海馬。
頭は、もっといい感じで使える。

第38回 12月から、アメリカで研究します


こんにちは!

昨日の朝日新聞でも紹介されていたせいか、
『海馬』がひきつづき好評で、とてもうれしいです。
今日も、池谷さんへの質問と回答を、お届けしますね。
昨日にひきつづき、研究内容についての質問ですよ。







・脳研究の世界では、
 日本の研究者と海外の研究者とで
 すごい差があったりするのですか?
 それとも、意外と脳の分野は日本人の得意分野?
 (き)





・じつは、ぼくはこの12月から、
 アメリカの研究室で研究することになります。
 アメリカに行く理由は、質問と関係がありまして。

 残念なことに、日本の科学は、まだまだ
 アメリカよりは遅れているところがあります。
 日本にも、いい仕事はいっぱいあるのですが、
 総合的に見ると、やっぱりちょっと
 アメリカにはかなわないんですね。
 ですから、ぼくも本場のアメリカで、しっかりと
 自分の研究を、さらに展開していきたいと思います。

 専門的な話になりますが、
 ぼくが実験で使いたいと思っている
 世界最先端の機械が、今度の冬から行く
 研究室には、あるんですよ。
 
 いま、うちの研究室では、
 神経細胞の伝達は、電極を刺して調べています。
 そうすると、電極の先にある
 神経細胞のことしか、調査ができないんです。
 
 脳のなかにたくさんある細胞のうち、
 そのひとつだけは、細かく調べられるのですが、
 だけど、そのまわりでは何が起きているかを
 調べることができないんです。
 しかし、そのアメリカの研究室にある
 最先端の機械を使えば、
 もうすこしマクロに、神経細胞どうしの
 関係を調べることができる、
というわけでして。
 それを使って、自分なりの研究をやっていきたいなぁと。
 そんなふうに、思っています。
 (池谷裕二)






「だいたいの科学者は、
 実験器具を作ることに研究の大半を費やす。
 器具の改良ができれば、研究成果もおのずと出る」

というようなことを言っている
科学の権威もいるぐらいですから、
池谷さんにとって、神経細胞を調べる器具の差って、
ものすごい大きなものに感じられるのでしょうね。

アメリカに行っても、
丁寧に研究をしている様子が目に浮かんで、
なんだか楽しみになりながら、今回の回答を聞きました。

では、次回のこのコーナーで、お会いしましょう。


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2002-09-09-MON
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