── | いま、良重さんは 毎日CACUMAの服を着てるんですよね。 |
渡邉 | はい、毎日、着ています。 「傾向と対策」というか‥‥ 着ていれば、なにかわかるかなと思って。 |
── | CACUMAのコンセプトのひとつが 「日常に着る服」「長く着られる洋服」なので そのためにも 改良すべき点がないか、探っていると。 |
渡邉 | そうなんです。 ただ、自分が着たい洋服をつくったので 体型に合う人、合わない人、 もちろん、 いらっしゃるだろうとなとは思っていて そこが、心配だったんですけど‥‥。 |
── | 人によって「すききらい」もありますし。 |
渡邉 | そう、求めている形はちがって当然だから どうかなあって思ったんですが、 展示販売会で いろいろな人が着てくださったのを見たら 「あ、意外と大丈夫」って。 |
▲「CACUMA」の展示会で、みなさんが試着された様子 |
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── | あれ、不思議でしたよね。 |
皆川 | そうなんですか。 |
渡邉 | はい、身長150cm台の華奢なひとから 170cm以上あるかたまで、 当然、着たときの印象は変わるんですけど、 それぞれに似合っていたんです。 |
皆川 | 服って「着てくれた人に寄り沿う」部分も 幅としてはありますからね。 つまり、 「ジャストサイズじゃないから 似合わない」 ということはないんですよ。 |
── | はー‥‥。 |
皆川 | たとえばスカートの丈が決まっていたら 背の高い人には短くなったり、 低い人には長くなったりするけど、 その人の雰囲気に合っていれば、いいわけで。 |
── | なるほど。 |
渡邉 | 体型だけじゃなく、年齢層も幅広かったんです。 20代の美大生の女の子から、 60代の大人の女性まで、みんな素敵だった。 |
皆川 | ああ、いいですね。 |
── | それと、お客さまが着ているのを見て 綺麗だな、エレガントだなあと思う一方で 良重さんって 「洋服は 帰ってすぐにじゃぶじゃぶ洗うのがすき」 なんだそうで‥‥。 |
渡邉 | わたし、あせかきなので(笑)。 |
── | その二面性も、おもしろいなと思いました。 見た目の綺麗さ、繊細さと カジュアルさがミックスしているというか。 |
渡邉 | 実際、脱いだらすぐに洗って干すのが だいすきなんです。 とくに、これから夏になると、 「洗いたいなあ」っていう気持ちが ずんずん高まります(笑)。 |
── | つまり、そういうふうに扱ってほしい洋服、 ということでもありますね。 |
渡邉 | はい、そうです。 ふだんの生活で、長く着てほしいので。 |
── | ちなみに「ほぼ日」の女性陣の間では 「着ていると、うれしくなっちゃう洋服」 という意見が、多かったです。 「試着した自分」を 「まわりに見せたくなる」みたいで(笑)。 |
渡邉 | あ、それはうれしいです。 |
── | 皆川さんのつくるお洋服なんかも まさにそうだと思いますが 「着ていると 気持ちがあかるくなって、うれしくなる」 といいますか。 |
渡邉 | そうそう、ミナ ペルホネンのお洋服は まさしく、そうですよね。 みんな、すっごいうれしがって着てる。 |
皆川 | ありがとうございます(笑)。 |
渡邉 | 今日は、ちょっと特別かなって思ったら 「あ、ミナのお洋服にしよう」って 思う人も多い気がする。 着ていることを どこかで、意識しているというか‥‥。 |
── | 友だちが皆川さんのお洋服を着ていたら 絶対「かわいいね」って声をかけるって。 |
渡邉 | わかる!(笑) |
── | CACUMAも、そうみたいでした。 |
渡邉 | だとしたら、うれしいです。 |
── | 女の人の洋服だから 「当事者」にはなれない糸井さんが ちょっと遠くから 混ざりたいのに混ざれない‥‥みたいな感じで 眺めてるのも、なんかよくて(笑)。 |
皆川 | あはは(笑)。 |
── | 女性社員がワイワイ盛り上がってるところへ 「どういう女の子が買うの?」 とかって言って ちょっと、うらやましそうなんですよ。 |
渡邉 | それもまた、うれしいです(笑)。 |
── | ちなみに、皆川さんがお洋服をつくるときに 基準と言うようなものは、ありますか? |
皆川 | ぼくの場合は、基本的には「想像」ですよね。 メンズの洋服しか着ませんから‥‥ 当たり前ですけど(笑)。 |
── | はい(笑)。 |
皆川 | つまり、自分の中の基準の体型というのは もちろんあるんですが、 自分の骨格を参考に洋服をつくれないから そこは「想像」になります。 で、その「想像」でつくった形に フォルムのアイディアとグラフィック、 そして素材のテクスチャー、 そのみっつをブレンドしていくんです。 |
渡邉 | へぇー‥‥。 |
皆川 | 言ってみれば、料理をつくるような感覚です。 |
── | おもしろいですね‥‥料理とは。 |
皆川 | だから、女性デザイナーの気持ちとは 少しちがうだろうなって、いつも思います。 単純に「毎日、着ながら考える」ってこと、 ぼくの場合は、できませんし。 |
渡邉 | でも‥‥だからこそ、 ミナのお洋服って「創造的」な気がする。 |
── | あ、なるほど。 |
渡邉 | わたしの場合は、放っておくと どうしても「現実的」になりすぎちゃう。 でも、皆川さんは、自分で着れないぶん、 ああやって、 夢のあるお洋服が、つくれるんだと思う。 |
<つづきます> |
2013-06-25-TUE |