危険と判断したのだろう。
9ラウンドからは両者徹底して攻撃に出る。
両者譲らぬまま最終ラウンドが終了。
判定は115-113、115-113、114-114の2-0で
ライトが何とかジャブの効果で逃げ切った。

勝敗は別としてこの試合は
ボクシングの魅力が詰まっていた。
第1戦の勝敗のポイントであったライトのガードを
今回モズリーは力で抉じ開けにいった。
初戦では堅いガードに戸惑いの表情さえ見せたが
今回は自信満々で徹底的に攻め、
最後にはライトに打ち合いに引き込んだ。
この執念はリングサイドで見ていて物凄い迫力、
鳥肌がたったほどだった。
それでも僅か1ポイントでまたも勝利を逃したモズリー。
まだまだ終わるには早すぎる。
シュガーの復活を期待したい。

今週の日曜日(28日)には
2004年年間最高試合も期待できる、
強打と因縁のメキシコ人スター対決
「モラレス×バレラ」がMGMで開催されます。
WOWOWでも当日深夜24時20分から放送しますので
お楽しみに。


ご意見はこちらまで Boxnight@aol.com

2004-11-23-TUE

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