海馬。 頭は、もっといい感じで使える。 |
第37回 どんな研究をしていますか? 昨日の「アマゾン」さんでは、 ランキング第2位だった『海馬』!!! 今朝の朝日新聞の 「ベストセラー快読」でも、紹介されていますね。 朝日のその記事の近くに載っている ランキング(青山ブックセンターの六本木店調べ)でも、 『調理場』が2位で、『海馬』が3位と。うれしいです。 今日も、率直な質問を、ご紹介いたしますね。 ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ ・『海馬』ものすごくおもしろく拝読しました。 これからの仕事に、やる気が湧いたところです。 ところで、池谷さんはいま30代前半で、 まさに「研究盛り」だと思うのですが、いま、 研究をしていておもしろいテーマは、何ですか? 春に、ガンの原因についての研究で、 池谷さんたちが画期的な発見をしたことは、 新聞の記事で、見かけたのですが……。 もしよかったら、 「脳の中でこういう研究に興味があって、 これをやると、こういうことがわかるかも?」 なんて質問をできたら、うれしいなぁと思いました。 (し) ・いま興味を持っていることは……。 脳の神経はネットワークを作って、 そのネットワークで機能を発揮するのですが、 ぼくの目的は、それを調べるところにあります。 「ネットワークが、いかにして、できるのか?」 「神経のネットワークは、 どのようにして機能するのか?」 つまり、そんなような問いに答えるわけです。 脳がなんらかの処理をしているのですが、 その演算機構を調べるという、 大きなテーマなんですけど。 従来の脳の研究では、 「神経細胞をひとつ見て、そのひとつが どういう特性を持っているかを調べる」 というアプローチが主流だったんですね。 もっと具体的に言ってしまえば、 シナプスひとつを見て、 シナプスひとつがどういう性質を持つかによって、 「シナプス可塑性」がわかるだとか、 さまざまな研究がなされていたわけです。 しかし、当たり前なんですが、 シナプスひとつを見ただけだとか、 神経細胞ひとつを見ただけでは、 情報を保存したり処理したりは、絶対にできないんです。 ふたつ以上の細胞がないと、処理はできないはず。 それは、もちろん 科学者ならみんなわかっていることです。 わかっているのに、最近までは、調べる手段がなくて、 ひとつの細かい単位で見るしかなかったんです。 もっと言うと、1個の神経細胞の機能さえ わかっていないから、とにかく1個を解明しようという。 ですから、ふたつ以上になると もう、科学者にはわからなくなるのですが、 その、ふたつ以上の神経細胞がおこなっている 演算機構を調べてみまして、 おこっている出来事を記述したい、 というのが、今のぼくの考えていることなんですね。 その研究を、 ぼくはうちの研究室で進めているのですが、 脳はとてもおもしろい計算をします。 「1+1=2」みたいな四則演算ではないんです。 人間が生み出した法則ではないものなんですよ。 脳には、そんな法則とはまったく関係なしの、 ぜんぜん違う数学のルールがあるんです。 「あ、こんな計算もするんだ?」 「こんな機構もそなわっているんだ?」 そういったことを、今調べつつあります。 (池谷裕二) ■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■■ なるほど! いまは、そういうことに 興味を持っているのかぁ、と思いました。 まさに、「研究ざかり」の毎日なんでしょうね!! ※なお、ちなみに……。 海馬のアマゾンでの販売は、こちらで行っております。 調理場のアマゾンでの販売は、このページで、どうぞ。 どちらも、アマゾンさんで買うと、送料無料ですよ! |
2002-09-08-SUN
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