海馬。
頭は、もっといい感じで使える。

第31回 脳は、切り刻まれても痛くない


こんにちは!
昨日日曜日は、読売新聞の読書欄で、
『海馬』『調理場という戦場』『経験を盗め』が
好意的に紹介されていて、とてもうれしかったです。

書評では、『海馬』に関しては、

「創造力や知の刺激などの問題に踏み込みながら、
 『脳が気持ちよくなるのが、頭がいい状態』
 という地点に、対話はごく自然に行き着く。
 頭は三十すぎてからよくなるという理論は、
 『老いてよく生きたい』読者層にも歓迎されそうだ」


と触れられ、更に『調理場』に関しても、

「『遊んでいるのか働いているのかわからない』
 職場が最高だとさらりと言うが、
 下積みからの修練には並外れたものがある。
 悦楽のためには苦労もいとわない。
 『料理には不手際が反映されているからこそおいしい』
 の一言が胸を打つ」


と紹介されていましたよー!!

……書評について、すてきなメールが
昨晩とどきましたので、さっそくご紹介しましょう。







・ほぼにちは。
 我が家では、読売新聞と中国新聞の
 2紙をとっているのですが、
 今日の書評欄ではどちらの新聞にも、
 「海馬」と「調理場〜」のことが
 取り上げられていました。
 読売新聞はそちらでも読めるでしょうから、
 ローカルな中国新聞の記事をお知らせします。
 「話題の一冊」という欄です。


 (※ここから引用)
  「『ポジティブシンキング!』と
   百回言われるよりも勇気が出ました」
  「これからの自分がとても楽しみになりました」
  「僕にも隠された可能性があるのではないか、
   という明るい希望をもらった」……。
  読者のこんな感想文から、
  どんな本が想像されるだろう。

  海馬とは、動物の記憶をつかさどる
  脳の一部位のこと。
  本書は東京大薬学部で海馬を中心に
  脳の研究をしている気鋭の科学者・池谷裕二氏と、
  コピーライターの糸井重里氏による
  「頭の良さとは何か」をめぐる対談である。
  「『年を取ったら忘れっぽくなる』は間違い」
  「三十歳を過ぎてから頭はよくなる」
  「脳は疲れない」
  「海馬が大きいほど賢く、
   多様な経験をするほど海馬は増える」
  など、常識を覆す池谷氏の発言は
  刺激的で、糸井氏でなくとも
  「おおおおおぉっっっっっ!」と声が出る。

  だが、科学の最先端をめぐる
  「レクチャー」ではない。
  人間の頭と心を内と外から探り合うやりとりの中で、
  糸井氏が日常の幅広い知見から得た直感が、
  池谷氏の知る脳の生理にピタリとかなう、
  その符号が快感なのだ。
  「何かと何かを
   タイミングよく結びつけられることが
   『脳のはたらきがとてもいい』ということ」
  という二人の一致点は「言い得て妙」の感がある。
  容易に肩書を付けがたい糸井氏の活動も
  「結びつけ屋」と呼んだらどうだろう。

  書店に並び始めたときには
  すでに五千部が売れていた。
  種を明かすと、糸井氏が主宰するインターネット新聞
  「ほぼ日刊イトイ新聞」と提携して刊行され、
  ネット上で先行販売されたもの。同じ発売スタイルの
  「調理場という戦場」(斉須政雄著)も好調だ。
 (※以上、引用終わり)


 我が家では、2紙の書評を読んだ母が、
 「この2冊買ってきて」
 「いやいや、オレ持ってるから」
 ということで、今、母が「調理場〜」を、
 父が「海馬」を読んでいます。

 こうやって、この2冊が
 いろんな人の手にとられていけばいいなぁ、
 と思いました。

 ぼく自身、すごく元気と勇気をもらった
 2冊だったので、嬉しいです。
 ホントに、日本をちょっと元気にしてますよね。
 この2冊。
 でわ。日曜日の報告でした。
 また一週間よろしく!
 (たかひろ)






「この本おもしろそう、買ってきて」
「お母さん、オレ、もう持ってるよ?」
こんな風な広まりかたって、
ほんとうにうれしいなぁと思いました。

では、今日の池谷さんへの質問と、その回答を、どうぞっ!!







・「海馬」を読みました。
 現在30代前半ですが、
 「これからだ!」と新しい気持ちになれました。

 しかし、疑問が残ります。
 脳は疲れないということですが
 睡眠時間を削って仕事をしていると
 最後の方で脳の表面全体が、
 「ぷちぷちっ!」
 という痛みで包まれることがあります。

 (脳の表面と頭がい骨の隙間が痛む感じ)
 眠れば治りますが、これは脳が疲れているのでは。
 疲れる前に脳細胞が死んでいるだけ?
 疲れるよりタチが悪そう……。
 ぷちぷちぷち、という
 この痛みの正体は何でしょうか?
 
 (ど)





・ぷちぷちする痛みが、もしあるとしても、
 それは脳の神経細胞の痛みではないんですよ。

 痛みを感じるのは、神経繊維ですから、
 その神経繊維が走っていないところが
 傷ついても、「痛さ」は感じないようになっています。
 その証拠に……かなりグロテスクな例ですが、
 たとえば頭蓋骨を切り開いておいて、
 脳細胞を切りとったとしても、痛みはないんです。

 
 脳の中には、神経繊維は通っていません。
 では、なぜ頭痛が起きるのかといいますと、
 あれは、脳が痛いのではなくて、
 脳の中を走っている血管が痛いんですよ。
 血管の中には、痛みの神経が通っていますから。
 
 ですから、このぷちぷちした痛みが、
 脳細胞が死んでいくことの証拠である、
 ということはありませんので、
 その点は、ご安心くださいね。

 (池谷裕二)






「脳は痛みを感じない」というところが、驚きでした!
では、次回のこのコーナーで、またお会いしましょうね。


※なお、ちなみに……。
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2002-09-02-MON

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