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july2014
ある日の日記(22)


三國万里子さんから新刊の献本が届いたと言って見せてくれたレイチェルさん。

先月発売になったばかりの三國万里子さんの新刊、
『アラン、ロンドン、フェアアイル 編みもの修学旅行』
このご本のコーディネーションを担当させていただいた際、
三國さんと一緒に取材で東ロンドンの毛糸屋
prick your fingerを訪れた。

そのとき、私が店主のレイチェルさんが紡いだ毛糸を
購入して帰った話はある日の日記(12)に書いたが、
このたび、そのヤーンで編んだマフラーが完成したので
彼女に報告しに行こうと思って、お店へ持参した。

自分の手で時間をかけて紡いだ毛糸を
他人が何かの形に編んで持ってくるというのは
どんな気分なのだろう。
私の腕は大したことはないけれど、
きっと喜んでもらえるのでは、と思ったのだ。

レイチェルさんは、
ロンドンの美術大学Central Saint Martinsで
編み物の先生もしている。
だから、いつも店にいるとは限らず
今回は事前に連絡して彼女のいる時間を聞いておいた。
私が店の扉を開けるなり、レイチェルさんは
私が首に巻いていたマフラーを即座に見つけ、挨拶よりも前に
「まあ!まあ!」と、びゅんと飛んできて満面の笑みで
「すごく似合ってる」と何度も繰り返し言ってくれた。

取材のときお世話になったお礼や
店内の毛糸についての質問をしていると
prick your fingerの窓際のスペースで翌日から展示をする
という編み物作家のマックスさんが搬入にやってきて、
私はその様子をすこしの間だけ見学させてもらうことになった。

ニッティング・アーティストのマックスさん。

編み物の天敵である「蛾」をウールで編んでしまうという、
ブリティッシュ・ユーモアの効いた展示。
こういうパンチのあるコンセプトは、とても東ロンドンぽい。

マックスさんの力作。
レイチェルさんはカメラを持った私に、「この子(蛾)の顔、ちゃんと見えてるかしら〜?」

私はこの日、prick your fingerで
チャンキーな黄色い毛糸を見つくろった。
母が編み物をしているのを見て
最近、6歳の息子が自分もやりたいと言い出したのだ。

たまたま家にあった彼のティラノサウルスのフィギュアが
ヤーンを巻くのにちょうどよい大きさと重さで、
今日も強面の相棒を傍に編み針をかちゃかちゃ。
基本の編み方をマスターしたので
ぐし縫いで仕上げる簡単な帽子を作ることになった。
意外にも、飽きずにがんばっている。
帽子が仕上がったら、今度は息子と一緒に
レイチェルさんのところへ行くことになるのかもしれない。



2014-12-27-SAT

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